捨てたおぼえはまったくないけれど、いつの間にかなにも持っていないことに気づく。
あぁ、なんかとってもさっぱりした気分だなぁ。
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明け方。
ぼくは酒を飲みながら、なにかを考えている。
やがてカーテンが白く光りはじめ、ひんやりとした空気を肌に感じる。
ぼくは、グラスに残った酒を一気に飲むと、キッチンへ行き、また新しく酒をつくった。
◯
庭に潜むなにもかも正しい人たちが、息をころして押し入るタイミングを見計らっている。
完
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夏の終わりを実感し、さびしい気分になった農家の息子が、砂丘にやってくる。
海に向かって歩いていると、小学生の集団とすれ違う。
その表情を見て、グルメを自称する学級委員オススメの地元の有名ラーメン店に行く途中だな、と農家の息子は直感する。
風が強く、冷たい。
一台の高級車が砂を巻きあげながらやってきて、農家の息子の前で停まる。
降りてきたのは元友人。
元友人は、いきなり農家の息子を批判しはじめ . . . 本文を読む