めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

連載『夢からさめる』第7話

2014-12-27 19:23:10 | 連載駄文
◯ 翌朝。 フィッシュ・アンド・チップスへの思いは一夜明けても消えることはなく、しかし、この日本の田舎町でそれを手に入れるのは容易なことではない。 コンビニのフィッシュバーガーとフライドポテトを食べてみるが、やはり、フィッシュ・アンド・チップスとは別物、気持ちは満たされない。しかし、いまは我慢するしかないのだ。 ◯ 変死体に会う方法は未だ思いつかず、とりあえず、それが発見された現場に行って . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第6話

2014-12-19 20:22:18 | 連載駄文
◯ ただ1人、港に残ったコック姿の男。 彼は名前をヴォルフガング・ルイーヌと云い、まだ14歳の少年だが、立派な探偵だ。 イギリスで、いくつも難事件を解決している。給食費泥棒にクラスで飼っているウサギ誘拐事件、さらには政治献金がからんだ政治秘書の殺人事件まで。 それでいて、日本の少年探偵と違って、決して偉ぶることはない。他の同年代の少年と変わらず、無邪気で勉強が苦手でサッカーを愛する。 ルイー . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第5話

2014-12-12 16:43:47 | 連載駄文
◯ 冷たく静かな海面を割って一隻の大型客船が、那珂湊に入港する。 乗客がぞろぞろと湿ったコンクリートの岸壁に降りてくる。 その数およそ1500、そのすべてがイギリス人で、しかも探偵だ。 いま、世界の探偵界で日本は勢力を強めていた。日本には幼児から老人までさまざまな名探偵がいる。本業ではない素人までか探偵をする。しかもみな、神様でも解けるかどうかわからないような難事件を次々と解決する。鮮やかに . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第4話

2014-12-06 11:00:10 | 連載駄文
◯ 高校生の男女が一言も話せず、ただうつむいて自転車を押して歩く土手の向こうに太陽が沈み夜が訪れると、県境にある事務所で男の死体が発見される。 発見時、男は床にうつ伏せに倒れ、すでに息はなく、しかし、ニタニタとうすら笑いを浮かべていた。 傷らしい傷はなく、事故か事件か、警察もすぐには断定ができない。 しかし、なんでこんなつまらない事務所で……と、従業員たちは恐怖する。 第一発見者の従業 . . . 本文を読む

連載『夢からさめる』第3話

2014-12-05 19:14:27 | 連載駄文
◯ 数十年に一度の流星群が薄曇りのためにあまりよく見えなかった夜が明けると、住宅街の真ん中にある公園で男の死体が発見される。 発見時、男は立入禁止の芝生の上に仰向けに倒れ、すでに息はなく、しかし、髪はキレイな茶色だった。 傷らしい傷はなく、事故が事件か、警察官もすぐにはわからないらしかった。 しかし、なんでこんなつまらない公園で……と、近所の住人は恐怖する。 鉄製の遊具はさびつき、木のベン . . . 本文を読む