歌うように語ろう

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「印象」という曖昧で手ごわい支配者

2012年11月27日 | フィギュアスケート

今回のNHK杯女子シングルの結果が、国内外で去年以上にあれこれ言われておりますが、それについてスポナビで

良いコラムがありましたのでご紹介します。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/winter/skate/figure/text/201211270001-spnavi.html

ご自身でもスケートを嗜まれる野口美恵さんが書かれているだけあって、非常に説得力のある文章だと思います。

 

そして、以降は私の私見ですが、SPは前日、FS終了直後に総合結果が出るところでFSで残った印象がより強く

脳裏に刻まれることから違和感を抱く方も多いのだと思います。

しかし、フィギュアスケートの採点はSPとFSの合計得点で決まります。いみじくも、昨年とは逆の現象で浅田選手が

SPでの貯金でわずか首の差ですが逃げ切りました。

そうシンプルに考える方が分かりやすい気もします。

それと、浅田選手が3Aや3-3を中心とした高難度ジャンプを武器にしていた時にさんざん「ジャンプだけ」云々言われていましたが、

今師事している佐藤信夫コーチに指導を受けるようになってから、スケーティングだけでなくスピンやステップにもさらに磨きをかけたことが

今回の薄氷の勝利に寄与したこともあると思います。SPとFS両方でスピン・ステップのすべてでLV4を獲得したのは彼女だけです。

 

ジャッジングや採点システムの問題がなくなったわけでも、今回に限り正しいというわけではなく、何が評価され何が痛手になるのか。

これは実際に演技を見て、さらにプロトコルを見て、なおかつ最低限ルールについて把握しないと分かりにくいと思います。

 

そしてもう一つの印象ですが、いつのまにか「浅田選手にはあまり加点が付かない」というマスコミの皆さんの刷り込みが

じわじわ浸透しつつあったのも原因のような気がします。

本来フィギュアの採点は新採点システムになってからは絶対評価が原則のはずですが、ジャッジも何人もの選手をまとめて

審査していれば、知らず知らずのうちに印象に支配されます。それに加えて、元々の前評判や公式練習まで見ていればなおのことです。

しかし今回、予想外にも浅田選手の各エレメンツには十分な加点が付きました。むしろジャンプ以外のエレメンツでの評価が非常に高い

ことは、前述の佐藤コーチの戦略?が十分活きた結果と言えるでしょう。

高すぎる点だと思う方は、ジャンプの点数をプロトコルで確認なさるといいでしょう。浅田選手の勝因はそこにはないことが分かります。

(ただし、3連続ジャンプや2A+3Tの出来は良かったので、そこにはきちんと加点されていますが)

 

もちろん、鈴木選手がSPで出遅れたものの、FSでは良い演技をした(ただし、ノーミスではありません。かなり誤解されている方が

多いので書き加えておきます)のも事実。しかし9点もの出遅れを取り返すには十分なものではなかった。

それだけのことだと思います。

 

むしろ今回は、選手同士よりも外野の方が何かと騒がしく、なぜか新採点システムを主導してきたカナダの関係者まであれこれ言っているそうですが、

変に藪をつつくとむしろ浅田選手以外の選手が困ると思いますので、あまりつつかない方がいいと個人的には思います。

システムがおかしい、あるいはジャッジがおかしいとなったら困るのは誰でしょうね?

 

ところでいつも跳梁跋扈している「ジャッジは正義、採点はすべて正しい」派の皆様は大人しいみたいですが、今回のケースについて

どう思われるのかちょっと気になるところです。

まさか「今回に限って」おかしいとは言いませんよね?(笑)

 


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