めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

連載『夢からさめる』第10話

2015-01-26 20:50:05 | 連載駄文
つまらない人間とは……? 誰からも愛される人間とは……? つまらない人間は、なにをしてもダメなのだろうか……なにもかも、どうしようもないのだろうか…… ◯ 近所の寺の坊主が、原付バイクで疾走する。戒名料のことを考えながら。 集落内をひと回り。途中、出くわす人々が親しげに声をかける。 坊主は云う。 「答えは明白。 まわりの人間が悪いんじゃない。 お前自身に問題があるのだよ」 そん . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第9話

2015-01-22 20:12:02 | 連載駄文
駅から徒歩10分。パチンコ屋の駐車場の片隅にひっそりとあるうどん屋〔くるぶし〕。 ヴォルフガング・ルイーヌは、そこで晩ご飯を食べることにする。 一番人気は『南米うどん』(720円)。 120年程前にエクアドルのグアヤキルにある大衆食堂で生まれ、すぐに南米中に広まった、と店主は云う。 店主は、10年前に南米に渡り(自分探しの旅的なもの)、この『南米うどん』に出合った。そしてその店に弟子入りし、5年 . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第8話

2015-01-08 17:28:56 | 連載駄文
ヴォルフガング・ルイーヌは考える。 あの、ふたつの変死体について。 世の中の誰にも関心を持たれず、警察さえも何も動こうとはしない、あのふたつの変死体-- 近所の住人も職場の人間も、おそらく変死体の家族もなんとも思っていない。驚きも悲しみもしない。誰もかも何もかも普段通り。 どんなに誰からも愛されず、誰もかも好かれていない人間が死んでも、こんなことはないと思う。 本当にみんな、あの変死体 . . . 本文を読む