今週末にはいよいよシニアのGPシリーズも開幕ということでシーズン本番に突入します(もうしてるか)
そこで改めて2012-13シーズンの主な採点基準&ルール変更について、2012-2013シーズンガイドをソースとして
まとめてみました。
ついでに、というかむしろこっちの方が本題と言っていいんですが(笑)平松氏のすがすがしい開き直りぶりもまとめた上で
ツッコミも入れてしまおうかと思います。
まずは第一幕ルール改定のおさらいから。
*ジャンプ→男女シングルのショートプログラムで、後半(1分25秒以降)のジャンプの基礎点を1.1倍とする。
*スピン・ステップ共通→これまでのレベル「1~4」の4段階からレベル「Basic、1~4」までの5段階に変更。
*スピン→レベル獲得特徴の「シャンプによるチェンジフット」「回転速度の増加」「少なくとも8回転」
「レイバックからサイドウェイズへの変更」「ビールマンポジション」について各スピンで一度ずつカウントしていた
ものをプログラムを通して1回のみカウントとする。
アップライトスピンのレッグを「ほとんど伸ばした」から「伸ばし、あるいは少し曲げて行う」に変更。
*ステップ→1.ストレートライン・サーキュラー・サーペンタインの軌道区分を廃止し、「表面(ぱんだねこ注:リンク全面と
ほぼ同義と推測される)を十分に活用」と形式を自由化。
2.レベル獲得特徴の「少なくともパターンの二分の一で上半身の動きを使う」を三分の一へ変更。
3.レベル獲得特徴の「パターンの半分を片足のみ」を削除。
*コレオシークエンスの新設
男子のコレオステップ、女子のコレオスパイラルを廃止し、「コレオシークエンス」を設定。
ステップやスパイラルに限定せず、あらゆる動きを取り入れた自由なパートとしてGOEのみで評価。
あらゆる動きとはステップ、ターン、スパイラル、アラベスク、イーグル、イナ・バウアー、ハイドロブレーディング、
繫ぎのジャンプ、スピン動作など。女子は6秒以上の規定はなくなるが、スパイラルの姿勢を入れること。
(なお、ガイドブックに記載はないが、実施要件としてステップの後に行うこととなっている由)
*衣装・装飾の一部が落ちた場合は減点1
……と、プレシーズンにもかかわらずまたたくさん改変してきたわけですが、上記出典のシーズンガイドより平松純子氏の主張も
ダイジェストでお届けします。最後に私のツッコミを辛口で書きますので、ジャッジマンセーISU絶対主義者にはお勧めしません(笑)
いや、ご覧になりたければお止めしませんが、ツッコミ=私の見解ですからそれまでは「改変」できませんよということで。
では第二幕「平松純子氏の主張」をカテゴリ分けしてお届けしましょう。なお、太字下線はぱんだねこによるものです。(ツッコミどころ)
(シーズンガイド本誌では野口美恵さんが平松氏にインタビューする形式になっています)
*スピンについて
「毎年「レベル獲得の特徴」を発表すると、選手はレベルを取りたいから規定された特徴ばかりを実施します。(中略)結果、みんなが
同じことをやって没個性になる。どの選手も努力してすぐその年の特徴をマスターしてくれちゃうんで追いかけっこです(笑)
だから毎年のように更新して、少しでもスピンの変化を出したいと考えています」
*片足ステップについて
「元々はきれいなワンフットステップをイメージして、レベル特徴に入れてみたら個性が出て面白いかな、と思って入れたわけですが、
下手でも上手でもみんながやってしまった(中略)ワンフットで表現が広がると思ったものが、かえって締め付けで面白くなくなったので、
この特徴は削除されました」
*「間」について
「常に追われている感じの選手は、振付が難しすぎるという問題もあるでしょう。スピンでレベル4を狙うと時間がかかり、残った限られた時間に
トランジションをたくさん詰め込むことになる。でも、シーズン初めには消化できなかった難しいものが、だんだん余裕を持ってできるようになるのが理想です。
消化しきれないからといって演技を削ったり、振付師の意図と違うものに変えたりすると、個性は失われますよね。ですから、一度振付けたら終わりではなく、
シーズンを通して少なくとも2、3回は振付師に見てもらって磨きなおす方がより技術的にも芸術的にも完成された演技になるでしょう」
*技術の進化
「ルールは、フィギュアスケート全体を良いものにしようと少しずつ変えてきました。少なくとも技術の面では大きな進歩があったでしょう。
ヤグディンのステップはすごいけれど、スピンを今見れば「これがオリンピックチャンピオン?」というレベルです。細かい技術基準があることで、
スポーツとしての技術は上がった面はあります」
*最終的に目指す理想は?
「(前略)選手がルールを消化して追い越し、するとルールはもっと高い目標で設定される。お互いの知恵比べです。肉体的にも芸術的にも
優れたものを、選手とルールが共に追いかけているというイメージです。(中略)
ファンが増えるような魅力的なスポーツにするには、どんなルールが良いか、方策が必要か。ISUとしては、幅広い層にリンクに足を運んでもらい
このスポーツを盛んにしていくことに取り組んでいます」
はい、幕間です。…この方はISUのスポークスマンでもあるんでしたっけ? 読んでいて軽い眩暈を感じましたが、ISUとしては~と語るからには
彼女の意見=ISUの意見と解釈して結構ということなのでしょうね。
それでは第三幕「ぱんだねこ、異議申す」トイレ休憩はお先に済ませておいてください(冗談ですよ)
各項目ごとにツッコミを入れてまいりましょう。猫ですが猪突猛進で。
*スピンについて
レベルとりは点の底上げ、つまりは結果につながるもの。ルールが変われば選手がそれに対応しようと努力するのは当然の理でありましょう。
それがなぜ「追いかけっこ」という表現・解釈に繋がるのでしょうか?
個性のあるスピンを追求するよりレベルの確保が点に結びつくことを選手は体験してきたからこその流れではないでしょうか?
それを毎年のようにコロコロとルールを変えるのは、選手や振付師を翻弄したいのではないかとの邪推を免れないのではないでしょうか。
*片足ステップについて
レベル取りの特徴として発表されれば、上手下手を問わず選手が取り組みたいと思うのは自然の流れでしょう。確かにうまくこなせない選手も
いたのは事実ですが、かといって最初から下手な選手は取り入れるなというお達しがあるわけでなし、一体何が悪いのだか理解できません。
「面白くなくなった」と仰せですが、一体いつから選手はジャッジ様の余興として演技するようになったのでしょうか?
私の記憶が間違っていなければ、フィギュアスケートは五輪参加競技でありスポーツだったはずですが???
*演技の「間」について
ISU主管のフィギュアスケートの競技会(MWOのような例外を除く)はアマチュアの若い選手たちが出場しています。
スポーツでも競技によっては競技年齢がまちまちですが、フィギュアの場合、とりわけジャンプの点数比重が大きい男女シングルにおいては
22歳以下の選手も相当数います。となれば、学生も必然的に多くの比重を占めます。
また、アマチュア競技ですので、大会によっていくばくかの賞金が出るとはいえそれで生計を立てられるほどのものではありません。
その上競技を続けていくには、国際大会、中でもチャンピオンシップに出場するクラスであれば年間2000万円程度(もちろん個人差はあるでしょう)は
諸費用でかかると言われています。もちろん競技者が相当数いる日本出身の理事様におかれましてはその大変さは当然ご存知ですよね?
それでも日本やアメリカなどでは選手助成の体制が敷かれていますが、そのように恵まれた国ばかりではありません。競技を続けていく資金が
無いことを理由に引退を余儀なくされた選手が、今まで何人いたことか。
そのような現状をご存じでありながら「シーズン中少なくとも2~3回は磨き直しを」せよとおっしゃいますか。選手は世界各地に点在しておりますし、
すぐ隣に振付師が住んでいるわけではありません。また、人気の振付師であれば再びアポを取り時間調整をしてシーズン中に出向くのは
大変困難なことです。また、時間だけでなく費用も決して馬鹿になりますまい。それを理想とは言いつつもさも当然のごとく選手に求めるのは
いかがなものでしょうか?
そもそも実施してみて見直しが必要になるのは、選手の力量や試合のコンデイションにもよりますが、ジャッジに十分評価されないがために
苦慮し苦肉の策として対策を講じるための見直しも少なくないでしょう。実際に選手側からそんなコメントを聞いたことがあります。
選手側ももちろん評価されるための努力(それは主にトレーニングであるべきです)は必要だと思いますが、多額の費用を伴う負担を
選手側にばかり強いるのは問題ではないのですか?
理事様や会長様の懐具合は存じ上げませんが、ジャッジの皆様方でさえ報酬は決して多くなく大変だと伺っておりますのに……。
*進化の名のもとに引退選手をサンプリングですか。
理事も人の子、それはもうお好きお嫌いはおありでしょう。また、平松純子氏といえばカナダ新採点推進派の一人であり、出典本では
ご自身でもそれ(下線部分)は自認していらっしゃいます。しかし技術が進化したという証左に、特定選手の名前を出して貶めるかのような
ご発言は褒められたものではないと存じますがいかがでしょうか? 他の競技では選手を賞賛するのは聞いても、貶めるのはお目にかかれませんが。
さすが現役選手を使って教育ビデオをお作りになるだけあります。例え過去の金メダリストであろうと、上げ下げは自由自在でございますか。
*目指す場所
お互いの知恵比べ? 選手とルールが共に追いかけっこ?
何をおっしゃいますやら。スポーツとは、そんなに駆け引きが必要なものなのでしょうか?
他の競技も好んで観るものといたしましては笑止千万、詭弁のロンダリングとしか思えません。
フィギュアスケートを真にファンを増やし魅力的なスポーツにしたいとおっしゃるならごくシンプルな道があるではありませんか。
毎年のようにルールを弄繰り回したり、競技参加規定(EX.ミニマムスコアなど)などなど、あらゆる方途で選手を翻弄したりせずに、
目の前で行われた演技をそのまま正当に採点なされば良いのです。一般のファンを増やしたいならそれこそ、わかりやすいように
その技や演技の良い点悪い点を選手の名や国籍で斟酌することなく明白になさればよろしいのです。
スポーツを見たがる人々はシナリオや演出など望んでおりませんし、そんな気配が感じられればそっぽを向きます。
現実を見て下さい。もはや一般人のレベルにまで「フィギュアは採点競技だからね…(苦笑)」「もうスポーツじゃないでしょ」
このようなことを言われるありさまです。二十年来のフィギュアスケートファンとしては悲しく情けない限りです。
いやしくもIOC参加のスポーツであることを胸を張って宣言するならば、また真に競技として発展を望まれるのならば、まずは
競技の主役は選手である原点に立ち返り、選手をあたかも掌で転がすかのようなISUの体質や姿勢を正すことから始めては
いかがでありましょうか?
* * * * * * * * * * * *
ここまでお付き合いくださいました方、ありがとうございます。
普段ゆるーく(?)書き綴っているわけですが、それなりに思うところありここぞとばかりに主張してみました。
後悔はしておりませんが少々興奮していたかもしれません。
しかし誤解をしていただきたくないので一応お断りしておきますが、何も私は平松氏にWeb上で喧嘩を仕掛けようというハラではありません。
もっとも私のようなすみっこブロガーが吠えたところで平松氏もISUも痛くもかゆくもないのは承知の上ですが、スケオタとしては時には大いに
語りたくなるものなのです。皆さんはそんなことないですか?
なお、各種ご意見がある場合は拝聴いたしますが、反対意見だとしても「名無し」とか「通りすがり」という名乗りは当方好みませんので
そういった名乗りで理不尽な主張をされた場合は遺憾ながら削除する場合がございます。
建設的な方向で「私はこう思うんだけど」といったご意見は喜んで拝聴いたします。
…とか言って、華麗にスルーされたら大笑いですがね。
以上、長文にお付き合いくださいましてありがとうございました。多謝。