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各国スケート連盟の思惑とロビー戦略

2012年02月25日 | フィギュアスケート

迷走する日本スケート連盟の思惑はいちばん不鮮明ですが、シーズンも終盤にくるとだいぶ各国の思惑や、今季の戦略が見えてきますね。

シングルに関して言えば、女子はとにかくロシアが3枠確保に必死のあまり、手ごまにされている選手たち(特に年齢的にジュニア・シニア両方で行ける選手たち)を翻弄しているのがいまだにエントリーが流動的なジュニアワールドおよびワールドの様子から透けて見えます。しかし、シェレペン選手はどちらかに絞らないと結果が出ないのではないかと危惧されます。特にジュニアとシニアでは構成を変える必要もありますし。

一方、そのロシアと因縁の間柄のカナダといえば、何はともあれチャン選手の牙城を守るのに余念がない様子。女子はというと結局僅差ではあるもののナショナルと4CCで勝ったラコステ選手をワールドに派遣することを先日発表しました。しかし、2枠に戻すのは今の様子を見るに至難の業でしょう。ただ、これはファヌフ選手にしたとしても同様だと思われます。

そのお隣、アメリカは先日4CCを制したワグナー選手とシズニー選手でワールドに臨みますが、実はシズニー選手は4CCに出られる状況で希望していたとの後日談を聞きました。信ぴょう性は日本での記事がないので伝聞便りではありますが、実際彼女が会場で観戦していたことから見るに、体調不良ではなかったことは明白ですし、あながちガセともいえないかと推察します。ではなぜシズニー選手を出さなかったのか?

これは私の推測ですが、今季日本スケ連が鈴木選手をアップし続けたこととほぼ同様の理由かと思います。つまり、二強体制にして枠を守る(日本)枠を増やす(アメリカ)という戦略です。来季はプレオリンピックシーズン、そのシーズンの最後を飾るワールドはカナダのロンドンシティ。ここでなんとしても五輪の枠を最大数確保するためには、今季の結果が非常に重要になってきます。だからこその4CCで大盤振る舞いにしての、ワグナー選手の基盤固めとつながるのではないでしょうか? そして来季のためにも、ポイントを他の選手に稼がせるためにも、シズニー選手には休んでいてもらおうという目論見かと思われます。シズニー選手とコーチにとっては不本意だったでしょうけれど…。

そして欧州ですが、ロシアを除くと大体ユーロ選手権の結果から見てもコストナー選手(イタリア)、コルピ選手(フィンランド)あたりを強力に推してきそうなのが濃厚です。二人とも、ジャンプ構成はあまり高難度ではないことを考えるに、結局今季も3-3は3T+3Tのオンパレード、それ以外はDGやURの大盤振る舞いが今から約束されていそうです。4CCの結果を見ても、この点に関して言えば欧州と北米のロビー打ち合わせはすでに完了している気配すら漂います。

こんな推察が一介のシロウトに容易についてしまう辺りにフィギュアスケートの競技性の破綻が見えているといっても過言ではないでしょう。

どういうわけか、いまだにジャッジは常に正しいと信じて疑わない宗教団体のような方々が存在するのが不思議ですが、まあ信じる者は救われると申しますし、それで落ち着くのならばとやこういう限りではないのかもしれません。ただ、彼らが厄介なのはジャッジの採点の精査をしたり疑問点を討論するとそれを弾圧しようとするかのように火消しに跳梁跋扈することがままあることです。

信じたい方々はお好きにジャッジやISUを信奉していればよいでしょう。しかしそれを他の人にも押し付けるのはおかしなことだと言わざるを得ません。ソルトレイク五輪の際に指摘された国家間のロビー活動が、採点方式を変えただけでなくなるはずがないと考えるのが自然ではないでしょうか? ましてやジャッジはさらに匿名という防火服さえ手に入れたのですからなおさらです。

各国の思惑が入り乱れるピークとなるワールドがあと1か月で開催されます。残念ながら、年々おかしな採点がまかり通るようになってきているのは痛恨の至りですが、せめて少しでもファンはともかく選手たちが納得のいくジャッジングをしてもらいたいものだと思います。