意識がゆるりと覚醒する。
眼はまだ開いていないが、肌寒いながらも穏やかな空気の流れ、瞼越しに入る光。
あの戦いの夜を終えて朝がやってきたのが鈍感な俺でもわかった。
「……っん」
瞳を開けば部屋はすっかり明るく、見知った天井がよく見える。
しかもタタリとの戦闘を展開していながらも気分と体調は良好と来た、珍しい。
例え普段の日常でも翡翠に起こされる形で起きる程、起床が苦手な俺のポンコツ肉体にも関わらずにだ。
「さて、と」
脇のテーブルにおいてある眼鏡を取り、顔を上げる。
翡翠には悪いが今日は調子がいいから先にこのまま起きてしまおう。
あの後についてアルクェイドや先輩、さつきに聞きたいことが山ほどあるから。
そう思って顔を上げると同時に己の身を持ち上げるが腹に違和感を感じた。
違和感の元凶をを調べるべく視線を下げて、見つけた。
俺の腹に顔を乗せて寝る紫色の髪を持つ少女がいた――――シオンだ、って。
「え?」
予想外の人物に間抜けな声が俺の口から漏れた。
「いや、な、なんでさ」
シオンとはタタリと戦う直前までは非友好的関係。
いや、正確に暴露してしまえば殺しあっていた間の仲である。
その当事者がどうして俺の部屋にいるのか。
そもそも何故俺の腹を枕に寝ているのか突っ込み所満載で、頭がこんがりそうだ。
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