歌うように語ろう

観劇や観戦(主にフィギュアスケート)等について語るブログです
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ワールド予選廃止とTESミニマムという足切り制度

2012年06月28日 | フィギュアスケート

まず、先般公開されたISUコミュニケーション1741の日本語版が日本スケ連公式サイトにアップされました。

スピンの要件などはやはり日本語版でないとわかりにくいので、気になる方はご覧になってみてください。

http://skatingjapan.or.jp/image_data/fck/file/Figure_ISU_Communication/communication1741J_Single&pair.pdf.pdf PDFファイルにつき注意

 

また、クアラルンプールにて開催されていた会議の続報についてもISUサイトにてアップされました。こちらは英語のままですが、本日のネタである

ミニマムTESについては数字記載なのですぐにわかると思います。

http://www2.isu.org/vsite/vnavsite/page/directory/0,10853,4844-205151-222374-nav-list,00.html?id=1090

こちらのクリックヒアのhereをクリックして頂ければご覧になれます。

 

かいつまんでこちらに書きますと、ワールド(世界選手権)の予選を廃止する。それと同時に技術点(TES)の最小点を設定し、それに満たない実績の者は

当該のチャンピオンシップには参加できないというものです。

以下列記します。( )内がワールド基準、かっこナシがユーロおよび四大陸選手権基準です。

 男子シングル SP  25(35)   FS   45(65)

 女子シングル SP  20(28)   FS   36(48)

 ペア       SP  20(28)   FS   36(45)

 アイスダンス SD  18(29)   FD   28(39)

 

TESの数値だけを抜き出すと分かりにくいので、2012(今年)のニースワールドのプロトコルを確認してみると、厳しさが分かります。

以下男女シングルのみ記載。

<男子> SP  13位の小塚選手以下は基準値以下

       FS  19位のP.LIEBERS選手以下は基準値以下

<女子> SP  8位のワグナー選手と10位のV.ヘルゲソン選手はギリギリOK(それ以下はほぼ基準値以下)

       FS  6位の浅田選手、11位のV.ヘルゲソン選手が基準値以下

 

この「ミニマムTES(技術点)」は一度の試合でどうこうではなく、この前のシーズンまでのPBで算定するようなので、上記はあくまでも目安としていただきたいのですが、

特に女子選手に対しての基準設定が厳しいことがお分かり頂けるかと思います。

更に驚くのは、こちらに記載はしませんでしたが、ジュニア選手も基準値があまり変わらないという点です。

女子については、体形変化が訪れるジュニア時代の方がTESを稼ぐ傾向が高いということもありますが、それにしてもなかなか厳しいものです。

 

世界選手権やユーロ、四大陸などのチャンピオンシップは確かに権威ある大会ではありますが、いかに予選を無くしたとはいえこれでは予選があった時よりも

参加できる選手が減ってしまうのではないかと危惧されます。

 

大会運営に際して、相当額がかかり懐事情も深刻、かつジャッジもたくさんの選手をジャッジングするのは大変etc…と理由は色々あるのでしょうが、五輪に次ぎ

世界選手権はすべての選手たちにとって目標となる重要な大会です。

いたずらに狭き門にしてしまうのはいかがなものなのだろうと思います。

 

また、GPシリーズの枠が減らされて2季目になろうとしていますが、GPシリーズに参加できない選手はますますPBを伸ばす機会が減らされてしまったままです。

いわゆるB級大会がたくさん開催されるとはいえ、そのほとんどが欧州開催です。

いまやフィギュアスケートの選手は欧米だけではありません。

基準を厳しく設けるというのなら、もっとアジア・オセアニア地区でもB級大会を開催する機会や許諾をISUは与えるべきだと思います。

これについては以前のエントリーでも書きましたが、このような変更が確定となればなおのことです。

本部も欧州ならば由来も欧州というプライドや多少なりとも欧州有意でありたい意図を感じますが、いやしくもスポーツ競技として五輪に名を連ねる「スポーツ」であるならば、

少なくとも挑戦するチャンスくらいは平等に与えるべきであると私は思います。

 

この競技がジャッジやISUのためのものでなく、選手やファンのためにあるならば、ですが。


ルール改定確定について(シングルVer.)

2012年06月22日 | フィギュアスケート

まだ発表されたばかりのISUコミニュケーションから、かいつまんで確定されたルール改変についてまとめてみます。

なお、いつものことながらシングル中心です。ペアおよびアイスダンスについては後日、特に語っておきたい重要かつユニークな案件があれば

触れたいと思います。

来季(2012-2013)シーズンからはかなり変更が多いです。

http://www2.isu.org/vsite/vnavsite/page/directory/0,10853,4844-205151-222374-nav-list,00.html?id=1088

 

*SP後半のジャンプ基礎点(VB)が1.1倍となる。

 FSと逆で、SPは前半にジャンプを固める戦法が見られたのに対し、ウェスバランスを要求する意図からでしょうか?

 しかしショートで後半と言ってもさほど意味があるのか否か疑問ですが、男子はともかく女子はますます高難度から遠ざかりそうな懸念を抱きます。

 もちろんフィギュアはジャンプだけではないので他の要素も十分にこなしたうえでの高難度追求になりますが、ジュニアでは3-3が標準装備に近いのに、

 シニアでは3-2や3T-3Tばかりなのもちょっと個人的には思うところがありますね。

 

*スピンのレベル見直し(?)とポジション規定変更

 この項目はもっとじっくり自分の中で訳し直して反芻してから改めてまた取り上げたいと思います。ぱっと見わかる目新しさと言えばレベル0設定ですね。

 ひとまず今日はここまでで。

 

*ステップの種類分け撤廃へ

 今まで「ストレートライン」「サーキュラー」「サーペンタイン」と3つあった分類を無くし、形式は問わないというものです。

 その代わりにリンクを大きく使うことを強く要求しているようです。(must fully utilize the ice surface サーフェスはテニスでよく使います)

 これは考えようによっては片足ステップよりも力量が問われるかもしれません。選手の体力の有無が顕著にステップ実施時およびその後に現れそうです。

 片足ステップについてはレベル上げ要件から外れたようなので、今後は無理に片足ステップにこだわる必要はなさそうですね。

 この点についても得手不得手がかなり目立つ要件でしたが、実際シーズンインして試合を重ねてみないとどのようなオリジナリティーや評価が出されるか

 わかりません。

 

*コレオグラフィックシークエンスの設定

 男子のクレオオステップ、女子のコレオスパイラルに代わって設定されるもののようですが、それぞれステップやスパイラルだけに固定せず、イナバウワーや

 アラベスク、ターンなど独自性を発揮してよい要素とする模様です。

 アイディアとしては面白いですが、実際どう評価されるのかについては非常に分かりにくい要素になりそうなので、ワンシーズン終わってみないとジャッジが好む

 サンプルがどのようなものなのかははっきりしませんね。

 ツイッターでルール改定確定前にぼやいている方もいらっしゃいましたが、これは振付師のセンスやISUの意図解釈度が強く表れるのでなかなかに大変そうです。

 

なお、今季は見送られソチの翌期より実施予定となった変更プランは

 *ボーカル入りを許可する(減点条件としない)

 *シニア参戦許諾年齢を一律基準日に満15歳になっていることを条件とする

以上が分かっている限りでは先送りされた変更案件です。

 

脳内辞書を駆使してまとめてみましたが、もし間違っている点がありましたらこっそり教えていただけますと幸いです。


リトルショップオブホラーズ

2012年06月19日 | 観劇関係

アトリエダンカンプロデュースによる、リトルショップオブホラーズを先日観てきました。

平日に見たという条件もあるのでしょうが、思ったより年配の方がいらしていてちょっと意外でした。

過去に何度も上演されている演目ですが、私は初見。久しぶりの小さなハコですが、やや後方からも見やすくて

楽しく観劇して参りました。

主役シーモアは相葉裕樹さん、オードリーはフランク莉奈さん、新納さんは前回に引き続きイカレた歯医者役オリンで出演です。

幕間にパンフを読みながら納得していたのですが、いい意味でB級作品としての演出がぴたりとはまる作品ですね。

ところどころに遊びをまじえつつ、脇を締めるキャストがきちんといい仕事をしています。

 

新納さんはお名前は良く聞きますが、今回初めて出演作を拝見しました。他の作品ではどんな演じ分けをするのか、また見てみたい

役者さんが増えました。やりすぎないぎりぎりでのさじ加減の演技、良かったです。

 

フランクさんは昨秋のロミジュリに続き二度目ですが、フレッシュな雰囲気を保ちつつ、ちゃんと成長が見られてうれしく思いました。

特に声量豊かで、今後もミュージカルで見てみたいですね。

 

相葉さんは地味な役どころという所為もあったのか、決して悪くはなかったのですがちょっと食われ気味に見えたり見えなかったり。

でも課題の歌もそんなにハラハラせずに聞かせてくれましたし、あとは声量でもっとボリュームが出るといいかなと思いました。

演技は以前演じたヘタレな役とはまた別の気弱さや人間臭さなどが出せていたと思います。

 

脇を固める尾藤さんや3人娘たちもステキ。特に3人娘たちは歌がいいですね。動きもよくてたびたび目が行きました。

ダンカンの方演じるオードリーⅡの中の人(?)もいい味出してます。二部での怪演は文字通りシーモアを「食って」いました。

 

全体的な総括として、面白いお芝居だったので時間的余裕がればもう一回くらい見たかったのですが、いろんな兼ね合いもあり

今回は一度きりの観劇になりました。

これから地方公演も控えているようですが、ストーリーをあらかじめ知らなくても構えなくても十分楽しめる楽しい演目になっています。

これからの日程で観劇予定の方はどうぞお楽しみに。


振付師の繁忙期

2012年06月13日 | フィギュアスケート

現在、選手たちにとってはオフシーズンですが、振付師の皆さんにとってはいちばん多忙な季節かと思われます。

その様子がうかがえる動画を一本ご紹介します。(動画主様、お借りいたします)

 http://www.youtube.com/watch?v=L7tfD7kmTQg&feature=g-all-u

チュッキョ・フィギュアより「若松詩子さん」

 

若松さんと言えば、どちらかというと解説のイメージの方が強かったのですが、国内のジュニア選手を中心に振付もなさっていたのですね。

音楽の編集の時にちらっと所蔵するCDが映っていましたが、おそらくもっとたくさんのCDをお持ちでしょう。20曲も担当されているという話ですので、

あのくらいのライブラリーではとても足りないでしょうしね。まあ、最近はi-phoneストアなどネットからピックアップして購入もできますので、

案外PCの中の方がたくさん入っているのかもしれませんが。

 

ところで来季はルール変更が多くなる見通しの所為か、今年のオフは選手の皆さんの情報解禁が遅めですね。

もう振付が終了した選手もそれなりにいるようですが、あまり具体的な使用楽曲情報が聞こえてきません。

私が観劇や私生活に追われていて知らないせいかと思っていましたが、そうでもない様子。

もし全体に振付が遅れていたり手直しが後から大量に必要になるとしたら、振付師の皆さんは本当に大変ですね。

シーズン開幕後も、手直しは決して珍しいことではありませんし、それだけルール改定は大変なことです。

本来なら、ルール改正はもっと早い時期ないしは翌年からとかにすればいいと思うのですが、来季の次となると五輪シーズンになりますし、

それはそれで危険ですね。

 

来季はどんな曲が流行り、どんな傾向が見られるのか楽しみですが、少しでも観客に分かりやすく、かつ選手が納得できる採点を実施してほしいと願っています。


変革を恐れぬ勇気

2012年06月10日 | スポーツ全般

全仏OPテニスでは、女子シングルスにおいてマリア・シャラポワが優勝し生涯グランドスラムを達成しました。

女子では史上10人目の達成となります。

個人的にシャラポワはそれほど好きではないのですが(あの雄叫びさえやめてくれればいいんですが、まあ仕方ないんでしょうね)

彼女の怪我からの復帰や、今日までの道のりは素直に賞賛に値すると思っています。

 

どちらかといえば、テニスでは男子シングルスに注目しているので彼女のコーチやトレーナーについてはよく知らなかったのですが、

興味深い記事を読みましたのでご紹介します。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/tennis/grandslam/french/2012/text/201206090003-spnavi.html

現在の彼女のトレーナーは日本人のようですね。ちなみに彼女は浅田真央選手やジョアニー・ロシェットさんと同じくIMG所属です。

 

あと、もう数年前のことですが彼女がけがする前絶好調だったとき、友人のランキングが彼女よりかなり下の選手だったことを誰かに指摘され、

「友人であることにランキングなど関係ない」と激怒したことを覚えています。

日本には東レPPOなど、試合には来るもののあまり親日的なイメージはない人ですが、アスリートとしての心意気や人としての誠実さは

評価すべき方のようですね。

 

この優勝を待たずして、彼女はWTAランキング1位に返り咲きを果たしました。

一時は100位以下に沈んでも再びよみがえった彼女の姿は、他のアスリートはもちろん多くの人々に勇気を与えてくれることでしょう。

 

余談扱いにして恐縮ですが、日本の国枝選手がシングルスでは準優勝、ダブルスでは三連覇を果たしました。

彼もまたグランドスラマーです。

日本でももっと、パラリンピックやメジャーでなくても頑張っている選手たちを紹介し讃えてほしいものだと思います。