先月の日刊工業新聞に
本年より都立高専の新校長に就任された
荒金善裕 氏へのインタビュ-が掲載されました。
新校長としての抱負、学校経営の重点などをお話しされています。
最後に、
東京中小企業家同友会大田支部との産学連携にも触れていただきました。
同友会が、
スタディア応用工科大学、国立教育研究所などを視察してきた フィンランド
このフィンランドの教育をモデルとして実践教育を強化するなど
大変、興味深い内容です。
(国際交流室の設置と「中小企業家経営塾・学生海外派遣」の連動も楽しみです。)
以下、全文をご紹介させていただきます。
(日刊工業新聞 2008年 7月16日)
東京都立産業技術高等専門学校長 荒金善裕 氏 に聞く
民間センスで高専改革に力
グロ-バル感覚育てる …… プロジェクト型・ITも徹底活用 秋に国際交流室
初めて公募選考が行われた東京都立産業技術高等専門学校の校長に、
富士通出身の荒金善裕氏が就任した。
同校は4月に「公立大学法人首都大学東京」に移管。法人化に伴い、
荒金校長の民間出身としての経営感覚、マネジメント能力に期待が寄せられている。
産業界に長年、身を置いてきた荒金校長が掲げる教育改革、
また、同校の伝統である産業連携について聞いた。
--校長に応募した理由は。
30年前にさかのぼるが、
富士通の社内にあった高専で2年ほどシステム設計の講師を務めた。
高卒で入社した学習意欲のある社員が、夜に仕事が終わってから勉強する。
高専生は熱意があり、その後、現場で活躍する人が多かった。
そんなことから高専教育に高い関心があった。今回、
校長を公募するということで仕事を一区切り付け、教育界に転身しようと考えた。
--民間出身の校長として、どう教育に反映させていきますか。
校長になって感じることは学生の英語力が弱いということ。
学校自体がグロ-バルにならないといけない。
企業活動がそうなっている以上、学校教育から国際感覚を育てていく必要がある。
一般に高専生は理数系は得意だが英語が苦手だ。ただ、
それは英語の授業が他の科目と比べ相対的に少ないというカリキュラムの問題でもある。
この改革は来年度から行う。
それに加え、外国人教員を採用、修学旅行を国内から海外にする、
海外から留学生を受け入れる、海外に姉妹校をつくる--などを検討している。
秋には『国際交流室』を設置する予定だ。
--そのほか着手したい改革はありますか。
一つはプロジェクト・ベ-ス・ラ-ニング、いわば実践教育の強化。
高専教育の一番の魅力はそこにある。
実際に物に触れて体で覚える学習を全科目に取り入れていきたい。
高い教育水準を誇るフィンランドの教育がまさにこれだ。
コミュニケ-ション能力、リ-ダ-シップ、自主性などが身に付く。
もう一つはインタ-ネット。
学生は使うのに困らない程度の習得はできていると思うが、
これを文房具のように使いこなしてもらいたい。
宿題やリポ-トの提出もパソコンでやらせる。
また、海外の文献や特許情報の検索などを自ら調べてほしい。
そのために
品川キャンパス(東京都品川区)、荒川キャンパス(同荒川区)のインフラ整備を早急に行う。
またパソコンを一人1台提供できるようにしたい。
英語、コミュニケ-ション能力、インタ-ネットの三つができれば、どこでも生きていける。
--品川キャンパスは京浜工業地帯にあり
前身の都立高専以来、地元の企業との連携が盛んに行われてきました。
産学連携は高専教育の魅力の一つだ。
その意味で長年交流がある中小企業家同友会大田支部との連携は大事にしていきたい。
夏休みを使ったインタ-ンシップや社長の講演などを通じ、
学生は技術だけでなく、経営も教えてもらっている。
また、私自身、産業界に37年間身を置いてきたので、
産業界が本校に何を求めているのかを感じ取って学校運営に生かしていきたい。
法人もそれを期待しての採用だったと考えている」
■ 荒金善裕(あらがね・よしひろ)氏
1971年 早大理工卒、同年 富士通入社。
2004年 ITS事業本部長、
2007年 サ-ビスプロダクトビジネスグル-プ・エグゼクティブア-キテクト。
2008年4月 都立産技高専校長。 福岡県出身、59歳。
記者の目 …… 「心」併せ持つ人材育成に期待 ……
06年に都立工業高専と都立航空高専が統合して誕生した同校。
この4月の法人化で
高専から専攻科を経て大学、大学院まで一貫して学ぶことができるようになった。
改革と言うとハ-ド面のみになりがちだが、
荒金校長は
「技術だけではなく、協調する『心』を併せ持つ人材を育てたい」という。
民間で酸いも甘いもかみ分けてきた校長の高専改革に期待したい。
(南東京支社・大楽和範)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます