歌うように語ろう

観劇や観戦(主にフィギュアスケート)等について語るブログです
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わが意を得たり

2011年07月30日 | フィギュアスケート
フィギュアスケート美のテクニックを読破しました。個人的に今まで読んだ関連著作の中で一番腑に落ちる本だったと思います。
エッジワークなど基礎の大切さ、そして何よりスケートそのものでフィギュアスケートは表現すべきという当たり前のことをちゃんと記述してあっていっそ爽快感すら覚えました。

最近の流行なのか、止まってマイムを多用したり、やたらと表情ばかりに注目し重要視してみたりとおかしな風潮が見られて非常に疑問だったのですが、それらにも冷静ながら釘を刺してあって我が意を得たりとばかりにすっきりしました。

やはりフィギュア(=図形、かたち)スケートである以上スケーティングによる表現力で勝負すべきものだと私は考えます。終始仏頂面で滑るとかなら別ですが(そんな選手は居ませんが)やたらに顔芸ばかり盛り込む演技は正直おなか一杯です。スケート競技である以上、スケーティングで魅せて欲しいものです。
こう言ってはなんですが、表情で魅せる演技が見たければ舞台を観に行きます。それこそその道のプロがフィギュアスケートのチケットよりも安い金額でいいお芝居を見せてくれますし。
フィギュアスケーターにはスケーターならではの美技で感動させていただきたいものです。

そして改めて思うのが、基礎の大切さです。昨シーズン(2010-2011)、浅田選手が基礎から全てやり直すことを語った後に、彼女のアンチは大層批判し馬鹿にしていたようですが、どの競技でもトップ選手は基礎を決して疎かにしないことを彼らは知らないようです。私はむしろその勇気と決意に感動しましたし、その結果ランクを落とすことになっても確実に変わっていっていることに舌を巻きました。
普通、20歳になる前に世界選手権に二度優勝し、五輪でメダルまで獲得していれば守りに入るものだと思います。しかし浅田選手はあえてその逆の攻めの姿勢をとったわけです。これはなかなか出来ることではないと思います。
他にも素晴らしいと感動させてくれるスケーターは何人もいますが、常に努力を忘れず慢心しない彼女の姿勢には頭が下がります。彼女の新たな目標であるソチ五輪に向けて是非、元気に頑張ってもらいたいと思います。

もうしばらくショーシーズンは続きますが、今シーズンから風向きが少しは変わることを祈りつつ、情報収集やルールの勉強、技の再確認などしていこうかと思います。

THE ICEチャリティー公演in八戸

2011年07月27日 | フィギュアスケート
本日開催のTHE ICEチャリティー公演の模様が各局でニュースになっていましたが、活字系媒体でもニュースになっていますので2つほどご紹介です。

被災地で無料アイスショー、真央らが熱演(サンケイスポーツ)

http://www.sanspo.com/sports/photos/110727/spm1107271956000-p1.htm


真央、被災地で無料ショー「笑顔になってくれてよかった」

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2011/07/27/kiji/K20110727001293890.html


ちらほらと実際に招待を受けて参加された方のレポを見ましたが、行きかえりのバスはもちろん、昼食からパンフレット、おまけにおみやげのコアラのマーチ(ロッテですから……)まで提供されるという至れり尽くせりのおもてなしだったそうです。
それから、さすがに全員に対してではないですが、浅田選手の最新スポンサーであるウィーヴァジャパン社より、エアウィーヴ100枚が提供されたとのこと。これまたなかなか太っ腹ですね。

ニュースで見た様子ですと、子どもからご年配の方まで皆さん楽しんでいらしたようで良かったと思います。
長引く不安な生活の中で、ひと時でも楽しいひと時になったのならスケーター各位や関係者の皆さんの思いも報われたものと思います。
小塚選手は前日に御爺様を亡くされたということで、心理的にきつかったことと思いますが、普段と代わりの無い滑りで頑張っていましたね。
次は大阪公演が控えていますが、最後まで無事みんな元気で終わるように祈っています。

何はともあれ、選手や関係者の皆様、お疲れさまでした。
また大阪で待っているファンの皆さんに、素敵な滑りを見せてあげて下さいね。

THE ICE(愛知公演)

2011年07月25日 | フィギュアスケート
昨日はTHE ICEを見てきました。今年は震災関連などで色々危ぶまれましたが、まずは愛知公演が無事終了してよかったと思います。
外国からのゲストスケーターもみんなキャンセルなく、和やかながらも大変盛り上がったいいショーになっていました。

個人的に特に印象に残ったのは羽生選手、シニード・カー&ジョン・カー、チン・パン&ジャン・トンペア、浅田真央選手ですが、他のスケーターも素晴らしかったです。
次は週中に青森八戸で完全チャリティーの招待制THE ICE、その次に30-31の大阪と続きます。無事進むように祈っています。特に今、また余震が活発化しているので八戸が心配です。

浅田選手をはじめ、2つのプログラムを披露する選手が多かったのですが、SP(またはFS)とエキシのいずれかが多いところ、浅田真央選手は両方EXでした。どちらも趣が異なるいいプログラムでしたが、個人的にはリベラのJUPITERの方を評価したいです。いずれはどちらかをメインに絞るのかもしれませんが、特にこのEXは日本で披露する機会を是非より多くとってもらいたいと思います。静謐な祈りを、彼女が持つ芯の強さを内包させながら繊細に表現した美しいプログラムです。もう一つの、おそらくタラソワ氏は振付けたと思われるショパンのワルツ7番のジャズアレンジバージョンも今までにない小じゃれた感じが面白いプログラムですが、今の日本では浅田選手によるリベラのJUPITERの方が喜ばれるような気がします。

話は変わりますが、以前から気になっていた「フィギュアスケート 美のテクニック」がモリコロ会場で販売されていたので買ってきまして、今日から読みはじめました。まだ読破していませんが、フィギュアスケートの基礎をジャンプ以外でも詳しく図解(太田由希奈さんが実演)されています。ジャンプのことは詳しく書かれている本はよくあるのですが、つなぎの説明もきちんとされていて、スピンの解説も実に丁寧にされています。A5 130ページほどで1800円(会場では税抜きでした)とお高いほうですが、読む価値は十分あるのでお薦めします。
しばらくショーシーズンは続きますが、この本を読みつつISUから新しいコミュニケーションが出ていないか時々チェックしながら秋を待ちたいと思います。

問題の根幹はどこにあるのか?

2011年07月19日 | フィギュアスケート
まだオフシーズンですが、このブログにおけるフィギュアの現状や問題点の捉え方をもっと明確にするために、もう一歩踏み込んで今日は書いてみたいと思います。

以前のエントリーで、フィギュア採点をおかしくした原因は、キムヨナと韓国陣営だけではないと書きました(同時に彼らに責任がないわけではないとも書きました)

それでは問題の根源は何なのか、私の考えるところが明白にはお伝えできていないままだったと思います。
かなり突っ込んだ、なおかつ大胆不敵な論調になるのは承知の上で書きます。
しかしその前に、フィギュアファンでトリノ以前をご存知の方なら誰でも記憶されているであろう「ソルトレイク事件」を思い出していただきたいと思います。
いまだスポーツにおいても、米露の対決構造は根強くあり、それがゆえに起こった事件だと私は捉えています。フランスのジャッジはマリオネットに過ぎなかったのではないかと思うのは、果たして私だけでしょうか?
ともあれ、この事件でフィギュアスケートという競技およびISUは一度ミソをつけてしまいました。IOC管轄のオリンピックにおいて、二度目の不祥事は許さないと。

そこにつけこんだのが韓国陣営ではないかと思うのです。

よく言われることですが、フィギュアスケートのジャッジはほとんど手弁当に近いほど報酬が薄いそうです。ライターによってはそれをあたかも錦の御旗のごとく振りかざして、彼らの仕事に異を唱えることを牽制する人もいますが、それは甘えと言うものです。
他の競技のジャッジとて、そんなに多額の報酬をもらっているなど聞いたことはありません。
仮にそのような競技があり、フィギュアスケートのジャッジが極端に薄給だったとしても、本人の意思でジャッジを務めている以上、誠意ある仕事でなければならないのは言うまでもないことです。
苦労しているのは何もジャッジだけではないのです。選手たちとてほとんどの選手が、資金に苦労したり、練習場所の確保に苦労しています。そして何より、わずか4分ほどの短い時間に全てをかけて演技しています。
彼ら、彼女らに対しほんのわずかでも良心を持ち合わせているのならば、不当な採点などするべきではないですし、もしもそんな一分の良心さえないのならば審査席を降りるべきだったのです。

でも、そんな彼らに何も言えない各国スケート連盟(一部もの申すコーチも居ますが)の背後には、前述の事情が控えているのだと思うのです。

ここで問題をつまびらかにすれば、フィギュアスケートはオリンピック競技ではなくなるかもしれないという懸念です。オリンピック競技であるか否かは、フィギュアスケートのような本来マイナーなスポーツにとっては大きな意味をなすことは言うまでもないでしょう。

しかしそこは妙なところでそつなく立ち回るお国柄、とうとう韓国は2018年冬季五輪開催国誘致に(三度目の正直で)成功しました。
これはつまるところ、ISUはおろかIOC関係者にもことごとく根回しが行き届いているということを意味すると認識しています。

つまりはフィギュアを壊したのは当のISUであり、その親玉でもあるIOCも一役買っているということです。
むろん、彼らをそうさせたのは韓国ですが、その誘惑に毅然とNOを言えなかったのはISUでありIOCなのです。
これが「韓国だけが問題の根源というわけではない」という論拠です。

けれど彼らは自らの過ちをそう遠くない将来に知ることとなるでしょう。選手は量産されるロボットではなく、ましてや競技人気などバブルのようなものです。
欧州で勝てる選手が居なくなるのと共に人気が落ち、ついでアメリカも同様の道を辿り、今フィギュア人気を支えているのは日本であることは状況からして明らかでしょう。しかし、いつまでも不当な扱いを受け煮え湯を飲まされる選手たちを見ていて平気なファンばかりではありません。
競技会場に足を運ぶ人がいなくなる、視聴率が取れなくなる、そうなれば日本でも高い権利や宣伝費を払ってまでISUに貢がなくなることでしょう。その時招致が終わった国がまた、大金を運んでくれるでしょうか?

雌伏の時を過ごしていた大国ロシアはウォームアップからいよいよスタート地点に立つ日が近づいています。彼らロシアンにとっては2014年ソチ五輪に向けて、なんとしてでも強国の誇りを奪取したいに違いありません。

ターニングポイントとして最後のチャンスは2011-12、あるいは遅くとも2012-2013シーズンです。
幸か不幸かロシアは実力でねじ伏せようという正攻法でぶつかってこようとしているように見えます。ここで本来のあるべき姿「より強いもの、美しいもの」を正当に評価しなければ最後の顧客も失うことだろうと推測します。

元来保守的であったはずの団体は、意外に俗っぽいものには弱かったというオチなのかもしれませんが、日本では本物を高く評価します。おそらくは欧米でもそうでしょう。今、日本では男女シングルで綺羅星の如く素晴らしい選手たちが競い合っていますが、仮に一歩欧米には及ばずとも、愛すべき選手が居て正当なジャッジがなされれば競技人気は落ちないものです。日本には外国人選手のファンも山のようにいるのですから。
本来の競技のあるべき姿に立ち戻る勇気と誇りを、ISUには是非取り戻して欲しいものです。


***フィギュアスケート保護連合(FPU)***
http://fpu.nobody.jp/

特定の選手や国、信条にとらわれず、全ての選手に正当な審判を受けられるように求めていく団体です

2011-2012シーズンの傾向予測

2011年07月16日 | フィギュアスケート
さて、少しずつスケーターの皆さんの動向が聞こえてきたところで、男女シングルについての傾向予測など立ててみようかと思います。
まず男子。

ますますクワド必須の高難度傾向が強くなると思います。P.チャン選手の圧勝に終わった昨シーズン(まあGOEの付き方など疑問は残りますが、今はおいといて)の流れを引き継ぎ、SPからクワドを入れようとする選手がますます増えるかと思います。
しかし、高難度ジャンプをそう簡単に万全に出来るものではないので、逆に肝は3Aの確実性やスピン・ステップなどで取りこぼしがないかも上位に食い込めるかどうかの重要なファクターになってくると見ます。地味ですがスピンもレベル+加点で馬鹿に出来ないので、いかにクワドが飛べてもスピンなどで取りこぼしがあっては勝てない=つまり現状とさして変わらずかと。
ただ、GPSを見ても大分若い選手が出てきているので、そろそろ世代交代が本格化しそうな予感もあります。ベテラン選手にも意地や技術を見せ付けて欲しいところです。

そして女子ですが、こちらはGPSなど一気に若手が増えました。ジュニア上がりの選手がゴロゴロしています。それもロシアやアメリカといったある程度発言力のある国からばかりです。
そのような前提条件を鑑み、今季からは高難度プログラムが増えると私は見ています。回転不足やエッジ違反がどの程度取られるかは毎年のことながらわかりませんが、少なくともGPSではそれなりに3-3や3Aは認定されそうな気がします。もちろん、できばえが一定以上ならという条件付ですが。
以上の推測から、女子の今季は男子以上に世代交代が進むと予測します。世代交代の境目がどの辺りなのか難しいところですが、現段階で20歳またはそれ以下が有利だと思います。特に3-3は若年齢であった方が飛びやすいのは体型的にも分かりやすいところです。
ただ、ジャンプ以外の要素(たとえばステップやスピン、スケーティングスキル)ではさすがにジュニアから上がってきたばかりの選手よりもお姉さん方の方が大抵の場合優れていますので、この辺りでどれだけベテランは点を稼げるか、そして若手はいかに高難度のジャンプ構成にして基礎点を稼いでいくかという異なる戦い方での競演が見られそうですね。
この数年はDGがあまりにも厳しく取られ続けたので、結局3-3に挑戦する選手自体が激減してしまいましたが(3T-3T除く)今季は色んな3-3、たとえば3F-3T(3Lo)や3Lz-3Tなどが見られそうで楽しみにしています。
言うまでもなく、フィギュアはジャンプだけではありませんが、かといって二回転ジャンプばかりでは正直少々物足りなく思います。勝手な観客サイドの意見ですが。

早いところでは今季プロのお披露目会や国内の小さなローカル大会も開催されていると聞きます。さすがにまだその詳細までは入ってきませんしそもそも無理だと思いますが、夏の間のショーなどで、色んな選手のEXやSPの曲、そしてジャンプの状態などは情報が入ってくると思います。今年も酷暑が続きますが、秋に向けて色んなところにアンテナを向けられたらと思っています。