相談員の高橋です。
音羽台では、様々な研修を開催しています。
基本的には、各委員会のメンバーが資料を作り、講師役となって研修を開催しています。
また、事例検討も大事な研修の一つとなっていて、現場のケアの振り返りと情報共有、認知症ケア技術のフィードバックも目的です。
今回は、音羽台レジデンスの協力医療機関である、成増厚生病院の精神科病棟の精神看護専門士の方にお越しいただいて、統合失調症についての研修をお願いいたしました。
私たちは、認知症、統合失調…ケアの提供方法がよくわからない…との介護現場、そして相談室の戸惑いから、この研修を企画をしました。
私たちのグループの強みは、チームケア。この研修もチームケアの表れだと思います。
もし、よろしければ。
この研修の備忘録を残します。
研修 「統合失調症について」
平成30年7月6日(金) 17:45~18:45
講師 成増厚生病院 精神科 精神看護専門看護師 高橋さん
精神疾患を持っている方のケアを経験した方はいますか?
日本でも、精神科の患者さんは多い。
統合失調症の方は、頭の中で情報をうまく処理できなくなる。
慢性に経過する病気。高血圧や糖尿病みたいなもの。
この20年間で症状が内服によって軽減している。将来的には寛解するのではないかと言われている。
統合失調症の方のイメージは?
怖い?ぶつぶつ言っている?
実際は、優しくて、繊細なかた。
100人に一人が発症する。
発症時は大きな症状が出るわけではない。不登校だったり、人間関係が築けなかったり。次第に症状が大きくなり診断を受ける。
発症原因がわかっていない。
神経伝達物質のバランス不良
遺伝
ストレスの脆弱性
神経発達の障害
などなど 実は原因がわかっていない病気。
ストレス脆弱モデル
こころの器(脆弱性)の許容量を超えた場合に発症する。
統合失調症の代表的な症状
陽性症状 激しくわかりやす症状
陰性症状 エネルギーのなくなった状態
認知機能障害
幻覚(主に幻聴)
批判されるような言葉が聞こえてくれる。
攻撃するような内容
行動化すると危険な状態になることも。
幻聴といっても、人によって様々。
妄想…
もし、毎日こんなことがあったら、生きていくことが大変だろうなと思う。でも、患者さんにとっては、実際に起こっていることである。
思考の乱れ
自我の障害
自分が自分ではないという感覚。
外の世界の人との境目が曖昧になってしまっている状態。
陽性症状に耐えるため、エネルギーを消耗してしまう。
回復過程で起こる症状。
怠けていると勘違いされる。周りの理解がないと、生きづらくなる。
認知機能の障害
自覚があることが多い。
治療
薬物療法
薬の副作用は減ってきている。
注射の薬もあり、効果が持続するものも多くなって、生活に取り入れやすくなっている。
精神療法
リハビリテーション
統合失調症の症状への対応
妄想は患者さんにとっては、紛れも無い現実。
気持ちを共有することはできるが、援助者側は「私には聞こえないけれど大変だよね」と気持ちの共有をするが、症状の共有はしない。
統合失調症に認識ができている方には、一緒に対処法を考えるようにしている。
周りの理解。
話を聞いていくと「これでこんな妄想を抱いていたのでね」となることもある。
宇宙人が現れる人がいる。そのが不安ということの落とし所があることもある。
否定しないで聞いていくことで、不安の要因がでてくることも。
穏やかに過ごしていたのに急に興奮した、変わったといった印象も、その変わるまでの時間をよくよく探ると、答えがあることもある。関係が近くなると、嬉しい反面、信じきれなくなる感覚、りょうか的(大好きだけれど大嫌い)を持ちやすい。急に変わる理由はここにもある。
あとで、あの時に何が起きたのかを考える、本人に聞いてみる。一対一が不安であれば、多数で聞き取る。
何かの刺激が加わったとは思われる。
お互いに何があったのかしらねと探ってみる。
もし、急に患者さんに非難されたり、攻撃に対象になったり、悪く言われた方はショックですよね。関係がうまくいっていったのに。
一度、関係を悪くした職員との再会はどのようにしたらいいのか。
第三者もいれて、試す場が必要。同じことが起きれば無理をしなくても良い。受けた側の職員も一緒にいられるのかも検討しなくてないけない。
症状自体は抑えなくてはいけない。
なぜ、患者さんが攻撃をするのか。なぜ、その人に向かっていったのか。
妄想はなくなるもの?
薬物療法等で対応できる。
妄想があっても生活に支障がなければ問題ないのではないか。妄想があること自体が問題ではない。
妄想により職員と患者さんの関係性が壊れたときはどうしたら良いのか?
職員をかばうことで、本人がこの職員もあの職員の味方だと判断することがある。
辛いよね。と立場を共感することも良い。
患者さんなりの理由があったとしても、「それは良く無い」と伝えることも大切。過度に味方もせず、批判もせず。中立の立場で。
患者さんがまずはどうしてそう思うのか、一番辛いのは患者さん。まずは受け止めてあげる。
どうして攻撃するの?と聞いて見てもよい。
チームで振り返りのカンファランスを実施する時に、一人一人の気づきを出し合うと、意外とみんな「今日は朝から少しへんだった」のように気づいていることが多い。情報の共有と、ではその時に何が起こっていたのか、何がきっかけなのかを皆で探る。
なにが起こっていたのかと聞いてみる。ちょっとしたことをうまく理解できなかった、うまく行動ができなかったみたいなことが起きていることも多い。
本人たちは自分が統合失調症であると診断を受けているのか?
診断を受けていることは多いが、病気の説明のされ方は様々です。「自分の病気はどんな病気なの?」と聞いてみてもいいではないか。自分の理解があれば、その対応も一緒に考えることができる。一緒に「こうなったら入院しようね」といったプランを事前に検討することも有効。
頑張って対応しすぎないことも大切。症状が悪化してからの入院は治療に時間がかかる。すると地域に戻るのに時間がかかることになってしまう。
ありがとうございました。
認知症も統合失調症もケアの本質は同じ。本人に聞く。本人の立場になって考える。本人の背景を知る。本人抜きでは本人のことを決めない。チームで本人にとっての困りごとを解決する最良の選択を考える。
あれ?オープンダイアローグの原則と似ている。
成増厚生病院 精神看護専門士 高橋さん ありがとうございました。やさしい声、優しい物腰。そこにいるだけで、ケアを教えてくれているようでした。
音羽台では、様々な研修を開催しています。
基本的には、各委員会のメンバーが資料を作り、講師役となって研修を開催しています。
また、事例検討も大事な研修の一つとなっていて、現場のケアの振り返りと情報共有、認知症ケア技術のフィードバックも目的です。
今回は、音羽台レジデンスの協力医療機関である、成増厚生病院の精神科病棟の精神看護専門士の方にお越しいただいて、統合失調症についての研修をお願いいたしました。
私たちは、認知症、統合失調…ケアの提供方法がよくわからない…との介護現場、そして相談室の戸惑いから、この研修を企画をしました。
私たちのグループの強みは、チームケア。この研修もチームケアの表れだと思います。
もし、よろしければ。
この研修の備忘録を残します。
研修 「統合失調症について」
平成30年7月6日(金) 17:45~18:45
講師 成増厚生病院 精神科 精神看護専門看護師 高橋さん
精神疾患を持っている方のケアを経験した方はいますか?
日本でも、精神科の患者さんは多い。
統合失調症の方は、頭の中で情報をうまく処理できなくなる。
慢性に経過する病気。高血圧や糖尿病みたいなもの。
この20年間で症状が内服によって軽減している。将来的には寛解するのではないかと言われている。
統合失調症の方のイメージは?
怖い?ぶつぶつ言っている?
実際は、優しくて、繊細なかた。
100人に一人が発症する。
発症時は大きな症状が出るわけではない。不登校だったり、人間関係が築けなかったり。次第に症状が大きくなり診断を受ける。
発症原因がわかっていない。
神経伝達物質のバランス不良
遺伝
ストレスの脆弱性
神経発達の障害
などなど 実は原因がわかっていない病気。
ストレス脆弱モデル
こころの器(脆弱性)の許容量を超えた場合に発症する。
統合失調症の代表的な症状
陽性症状 激しくわかりやす症状
陰性症状 エネルギーのなくなった状態
認知機能障害
幻覚(主に幻聴)
批判されるような言葉が聞こえてくれる。
攻撃するような内容
行動化すると危険な状態になることも。
幻聴といっても、人によって様々。
妄想…
もし、毎日こんなことがあったら、生きていくことが大変だろうなと思う。でも、患者さんにとっては、実際に起こっていることである。
思考の乱れ
自我の障害
自分が自分ではないという感覚。
外の世界の人との境目が曖昧になってしまっている状態。
陽性症状に耐えるため、エネルギーを消耗してしまう。
回復過程で起こる症状。
怠けていると勘違いされる。周りの理解がないと、生きづらくなる。
認知機能の障害
自覚があることが多い。
治療
薬物療法
薬の副作用は減ってきている。
注射の薬もあり、効果が持続するものも多くなって、生活に取り入れやすくなっている。
精神療法
リハビリテーション
統合失調症の症状への対応
妄想は患者さんにとっては、紛れも無い現実。
気持ちを共有することはできるが、援助者側は「私には聞こえないけれど大変だよね」と気持ちの共有をするが、症状の共有はしない。
統合失調症に認識ができている方には、一緒に対処法を考えるようにしている。
周りの理解。
話を聞いていくと「これでこんな妄想を抱いていたのでね」となることもある。
宇宙人が現れる人がいる。そのが不安ということの落とし所があることもある。
否定しないで聞いていくことで、不安の要因がでてくることも。
穏やかに過ごしていたのに急に興奮した、変わったといった印象も、その変わるまでの時間をよくよく探ると、答えがあることもある。関係が近くなると、嬉しい反面、信じきれなくなる感覚、りょうか的(大好きだけれど大嫌い)を持ちやすい。急に変わる理由はここにもある。
あとで、あの時に何が起きたのかを考える、本人に聞いてみる。一対一が不安であれば、多数で聞き取る。
何かの刺激が加わったとは思われる。
お互いに何があったのかしらねと探ってみる。
もし、急に患者さんに非難されたり、攻撃に対象になったり、悪く言われた方はショックですよね。関係がうまくいっていったのに。
一度、関係を悪くした職員との再会はどのようにしたらいいのか。
第三者もいれて、試す場が必要。同じことが起きれば無理をしなくても良い。受けた側の職員も一緒にいられるのかも検討しなくてないけない。
症状自体は抑えなくてはいけない。
なぜ、患者さんが攻撃をするのか。なぜ、その人に向かっていったのか。
妄想はなくなるもの?
薬物療法等で対応できる。
妄想があっても生活に支障がなければ問題ないのではないか。妄想があること自体が問題ではない。
妄想により職員と患者さんの関係性が壊れたときはどうしたら良いのか?
職員をかばうことで、本人がこの職員もあの職員の味方だと判断することがある。
辛いよね。と立場を共感することも良い。
患者さんなりの理由があったとしても、「それは良く無い」と伝えることも大切。過度に味方もせず、批判もせず。中立の立場で。
患者さんがまずはどうしてそう思うのか、一番辛いのは患者さん。まずは受け止めてあげる。
どうして攻撃するの?と聞いて見てもよい。
チームで振り返りのカンファランスを実施する時に、一人一人の気づきを出し合うと、意外とみんな「今日は朝から少しへんだった」のように気づいていることが多い。情報の共有と、ではその時に何が起こっていたのか、何がきっかけなのかを皆で探る。
なにが起こっていたのかと聞いてみる。ちょっとしたことをうまく理解できなかった、うまく行動ができなかったみたいなことが起きていることも多い。
本人たちは自分が統合失調症であると診断を受けているのか?
診断を受けていることは多いが、病気の説明のされ方は様々です。「自分の病気はどんな病気なの?」と聞いてみてもいいではないか。自分の理解があれば、その対応も一緒に考えることができる。一緒に「こうなったら入院しようね」といったプランを事前に検討することも有効。
頑張って対応しすぎないことも大切。症状が悪化してからの入院は治療に時間がかかる。すると地域に戻るのに時間がかかることになってしまう。
ありがとうございました。
認知症も統合失調症もケアの本質は同じ。本人に聞く。本人の立場になって考える。本人の背景を知る。本人抜きでは本人のことを決めない。チームで本人にとっての困りごとを解決する最良の選択を考える。
あれ?オープンダイアローグの原則と似ている。
成増厚生病院 精神看護専門士 高橋さん ありがとうございました。やさしい声、優しい物腰。そこにいるだけで、ケアを教えてくれているようでした。