着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

七五三、お父さん、お母さんもおめでとう!

2022-11-09 20:28:29 | 七五三
 今年も七五三のシーズンを迎え、私も主に着付けのお支度に携わり忙しい時期になっています。
 
例年迎えるこの時期のお子さまたちは、お支度の間、比較的おとなしくじっとしていることができるお子さんもいらっしゃいますが、親御さんと離れることが出来ず抱っこ状態で泣きわめくお子さんもいらっしゃれば、折角お着せしたご衣装を勝手に脱いでしまうお子さん、逃げ回るお子さん、とさまざまです。
普段から親御さんの手を煩わせているお子さんや、普段とは違う雰囲気に特に情緒が安定しないお子さんなど、両者ともに、成人した我が子供たちも「来た道」で、また、私にとっては毎年のお支度の「想定内」の出来事であるわけなのですが、当事者であるお子さんの親御さんたちの中には
「我が子がお店の方々に迷惑をかけている」
と申し訳なさそうにされる方々や、ちっとも大人の言うことが聞けない我が子の発達について心配される方も居られたりします。
 
子育てを終了した私の立場からするとおとなしいお子さんたちよりも、むしろ大人からしてみれば一癖あるお子さんの方が子供らしくて愛おしく、いちいち苛立たなくなり、寧ろお子さんの気持ちに少し寄り添うことができるようになっているように感じるのは、人生経験を重ねたからなのかしら?などと思ったりしています。
 
小さなお子さんたち、そのパパやママたちに大いなるエールを送り、お祝いのお手伝いを今年もあと少しの期間、頑張ろうと思います。


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メイクを教わりに行ってきました

2022-11-08 13:31:31 | 習い事
先月、息子が結婚式を挙げましたが、挙式当日は私自身が黒留袖を着たり、参列する母への色留袖の着せ付けをしたりなど諸々の段取りの関係上、当日のメイクは自分でするという選択をせざるを得なくなりました。
お恥ずかしいのですが、普段、自分自身はメイク方法を教わったこともなく、本当に適当にして過ごしてきました。しかし、新郎の母ともなればある程度、お会いする方々に恥ずかしくないメイクをしたいものだと思い、どなたか教えてくださるところはないかとネットで検索してみました。そしたら家から近いところで教えてくださる方がいらっしゃるということが分りましたので、早速予約をして教わりに行ってきました。
 
前もって「黒留袖に合うメイクを教えてほしい」と伝えていましたので、そのレッスンです。
レッスンは、まず先生が説明をしながら私の右半分の顔にメイクをされて、次に左半分の顔を私がそれに習って実際にやってみるという流れでした。
仕上がった私の顔を見てみると普段メイクをし慣れていないせいか、かなり化粧が濃く感じました。
「ちょっと濃くないですか?」
と尋ねると先生は、私の首周りにお手持ちの黒のカーディガンを巻かれました。
すると本当に驚いたことに、全く濃く感じることなく、それどころかお化粧が綺麗に映えて我ながら
「いつもより少し綺麗かも?」
と感じたのです。
「黒留袖を着るということはこういうことなんですよ。普段あんまりお化粧していないと仰っていたから余計にそう思われるかもしれませんけど、あんまり薄化粧にしてしまうと、お顔が着物の色や絹の光沢感に負けてぼんやりしてしまうので、このくらいしっかりメイクして良いんですよ」
と先生。なるほど。メイク方法もさることながらその理由なども教えてくださり、本当に楽しく、勉強になりました。
 
その後、YouTube動画でメイク方法やお化粧品の紹介などが巷には沢山あることを知りました。「春夏のメイク」とか、「秋冬のメイク」など、聞いたことはありましたが、私は今まで、例えば暑い時期ならば汗をかいても崩れないメイクとか、秋冬であれば皮脂量が多くなる季節なのでその対策メイクなのかな、と安易に考えていました。が、着る時のお洋服のお色とリンクしたメイク方法とか、季節の陽射しに映えて綺麗に見せる方法とか、洋服の光沢感などにいかに合わせるかとか、シミを目立たなくするメイクとか…、その時々のシチュエーションや気分などでメイクの道具や方法を変えるなど、さまざまなやり方があることがわかりました。私自身はそんなことを気にしたこともなく、何と今まで自分の顔に対して気遣いもせずに適当に過ごしてきたものだなぁ、と改めて恥ずかしく思うほどでした。
 
今回のレッスンで、メイクをして自分自身がちょっとだけ変身できる術を教わり、また今まで全く使ったことがなかった化粧品やその使い方なども知ることができ本当に勉強になりました。
これからは自分の顔にも少しは向き合って、その時の気分や洋服、着物に合わせてメイクできたら楽しいな、と思いました。


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「女紋」って知っていますか?

2022-10-15 11:31:42 | 女紋
着物に入れる紋のお話です。
女性が着物を作る際に紋を入れる場合私は、
「結婚前に作る場合は実家の家紋を、結婚後に作る場合は婚家の家紋を入れる」一方で、
「結婚が決まってから作る着物については実家の家紋ではなくて、婚家の家紋をつけるという考えをする地域もある」
と結婚前に通っていた着付け教室で教わりました。

さて、30年近く前、私の結婚が決まった時、母が
「喪服は誰かが亡くなりそうだからと言って作るものではない、皆んなが元気な時に作っておくのが良いから」
と嫁入りの準備として誂えることになりました。
何と私の実家の家紋(父は東京都出身です)と婚家(京都府です)の家紋は偶然にも『丸に剣酢漿(まるにけんかたばみ)』という同じ紋でしたので、呉服屋では何のためらいもなく『丸に剣酢漿』の紋をつけてもらいました。
出来上がってきた喪服をたまたま義母に見せる機会があった時に、
「女性が着る着物に男紋を入れるやなんて、聞いたことあらへん。普通は女が着る着物には女紋を入れるもんやと思うけど。私はそんなこといちいち気にせえへんけど、気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
と言われました。

「男紋って?そして女紋って???」
「丸に剣酢漿は男紋?」
「女性が着たらおかしいの?」

その時に通っていた着付け教室の先生(千葉県出身)に尋ねると
「女紋なんて私は知りません。結婚前に作った着物に実家の紋を入れたんでしょ、婚家の紋も一緒なら尚更何もおかしいことはないと思いますけど…」

女紋についてたまたま関西出身の知人に聞いてみたところ、
「代々の女性に継がれていく紋」
として女紋というのがあるということがわかりました。
でも、義母のいう女紋と言うのはそういう考え方でもなく、『五三の桐』、『蔦』、『揚羽蝶』の紋の中で好きな紋を入れたら良いと言われ、確か、義母と義妹の喪服には『揚羽蝶』の紋が入っていました。

「気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
などと言われては私は京都では、誂えた『丸に剣酢漿』の紋が付いた喪服を着るわけにいかないと思いました。義父の葬儀には『五三の桐』が付いているという着付けの先生の着物をお借りして参列することとなりました。

その後義母から譲り受けることになる訪問着には『蔦』が、黒留袖には『中陰桐胡蝶紋』が入っていることがわかり、全て違うものとなっていて統一性が無いことや、私が当たり前のルールだと思っている、「黒留袖には必ず日向紋を入れる」ということとも違っていて(中陰紋なので。)、何ともモヤモヤするところです。

京都にはそんなしきたりがあるのかと思ったものですが、最近になって京都で悉皆業を営む方が発信されているYouTube動画より、
1.関西の一部の地域に女紋をつける風習があること
2.関東には女紋という考え方はほぼ無いということ
3.女紋の考え方にも色々な考え方があるということ
4.それゆえに関東の人が関西に嫁ぐ、あるいは関西の人が関東に嫁ぐことで紋の考え方の差異からトラブルがあり、離縁に結びつくようなことも実際起こっていること
などを知りました。
実際にその悉皆業を営む方が日本全国、あちこちの呉服屋に尋ねて纏められた『女紋』という本を今になって私も取り寄せて読んでみることとなり、各地でさまざま考え方があるということを知りました。
もっと早く知っておきたかった内容にはなりますが、つくづく日本の中でも様々な文化があって、正解不正解を求めるのは難しいな、と思いました。
本当に奥が深いです。
しかしながら、今後私が紋付きの着物を作りたいと思った時、どんな紋を入れたらいいのでしょうね…?
大変ややこしいです。

本の紹介
「女紋」
森本 景一(もりもと けいいち)著
発行所 (有)染色補正森本


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コロナ前の当たり前が当たり前ではなくなる時

2022-08-16 12:10:50 | 新型コロナウイルス
先月、主人が出張先から帰ってきたらコロナに感染していました。
羽田空港に着いた時、何となく体調に違和感があったので念の為空港の検査センターでPCR検査をうけたところ、翌日に正式に陽性結果を知らされたという経緯です。
家に着く前に事情を聞いていたので、帰ってきてからすぐ個室に隔離して過ごしてもらいました。しかしその後、病院の発熱外来も保健所もパンク状態になっていることを痛いほど思い知らされ、ホテルでの療養希望も叶わず、結局のところ療養期間10日間一杯を自宅で過ごすことを余儀なくされました。
結果私はその間主人の主たるお世話係となりました。当初は定義的には、私は濃厚接触者には当たらないということでしたが、コロナ患者と同居しているうえ、主たるお世話係でしたので念の為仕事をはじめ、諸々のことを自粛する事態となりました。
幸い主人も大事には至らずに回復し、私も健康観察期間中も何事もなく過ぎて胸を撫で下ろしましたが、その間生徒さんたちや着付けのお仕事でお世話になっている美容室さまには大変ご不便をおかけしました。申し訳ございませんでした。
今回のように自分自身に起こった体調不良や不慮の事故などとは全く関係なくとも、急に長期にわたり仕事が出来なくなるようなことが充分起こり得るのだということを痛感しました。そして今後の仕事の受け方について、その事の重大さを改めて考えさせられることになりました。
着付師は基本、一度仕事を受けた場合はいかなる場合でもキャンセルすることは出来ないという常識があります。ですが、いくら日常を気をつけていても感染者や濃厚接触者には突然なり得るし、天変地異などの災害に巻き込まれることだって可能性としてはゼロではありません。
それにしても今回は発熱外来の病院の先生がコロナに感染されて臨時休診になっていたり、近所の調剤薬局の薬剤師さんが複数人感染してお休みされていたり、運転手や車掌の人員が不足したことから某鉄道が一部の路線のダイヤの乱れが発生したりと本当に身近なところに影響が出てきています。
様々なサービスを受けることや一度交わした約束を守ることなど、今まで当たり前であったことが当たり前ではないということを改めて身近に感じる今日この頃です。

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着物(晴れ着)着用時の補整について

2022-06-04 16:52:48 | 着付け
着物を着せてほしいと頼まれた時、着付け師はお客様に対して、どういう着物を着られるのか、それによって準備していただきたいものは何なのかをお客様に伝えるわけなのですが、その際、体型の補整としてタオルや晒し(もしくはガーゼ)をご用意いただきたいとお願いするケースが多いです。
洋服着用時にはほぼ使わないものですね。

着物は長方形の布からできていて殆どが直線縫いですが、体は曲線なので、くびれているウエスト周りなどにはタオルを巻いたり、鎖骨あたりの窪みに綿花を入れたり、お胸やお腹の大きい方には晒しやガーゼを巻いたりして体のラインを平らかに整えるなどの補整をすると次のようなメリットがあります。
1.着物が綺麗に着られる
2.お紐を締めた時、体への負担を軽減させることができる
3.汗を吸収することによりダイレクトに着物に汗がいかないようにする
4.着崩れを軽減させる

さてこの補整グッズですが、お客様サイドの判断で、
「私は太っているからタオルを巻く必要はない、補整は要らない」とか
「胸がないからガーゼは要らない」
などなどと、ご用意いただけないケースが少なからずあります。
着付け師が必要だと思うのに用意されていない場合、美容室やお客様のご自宅への出張の場合などでお借りできる場合は良いのですが、そうでない場合、全く使えないままでの着せつけを余儀なくされることがあります。
着付け師はどんな体型の方でも、綺麗に、崩れずに苦しくない着付けが出来ないかを目指しているものなのですが、その解決はいきつくところ、いかに綺麗に体型の補整が出来るのかというところにあると言っても過言ではありません。
太っていると仰る方でも多少のくびれはあるものですし、ウエストのくびれは無くとも反り腰で後ろの腰とお尻の段差がきつい方、お胸とお腹に段差がある方…とさまざまです。
そして、それらはほんのタオル1〜2枚で解決できるようなことばかりで、
「せめて一枚タオルがあったらもう少しきれいに着付け出来たのに…」
と思うようなことも多々あります。
着付けを頼まれる方々、どうかご自身の勝手な判断で、用意してほしいとされているものを用意しないということはなさらないでくださいませね。

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自装と他装 どっちから始める?

2022-05-19 15:02:24 | 着付け教室
今年4月から某美容学校で和装の授業の講師を週に一回ほど頼まれてお受けしています。
前もってその学校の和装のカリキュラムを拝見した際に、話には聞いていたけれど、やっぱりそうなんだ…、と改めて思ったことがあります。
それは、いきなり他装(人に着せる)の授業から入るということです。
多くの着付け教室では自装(自分で着る)の授業から入るところが多いと思います。
私がかつて通っていた教室でも自分が着ることから教わりました。
『人に着せる』ことだけを教わりたいと仰る方にも自分自身で着ることが出来ない方の場合、先生は、
「人に着せてお金をいただくような方は着物について最低限の知識を持っておくべきだ、自分で着物を着て過ごす経験が無い方は着せられる側にとって快適な着付けができるはずがない」
「まずはさらりと自分で着られるようになりましょう」
と仰っていました。
私の教室にも何度となく
「人に着せることだけ教えてほしい」
と言われる方は来られましたが、私がそのように教わってきてその考えが当たり前だと思っていたため、特別にご事情がある方を除いては、まずはある程度自分が着られるようになってから他装のレッスンに移行していただいてきました。
大分前、初めて美容師である生徒さんがこられた時に、
「美容学校の和装の授業では自装は教わらず、いきなり他装から教わった」
と聞いた時にはびっくりしたことを覚えていますが、その後来られた美容師さんたちも、
「着付けを教わった時は、他装をしてから自装を教わった」或いは、「他装のみを教わった」
と仰っていました。
以前、たまたまインターネットで見つけたある他装専門の着付け教室をしていらっしゃる先生が、
「人に着せることを教えて欲しいと言っているのに自分が着ることから教える着付け教室があるようだ。人に着せることができれば自分だって着られるようになるはず。人に着せることをいきなり教えてくれない先生は、自分が着るレッスンで無駄に授業料を取りたいのではないか?」
と仰っていました。
心外な言い方ですが、そういう考え方もあるのかと…?

お客様にとってより良い着付け師として求められるものは何なのでしょう…?
取り敢えずは学校のカリキュラムに則り、他装の授業から教え始めました。

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前撮り、サクラサク

2022-04-25 14:07:50 | 花嫁着付け
先日、私の次男とお嫁さんが結婚式前の和装の前撮りをしました。
 
お嬢さまがいらっしゃる方の中には、着物の着せ付けを習い始めた理由が
「娘の成人式に自分で晴れ着を着せたいと思ったから」
という方が少なからずいらっしゃいます。 
 
私には娘が居らず、二人の子供は息子です。
成人式のとき、上の息子は以前大学入学式参列の際購入したスーツで出席すると言い、下の息子は留学中でそもそも成人式にすら参加しませんでした。
私は成人式というと、十数年、沢山のお客様をお着付けしましたが、専らお他人様ばかりを担当してきました。
 
私自身は着物を着るのも着せるのも楽しくて(仕事となれば時にはしんどいことも沢山ありましたが…笑)この仕事を続けてきました。
ただ花嫁着付けを習ってからは、自分の息子が結婚するようなことがあれば息子とお嫁さんに私が着物を着せたいと密かに思うようになりました。

そして息子の結婚が決まったときに、その気持ちを息子とお嬢さまに伝えたところ、快くOKの返事がもらえました。とは言え、事情があって婚礼の着付けの仕事は数ヶ月していませんでしたので、萎えた腕を取り戻すために自宅にある和装ボディと向き合い人知れず猛特訓して当日に臨みました。
 
桜が満開の過日、とうとうその夢が叶いました。
身内の晴れの日に自分自身が携われることは、思った以上に嬉しいものだと今回改めて思いました。
お店の皆さまにも大変お世話になりました。
有難うございました。
お陰で良いお写真が撮れました。
これからも技術の向上を目指して精進してまいります。

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木を見て森を見ない着付けはダメなんです

2022-03-09 13:38:26 | 振袖着付け
私の下の息子が結婚することになり、先日お相手のご家族との顔合わせ会がありました。
向こうのお母さまもお嬢さんも着物が好きだとのことで、お嬢さんの方から
「顔合わせには母も私も着物を着ていきたいと思っています」
と言われましたので、
「それならば私も着物を着ていきますね」
ということになりました。
また、お嬢さんには私がお振袖をお着せすることになりました。

当日私は、息子が小学校の卒業式のタイミングで着用出来るように私自身が作成した長襦袢と付け下げ訪問着を着て出かけ、お嬢さまとの待ち合わせ場所でお振袖の着せ付けを済ませて、顔合わせをすることになっているお店へと向かいました。
そして、終始和やかに会は進み、無事に終えることが出来ました。

こういう時のカメラマン役はいつも主人です。
始終主人は様子をカメラに納め、私もスマホのカメラで二人の仲睦まじいさまのシャッターを切っていました。

さて後日、生徒さんとの会話の中で、その時私がスマホで撮影した写真をいくつかお見せした時に、
「先生、お嬢さまにはどんな帯結びをされたんですか?写真が見たいです」
と言われました。

「…」
なんと私、一枚も真後ろから、帯結びのアップの写真を撮っていませんでした。
何としたことでしょう。
でも、実は私、仕事でお客様の着せ付けを頼まれる場合は大人数のお客様をお着せする現場が多く、いちいちお一人お一人のお写真を撮れる環境にないこと、またそもそもクライアントさんから現場の着付師、美容師は
「自分のスマホやカメラにお客様の写真をおさめることをしないで」
と言われることが殆どです。
つまり、着物を着たり着せたりするのがあまりに日常すぎて、写真を撮る習慣が全くありませんでした。

私がお世話になったことがあるスタジオでは、
「着物を綺麗に着せてくれて帯も適正な位置に綺麗な柄が出る様にきっちり結んで帯揚げ帯締めも綺麗に仕上げてくださったならば帯結びなんてどうでもいい、全体のシルエットが美しくなるよう仕上げて欲しい」
と言われたことがあります。

着付け師は日夜、沢山の帯結びを考えたり研究したりしているのに、どうでもいいとはどういうこと?とその時は思いましたが、確かにそれはある意味当たっていました。
実際、今回の自然な写真撮影で、お嬢さんの後ろの帯結びだけを撮るという発想は誰にもなかったのだと思います。

「木を見て森を見ない着付け」ではダメだということですね。
今回の顔合わせではクライアントさんに言われたことが妙に腑に落ち、図らずとも大きな勉強になりました。

着物を綺麗にお着せ出来て、特別な一日を快適に過ごしていただけるよう、そのほんの一部のお手伝いをすること…、それが着付け師の仕事としては一番大切ということなんですね。
そういった意味で今回の着付けのお仕事は大成功でした。

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バネ指手術後3ヶ月の状況について

2021-11-25 18:37:21 | バネ指手術
久しぶりにバネ指手術後の経過ブログです。
先日、術後(3ヶ月)の経過観察のために整形外科を受診しました。

以前のブログでもつづった通り、手術直後からバネ指の症状は無くなりました。
傷口も塞がりましたのでお陰さまで9月より仕事をボチボチ開始しているものの、まだ100%回復というのには程遠く、多少の痛みや違和感はあります。

インターネットで腱鞘炎の手術後のことについて、「術後2ヶ月を経過してもまだ痛みや違和感がある方が20%程度居る」と書かれた文献を見つけました。それが信憑性の高い情報かどうかはわかりませんが、私はしっかりその20%の中に入っています。逆に80%の方がその時期に寛解しているのだとすると、私は回復が遅い方なのかな、と心配していました。
しかし先生からは
「順調に回復してますね、傷口もとても綺麗です。多少の痛みや腱のツレ、ギシギシ感はゆくゆくは治ってきます。日にち薬です。取り敢えず今回をもって治療は終了で良いと思います。何か変わったことが起こったり、気になることがあったら来院してください」
と言われました。

確かに手術直後からみると、ほんの少しずつですが、確実に快方に向かっています。

今まで私は、受けた仕事は基本的には断ることをせず、ガムシャラに現場に出続けてきていましたし、研究などでの自主練も頑張って続けていました。が、やはり無理は禁物ですね。お陰さまで着付けの技術は向上したのでしょうが、自分の身体が悲鳴をあげるほど頑張り過ぎてはいけないな、とつくづく思いました。病気や怪我をした時の自然治癒力は自分でコントロールすることができず、自分の努力ではどうにもなりません。そのことによるもどかしさも痛感しました。

今回の仕事のブランク期間の間、私なりに考え始めたことがあります。
私の仕事、特に着付け師としての仕事においては腰紐や帯を締める時に力をかけなければなりませんが、手だけでなく足腰などに今までほど負担をかけないで、しかもクオリティを下げずにできるように出来ないかということです。

着付け師は意外と身体が資本の商売です。
気をつけて上手に身体を使っていこうと思います。

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七五三への挑戦

2021-11-10 15:21:30 | 着付け教室
先日入られたばかりの生徒さんのお話です。
今年お子さんの七五三をする予定とのこと。
お子さんが4人居られて、(上から10歳、7歳、5歳、3歳)下の3人のお子さんが該当です。
既に3人のお子さんたちの着付けは写真スタジオにお願いしているとのことで、ご主人とご自身、10歳のお嬢さまは洋装で家族写真を撮られる予定とのことでした。
「折角着付けを習い始めたんだし、ご自身は着物を着ましょうよ。それから、10歳のお嬢さんにも着物を着せて差し上げたら?」
とご提案しました。
「え?!先生、今からそんなのできますか?」
確かにまだ着付けについては何の知識も持たずに入られた生徒さんです。
また、左程お稽古はされていません。でも、毎回家でしっかり復習してこられますし、熱心さは伝わります。そして上達も早いです。
私は頑張れば出来ると思うと伝えました。

それから特訓が始まりました。
しかしながらその間私自身、手の腱鞘炎の手術をしたり、緊急事態宣言が出されてお稽古をお休みにせざるを得ない状況にもなりました。それでも、彼女なりに出来ることを続けられました。自分が着ることも、実際にお嬢さんに着せつけをすることも。時には、
「チェックしてください」
とメールで画像を送ってきてくださったりしました。
お稽古の時には、私自身勿論気になるところのご指導はさせていただきましたが、彼女なりに自主練でうまくいかなかったところの原因は何なのかを質問され、納得して帰られる、この地味な繰り返しの作業を徹底してされました。
晴れの日の前日にもお稽古に来られ、いろいろなことを確認しました。その時に彼女は、
「緊張する…、でも何となく出来るような気もする」
と頼もしいお言葉。同時に、
「まさか、こんなに短時間で自分で着て、娘にも着せることが出来る様になるなんて!先生のお陰です」
ともしみじみ仰いました。
「いやいや、貴女が頑張って練習したからですよ。平常心で落ち着いてやれば大丈夫!」
と送り出しました。
さて、当日どんなだったか。
勿論大成功です。
写真撮影とお参りを済ませた生徒さんがその日のうちに画像を送ってくださいました。
晴れ着に包まれたお子さんたちや生徒さんみんながニコニコ笑っていて、きっと家族みんなの楽しい思い出が作られたのだと思うと、私も凄く嬉しくなりました。
彼女なりに、いろいろな反省点はあったようで、もっと上手になりたいという欲が出てきたようです。
良かったね。
改めましておめでとうございました㊗️
これからも上を目指してお稽古、頑張りましょうね。

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