#1 涙の日 Ⅰ | Another Love Stories - 軒しのぶの小説シリーズ - pixiv
「提督! ヤン提督! フレデリカさん! ユリアンです、どこにいらっしゃいますか!」 巡航艦レダⅡ号の狭い通路を、ユリアンはそう叫びながら、全...
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「もしもフレデリカがインフルエンザにかからずヤンと同行していたら」から始まるIFの銀河英雄伝説ネタです。
このIFネタとして今までありそうで意外となかったとい点でポイントが非常に高い上にシリーズ合計100万字を超える長編。
などと非常に読みごたえがある作品であり、
「黄金獅子亡きあとのヤンは帝国にとって爆弾的存在となるのでアンネローゼと政略婚約させる」という展開にはそう来たかと感心した次第です。
ぜひ読んでみてください。
「提督……!」
だが、その声に、ひどくのろのろと、座り込んでいた人物が顔を上げた。
「提督!」
ユリアンは一転して歓喜の声を上げて、その元に駆け寄ろうとした。
「ご無事だったんですか、よかった、お怪我はありませんか、フレデリカさんは……」
駆け寄りかけて、ユリアンは床に転がっている物体に蹴つまずいた。
あやうく転びかけてユリアンはその物体を見下ろし、はっと息を呑んだ。
帝国軍服を着た男の死体。
そのまま流血の海をつたって、ユリアンはゆっくりと目を上げた。
見たくはない、きたるべき事態に直面したくはないのに、彼は視線を動かした。
流血の池の岸には、真紅に染まった金褐色の髪があった。
そして、半ば血にひたされた、ベレーをかぶった女性の顔。
フレデリカの。
よく見ると、その手にはブラスターが握られたままで、その向こうにも転々と、男たちの死体が転がっていた。
それは、彼女が単身、司令官の夫を守るために、いかに勇戦したかの証明だった。
事態を悟って呆然と、ユリアンはヤンの方を振り返った。
そして、かつて見たこともない師父の表情に、立ちすくんだ。
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