「すみませんが、ヘラヘラしてないで、ちょっとそこどいてもらえませんか?」 「えー、それ傷つくよ(笑)」 「あんたの話聞いてるより、雑居ビル見てるほうが面白いんで!!」
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誰も知らない土地を、誰からも忘れ去られた男がさまよう。 誰も知らない土地にはひと気がなく、 誰からも忘れ去られた男には心がない。 ふいに、 砂ごと風が全身をなでるように吹きぬける。 するとそこにはもう、誰もいない。
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そっと見てみる。 嫌いな上司がインチキな副業にいそしんでいる。 そっと見てみる。 つまらない男がつまらない話を押しつけている。 そっと見てみる。 みんな、楽しそう。 こうして、いろんな人をちょっと離れたところからそっと見るぼくを見ようとする者はいない。 だって、ぼくなんかを見たって面白くもなんともないから! まぁ、 いつものことです……
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3日間つづいた高熱がやっと引け、ぼくは街に出てみる。 気のせいか、街を歩く人びとがやけにうつむき気味に感じられる。きちんと前を見て歩いているのは、イヌとヤギだけだ。 「ちょっと、そこの水牛」 だしぬけに、しゃれた帽子をかぶったイケメンに声をかけられる。 「…ぼく、ですか?」 「お前以外に誰がいる!」 イケメンな上にひどく不遜な男だ。 「お前の好きな食いもんは?」 ぼくは正直に . . . 本文を読む
可哀想と思われるため、犬に咬まれてみる。 これで、また心配してもらえる。 要は話のネタ作り。 まあ、こんなことしなくても、みんなオレのことしか考えてないけどね。 てか、世界はオレ中心に回ってるしね。 てか、ほんとは咬まれてないしね。
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街から街へ逃げまわる。 けれども、どこへ行っても、罪から逃れることはできない。 でも… でもさ、ちょっと聞いてよ。 仕方ないじゃないか! ぼくだって好きでこうなったんじゃないよ。わざとじゃないんだよ。 つまらないのは、生まれつきだよ‼︎
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何事もあまり考えすぎてはいけません。
責任感を持って仕事をしてはいけません。
人のことを思いやってはいけません。
真面目に人の話を聞いてはいけません。
有意義な会話をしてはいけません。
もちろん、後悔や反省は禁物です!
万事テキトーに。
そうすれば人生なんて楽勝なのです。
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大洗港から4人の愚者がドライブに出る。 コンビニでしこたま食糧を買いこんだあと、隣にあったレンタカー屋で車を借りた。 車内では皆無言で、聞こえるのは4人の荒い息遣いと、エンジンの音ばかり。 やがて車は森に入ってゆく。 すべての木が黒く枯れ、生き物の気配はなく、まるで死んだよう。 そこで腹ごしらえをし、そろそろ港へ戻ろうかと車に乗り込むと、1人が驚いて云う。 「もう食いもんがない!」 . . . 本文を読む
足に不気味な虫がまとわりつく夢に、悲鳴を上げて、眼を醒ます。 夜明け前…… 汗でシャツがぐっしょり濡れている。思い出したように、身体中が痛み出し、頭も重い。 また、また恐い夢を見てしまうかもしれない…… そう思うと、寝つくことができなくなる。 そして、考える…… 本当にもう、なにもかもダメになって . . . 本文を読む