もうソチ五輪が終わって1週間以上経つわけですが、何とも気分の悪いオリンピックでした。
羽生選手の金メダルについては素直に快挙として素晴らしいと思いますし、順位に異存はありませんがご本人が一番おっしゃっているように
「悔しい金メダル」だったと思います。しかし羽生選手の場合19歳という若い年齢にして頂点にたどり着いたことに甘んじず、その内容に
冷静に自省してさらなる高みを目指している姿勢は非常に頼もしく思います。今後、おそらく日本のフィギュア界を引っ張っていく存在として
健康に気を付け頑張って欲しいと思います。
チャン選手はFSの途中まで十分金メダルの可能性があったと思いますが、あれだけのミスが出てしまうとさすがに金には届きませんでした。
とても悔しい思いをしているでしょうが、世界選手権には来ない予定と聞きます。理由は分かりませんが残念です。
そして個人的に驚いたのがデニス・テン選手がFSでまとめてきたことでしょうか。今季、あまり体調不良でほとんど試合に出ていなかったにも
関わらず、オリンピックでしっかり調整してきたのはすごいことだと思います。ただ、羽生・チャン両選手と違って団体戦には出ていませんので、
個人戦にそれだけ照準を合わせられたというメリットもあったのではないでしょうか。
町田選手は個人的に大健闘したと思っています。団体戦の際には連盟役員に心無いことを言われたという話も聞きますが、ワールド未体験で
五輪5位入賞は上出来ではないでしょうか。
高橋選手は結局、本番まで足の具合が治らないままだったようですが…、いろいろ試行錯誤した上でも精一杯の演技だったのだろうと思います。
個人的にはSPはともかくFSのビートルズメドレーはいまだにぴんとこないままなのですが(個人の趣味の問題ですので悪しからず)ワールドでは
少しでも良い状態で臨めるといいですね。それでも6位入賞は彼の意地を示したと思います。お疲れ様でした。
ペア・アイスダンスは織り込み通りというかほとんどの方が予想した通りの金メダリストが誕生しましたが、アイスダンス3位とペア2位にもロシア勢は
ちょっとロシアが頑張りすぎたような気がします。特にアイスダンスは個人的にはフランスのペシャブルがとても良かっただけに非常にもやもやしました。
女子は当初の下馬評を大きく覆す結果となりましたが、こちらもロシアの作戦勝ちなのかなと思いました。
ソトニコワ選手のPCSには正直納得のいかないものがありますが、もともと彼女は粗削りながらもオールラウンダータイプでジャンプが決まればスピンなども
いいので、率直に言ってキムさんが金よりはまだ納得がいきます。ただ、コストナー選手がもう少し構成が上だったら彼女が優勝だったようにも思えてなりません。
そのコストナー選手は、トリノ・バンクーバーと五輪にはずっと力が出せず悔しい思いをしてきたことと思います。今回銅メダルではありますが、彼女の笑顔を
見ていて本当に幸せそうに見えました。彼女のように最後に報われる結末はなかなかないですが(メダルを手にできるのはごく一部の選手のみですから)
真摯にスケートに向き合ってきた彼女に最後にご褒美が与えられたことはよかったと思います。
日本女子勢は浅田選手を筆頭に不本意な結果となってしまったのがとても残念でした。特に浅田選手のSPは誰しも予想のつかない状態で、朝から
沈んだ気分のまま翌日のFSを迎えた方も多かったと思います。もちろん、私もその一人でした。
しかし、とてつもなく大きなプレッシャーをはねのけ、歴史に残る素晴らしい演技をした浅田選手は本当に素晴らしかったと思います。
浅田選手はFSではノープレッシャーだったと安藤元選手は言っていたそうですが、それは大きな誤解というより、想像力の著しい欠如としか言えません。
浅田選手は帰国後のインタビューで「(SP後は)日本に帰れないかもしれないと思った」と語っています。
事実、FSの当日練習にあらわれた彼女の顔色は悪く、まるで抜け殻のようで心配する声が至る所で聞かれました。私もFSの演技を実際見終えるまで、
SPの再現になりはしないか、彼女の心が折れて戻らないのではないかと危惧しました。
しかし、浅田選手は見事に自分に打ち勝ち、そればかりか6種8トリプルを織り込んだ上にスピンステップでもオールLV4でステップやコレオシークエンスでは
ロシアの観客をも巻き込む素晴らしい演技を成し遂げました。ジャンプばかりでなく、細やかな表現や力強いステップなど、演技全体が申し分のない出来だったと
思います。PCSが上位3選手のみならず5位のリプニツカヤ選手以下にまで抑えられたのは全く納得のいかないものです。5コンポーネンツはいずれも9点台を
出すべき演技だったと私は思っています。
順位自体はSPでの大きな出遅れがあまりにも響きすぎましたので表彰台に届かなかったのは仕方なかったと思いますが、FSでは1位の採点がなされるべき
演技だったと私は確信しています。SP16位からのFS3位、総合6位は彼女にとって不本意でしょうがその素晴らしいFSはメダリストにも劣らぬ賞賛に値します。
鈴木選手は足の調子が良くない中での本番でしたが、彼女なりに最大限頑張ったのだろうと思います。前回と同じ8位でしたが、2大会連続の入賞は村主選手、
浅田選手、そして鈴木選手の3人だけです。(女子)胸を張っていい結果だと思います。
村上選手は個人戦だけでしたが、それが雰囲気をつかむのには間に合わなかったのでしょうか。最後まで本来の彼女らしさを出せないままだったようにも
思えます。山田コーチは今季限りで勇退の意思を示されていますが、村上選手は今後どうするのか懸念されます。できれば新境地を切り開き、新たなコーチのもとで
今後も頑張ってもらいたいと思います。
全体的にロシアスケ連も、ISUもIOCもやりたい放題の結果に正直不満が残る部分も大きいです。特にPCSの出し方については男女シングルは特に納得が
いきませんが、残念ながらこのまま改善は見られないだろうなと今回感じました。
ただ、ロシア女子に関しては終了後のロシアVS韓国の騒ぎの流れを見ても、さいたまワールドではまた違ったメンバーが表彰台に上がる可能性もあるかなと
推測しています。
願わくば日本女子に、特に浅田選手・鈴木選手には後顧の憂いのない演技をしてほしいと強く願っています。
もちろん男子、ペア、アイスダンス勢にも健闘を祈っています。
以上