どうやらぼくは死んだらしい。
えんま様は、ぼくにぼく自身が憶えている限りの自分の犯した罪を挙げさせ、それを手元の紙に書きつけてゆく。
ぼくが云い終えると、えんま様は、
「それだけ?」
「ええ……これ以上は……思いつきません」
するとえんま様は、
「ふ〜ん、それだけ、ね……」
そして筆を置き、
「梅の花 泥にまみれて 骨になる」
と云った。
配下の鬼たちは、時計を気にし、こそこそと . . . 本文を読む
地域住民から30年以上愛されつづけた百貨店が、惜しまれつつ閉店した次の日…
木彫りの人形が、南のほうから台風に乗って日本にやってくる。
木彫りの人形は云う。
「思い出して、生まれてからいままでのこと。
つぶさに…
つまびらかに…」
……ぼくは目を閉じた。
. . . 本文を読む
ちょっと昔の話。
かつて地球に眼鏡とそれをつくる技術をもたらした宇宙商人の孫が、地球を訪れる。
しかし、彼にとってははじめての土地、道に迷い途方に暮れてしまう。
と、そこへ通りかかったエポキシパテ売りが彼に声をかけた。
◯
それがきっかけとなって、彼はエポキシパテ売りの道に入り、いまでも、迷子だった彼を助けた先代のやり方を守って、エポキシパテの行商をつづけている。
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