着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

腱板断裂手術後3週間が経ちました

2023-07-23 21:02:27 | 腱板断裂
右肩腱板部分断裂の手術後3週間が経ちました。
右腕はやはりまだ不自由ではありますが、お箸を持って摘んだ食べ物を口まで運ぶことが出来るようになりました。ただ、その際左手を右手に添えれば、という条件がつきます。この角度なら痛みも出ません。しかしながら自力ではまだ上げることが出来ません。
『腕って重いんだな』
とつくづく思います。

術後3〜4週間で装具が外れる方も居られるようですが、私は正直まだまだだろうな、と思います。右腕を左手で添えて上にあげることが出来ても左手を離せばストンと落ちてしまいます。それでも、洗濯機を作動させたり、洗われた洗濯物を低い位置で干したり、洗われた食器を拭いたりすることは装具で右腕がしっかり固定されているならば出来ます。少しずつ無理しないで出来ることをしていきます。

まだまだ治るまでの道のりは長そうです。
整形外科でのリハビリは暫くの間、週に2回ペースで通うことになる見込みです。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko
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腱板断裂の手術が無事に終わりました

2023-07-19 18:04:37 | 腱板断裂
右肩腱板部分断裂の手術は、入院の次の日に全身麻酔で眠っている間に無事終わりました。
そして、担当医、看護師、理学療法士さんたちの手厚い看護のもと、予定通り1週間で退院できました。

現在退院後2週間ほどが経ち、その間2回のリハビリと、1回の診察(術後ちょうど1週間目。その際に抜糸)で整形外科に通院しました。今後も暫くは定期的に整形外科通いをする見込みです。今のところ順調な回復と言われています。

現在の日常です。
右腕は、痛みが出る為、可動域にかなりの制限があります。基本装具で固定して、動かせないようにもなっています。右手の指で今まで通りお箸を使うことはできますが、そのお箸でつかんだ食べ物を口に運ぶことが出来ないといった状態で、専ら食事は左手でトングのようなお箸やスプーンやフォークを使って食べています。
そんな状態なので包丁を扱うことも、まともにお皿を洗うこともできません。食事の準備や皿洗い、買い物などは全面的に主人にお世話になっています。感謝しかありません。有難いです。

右手の指は今まで通り動かせますので、トイレやお風呂、着替えなどは時間がかかるものの、1人で出来ています。ただ、縫われた肩の鍵がしっかり固定されるのに術後3〜4週間はかかるので、主治医からは
「その間は無理に動かしてはいけない、重い物を持ってはいけない、転ばないように注意するように」
と言われています。

人に頼ることに慣れない性格ですが、この際周囲に甘えて、無理のないところでできることをしながらリハビリを頑張って治療していきたいと思います。

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ヘアドネーションという活動を知っていますか?

2023-06-25 11:03:58 | ヘアドネーション
ヘアドネーション(Hair Donation)とは、小児がんや白血病などの病気、不慮の事故等で髪の毛を失った子どもたちに対し、医療用ウィッグを無償で提供する活動のことです。日本では2009年に国内初のヘアドネーション団体であるNPO法人Japan Hair Donation&Charity(JHD&C)が発足されました。
具体的には「完全に乾いている髪の毛31cm以上を団体に寄付し、団体はそれを使って医療用ウィッグを作り、提供する」という活動です。

私がこの活動について知ったのは、車いす着付師の資格を取るにあたり、福祉についての勉強を自身でしていた時でした。その時は漠然と、いつか私もそのような活動に参加し、誰かを笑顔にできたらな、と思いました。しかしながらその当時の私はいつも、肩にかかるようになると髪の毛を切りに行くという、ショートボブのヘアスタイルでした。

さて、いつものようにそろそろ切って欲しいと思った時に、諸事情で切りに行かれなくなる出来事が重なり、そうこうしているうちに更に髪は伸びました。良い加減切りに行きたいと思った矢先にコロナ禍となり、美容室に行くこと自体躊躇するような事態となりました。
その時、
『あ、これはドネーションの活動に参加しろということなのかも』
と自分なりに思い、それから伸ばすことを決意しました。
そして先日の6/14、ついに40㎝ほどをカットしてもらい、団体に発送することができました。伸ばす決意をしてから3年は経っていたでしょうか。

実は、私自身が今月の27日に右肩の手術をすることが決まっており、術後右手が暫く使えなくなれば、左手だけでは長い髪の毛を洗うのも、乾かすのも、ブローするのも、大変だと思ったということも切ることになる大きなきっかけとなりました。今回の髪の毛のカットは、手術、治療に自らが向き合う大きな決意表明の証でもあります。

私の髪の毛が誰かを笑顔にすることが出来ますように、そして、私の手術も無事に成功して自身が笑顔になれますように。







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肩腱板部分断裂の手術をすることになりました

2023-06-15 16:50:32 | 腱板断裂
去年の夏頃から右肩が痛くなりました。

主人がコロナウイルスに感染して自宅療養をすることになり、私自身の仕事が全く出来なくなった時でした。急に暇になったので、人気を避けてウォーキングをしたり家ではストレッチなどをして過ごしていました。
そのやり過ぎでしょうか…? 今まで色々なところで痛みを感じたことはありますが、今回のこの肩の痛みは、皮膚の表面ではなくて、奥の、奥の方からの痛みです。
「ここが痛い」
と指で指し示すこともできない感じです。こんな痛みを感じたことは今までありません。また、特に夜間に痛みを感じ、睡眠障害まで起こりました。肩の内部でおかしなことが起こっていると正直思いました。

主人のコロナが完治し、私の健康観察期間も無事に過ぎるや否や整形外科に行き、レントゲン、後日MRIでの診察を受けました。その結果、
「棘上筋(きょくじょうきん)の腱板が少し傷んでいるということ、そしてインピンジメント症候群である」
という診断をされました。
原因は長年の使い過ぎと加齢とのこと。
「手術するほどではありません。肩を動かす時、肩にある4つの筋のうち、傷んだ棘上筋を使わずに、傷んでいない他の3つの腱が上手に使えるようにインナーマッスルを鍛えて、傷んだ腱が修復されていけば痛みは取れます。温存療法です。」
と言われ、リハビリが始まりました。

定期的に整形外科に通って医師に診察をしてもらい、また病院の理学療法士さんと一緒に、また家でも自分で出来るリハビリを一生懸命続けていきました。肩の動かす角度によって痛みが出たり出なかったりするのですが、
「痛みが出ない角度であれば動かして良い」
ということでしたので、その角度を探りながら日常や仕事も自分なりに気をつけながら過ごしていました。

ところが、8ヶ月ほど経過しても痛みが取れないので、再度MRIと超音波の検査をしていただいたところ、何と、棘上筋の部分断裂が認められました。前々からインターネットでも、腱板が少しでも断裂をしてしまうと自然に治ることはほぼ無いこと、放置していると進行していくことなどを情報として知っていたので、正直
「えらいことになったなあ」
と思いました。医師からは、今後の治療として、
「手術せず、これ以上傷が広がらないよう温存治療(これは今まで散々やってきたことですね)を今後も続けていくか、手術で断裂部分を塞いでからその後回復するようなリハビリを続けていくか」
の、2つの案を提案されました。

その後色々考えましたが、以下の理由から、手術をしてしっかり断裂部分を塞いでもらってから、リハビリできちんと治していくことが、私にとって前向きで希望が持てる答えであるとの結論に至りました。
1. 何より現在も痛みがあること
2. 今までさんざんやってきたリハビリでは効果が出ないばかりか悪化させてしまったこと
3. 年齢があがると手術が出来なくなる可能性があったり、術後の治りが遅かったりするリスクがあるらしいこと
4. 私の着付けの仕事を今後も続けていきたい気持ちが強いこと

そして医師に、
「手術をお願いしたいです」
と申し出ました。すると、
「やはり、川口さんにはその方が良いかもしれませんね」
と言われました。

現在受けている6/24までのお仕事を終えたら一旦区切りをつけ、その後の仕事はお受けしないか、もしくはお弟子さんたちに全面的にお任せすることにしました。そして、6/26の入院、27日の手術、来月7/3に退院というスケジュールが決まりました。そういう訳で、暫し治療に専念します。今は現在受けているお仕事を終えること、そして無事に手術日を迎えられることを目標に、そしてその後はしっかりリハビリをして、早く日常生活が取り戻せるように努め、お仕事にも早く復帰出来るようにしたいと思います。

可能であれば治療中の出来事や奮闘記などを、この場でアップしたいと思っています。同じ症状でお困りの方に向けて少しでも参考になれば幸いだと思っています。

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雨の日でも安心して着物が着られるには

2023-06-14 17:42:04 | 着付け
先日、朝から晩まで雨風強い一日がありました。

前々からこの日は結婚式に参列されるご予定の方から訪問着の着せ付けを頼まれていましたが、この悪天候の中ではキャンセルになるかもしれないな、と内心思ったりしていました。絹製品は水に濡らしてしまうと生地が縮んだりシミになることがあり、自分では修復ができないようなことが起こる可能性があるからです。ですが、キャンセル連絡も入らず、念の為こちらからも連絡を取ってみましたが、
「予定通り着物で行くので宜しくお願いします」
とのことでしたのでお客さまのご自宅に伺いました。

この大雨のなか、着物で出かけられるのであれば、雨コートなどの雨対策グッズを用意されていらっしゃるか、着付けのあと雨に濡れないよう、ご自宅の玄関先に車を横付けされるのかな、と思っていました。
でも伺ってみるとそういうご準備も無く、ご自宅から駅まで、そして式場の最寄り駅からも普段通り傘をさして歩いて行かれるとのことでしたので、ご衣裳やお草履のことを考えると大変心配になりました。
「着物を購入したお店では5年間、着た後のメンテナンスは無料でやってくれることになっているから大丈夫」
と仰るので、そんなサービスもあるのね、と思いつつ、それでも草履や足袋は濡れますし、鼻緒や台は絹の帯地で作られた高価なものと思われましたので、思わず持ち合わせた草履カバーをお貸しすることになりました。私自身、着付けを終えて帰りしな、お客さまのご自宅から駅に向かうまでの間だけでも大分濡れたので心配していましたが、その日の夕方、
「結婚式に行ってきました。お借りした草履カバーのお陰で草履も無事で、食事も沢山食べられて着崩れもなく過ごせました」
とメールが届いて安堵しました。

私は雨のなか着物(晴れ着)を着る場合は、必ず雨コートを着て草履カバーを草履に装着して徹底的に濡れないように防御します。
でも正直暑い季節を迎えた時には、雨の中コートを着用して過ごす道中は本当に大変なものです。そう考えると、やはり着物を購入された時に後々のメンテナンスを無料でしてくれるサービスをつけておくことや、防水、防汚加工などをしておかれることは一時はお金がかかりますが、長い目で見た時には良いのかもしれません。
或いは、何より「現地で自分で着ることが出来る」という選択肢かあることは最強です。これなら大雨が降ろうと、炎天下であろうと道中は気にせず快適に動くことができます。結婚式場などではほとんどの場合更衣室がありますから、冷暖房の完備されたお部屋で着替えれば良いのです。

やはり、自分で着られると色々なところで融通が効いて便利だな、と改めて思いました。

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音符、ピアノの鍵盤柄の帯を作成しました

2023-06-14 17:14:52 | 和裁
先日、声楽家の生徒さんから、ご自身が出演されるコンサートに招待されました。
私は音楽が大好きですし、大変嬉しく思いました。コンサートには着物を着ていこうといつものように漠然と思い、何を着ていこうかな、とそちらもウキウキと過ごしました。

前々から実はトライしてみたいことがありまして…、それは帯の制作です。
ある着物好きのYouTuberの方が、使わなくなった帯の上に手拭いを縫い付けたり、レースの布を縫い付けたりして素敵な帯に変身されている様子を拝見していて、私も時間が取れたら是非ともやってみたいと思っていたのです。
大分古く柄も私には派手になってしまって、そろそろお役御免かしら…と思っていた帯に、お気に入りの生地を探してその方のように貼り付けようと思いたちました。コンサートに行くのだから、音符とか、楽器とか、楽しい柄の布は無いかと探していましたら、インターネットで音符やト音記号、ヘ音記号、ピアノの鍵盤などがデザインされた楽しい柄の布を発見したのです。しかもかなりリーズナブルだったので(1,000円くらいでした)思わずポチりました。
生地は注文して2日後の午前中には届き、その日の午後からはお仕事がたまたま無かったので、
「よし!作ってみよう!」
と早速始めました。

要らない帯の上に購入した布を乗せて、物差しや定規で測ったり、印をつけたりすることもなくフリーハンドでジョキジョキと裁断し、ただ帯の上からザクザクとまつりつけていきました。布はニ巻き目でお腹の部分に来るところと、お太鼓になるタレの部分だけでも良いですが、生地が余ったのでお太鼓の中に通る手先部分も40㎝ほど、計3箇所縫い付けました。そして、テレビを見ながら、あっという間に帯は完成しました。実は私、ちゃんと帯地と帯芯も用意して一から帯を作ったこともありますが、結構時間がかかったのを覚えています。それに比べて、何とこの帯、簡単なことか!おまけに、また縫いとめた糸を切れば元の生地、元の帯に戻ります。エコですよね。
こんなに手軽に帯に仕上がるなんて、嬉しい限りです。

思わず出来上がった帯を生徒さんたちに見せびらかしました。
生徒さんの中には大変興味を持ってくださった方も居られて、
「私もやってみます!」
と仰っていました。着物も、洋服と同じでコーデを考えたりするのは楽しくなくっちゃですよね。
この帯をどのような着物に合わせるのか、半衿、帯揚げ、帯締めをどのようにテーディネートするか…、色々考えてはウキウキ、そして久しぶりに生徒さんの活躍を拝見するのだと思って過ごすのもウキウキでした。

着物を着るのは冠婚葬祭時だけじゃないですよ、着物が着られたら洋服+αのコーデが楽しめます。


↑仕上がった帯

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クレームから考える着付け方の改良について

2023-04-30 13:28:54 | 着付け
大学の卒業式の着付け業務に携わるにあたり、クライアントさん主催の講習会に出席した2月初めのお話です。
クライアントさんは毎年卒業式に携わるなかで、着付けで去年はこのようなクレームがあった、あのようなクレームがあったなどのお話しから、今年はそういうことを回避するためにこういう工夫をして欲しいとか、ああいうことに気をつけて欲しいなどのお話しが例年あります。
それらのクレームの中で、
「お客さまの着物に伊達衿を縫い付けられた」
ということを聞きました。
「?」
こちらの現場では針や鋏を着付け師が現場に持って入ることを禁じています。こちらのご衣装には既に着物に伊達衿がついていますし、ご衣裳の点検や準備なども原則クライアント側が済ませていますので、着付け師サイドが針や鋏を使う必要はそもそも無いのですが、私が直接お客さまとやり取りをするような場合は伊達衿を付属の留め具で止めるか、無ければ縫い止めさせていただくことは普通にあることです。
そうすることによって着物の後ろ衿で伊達衿が飛び出してくるような心配が回避出来るからです。
私自身、着付け教室に通っていた時も、先生からは伊達衿は着付けの前に縫い付けておくようにと、その縫い付け方も教わっています。

クライアントさんが仰った内容は、
「針を持ち込んではいけない現場なのに針を持ち込んで縫い付けた着付け師がいたということなのかな?」
とその時は単純にそう思いました。ですが、その後、私に直接着付け依頼をしてこられたお客様がご用意された貸衣装に、「着物着付けをされる方へ」という紙が入っていて、それには追加請求の対象となるNG行為として、
『伊達衿を縫い付けること、衿を固定する為に縫うこと、両面テープを使用すること』
と書かれていました。衣裳に傷がつく可能性があるからでしょうか? でも、お客さまだけでなく自分自身の着用時でも伊達衿は縫い付けていますし、半衿の中で衿芯が泳がないように固定するために半衿の一部を少し縫うようなこともありますが、私自身、着用後衣裳に傷がついたことも無いですし、お客さまからクレームを受けたこともありません。
レンタル衣裳屋さん側として、次のお客様にスムーズに出荷できるように、返されたご衣裳に縫われた糸を取り外す作業という工程を省くための協力依頼なのでしょうか?或いは太い針と糸を使ってブスブス縫った着付け師でも居て、実際にご衣裳に傷がつくような事例があったのでしょうか?
別段縫い付けずに着物クリップで固定して着せつけをして(着物クリップは後で外す)綺麗に着せ付けが出来ないということでは無いです。ですが、長時間着て過ごしたあとに伊達衿が後ろで飛び出してきたり、衿芯が動いてだらしない着姿になるようなことはないのでしょうか?
私自身、長時間過ごした時に、それら『縫う』という作業をしない場合どのように崩れるか或いは崩れないのか否かの検証をしたことはありません。長年、恐らく多くの着付け師が良かれと思って当たり前のこととしてきたことでもクレームになったとか、NG行為にあたるなどと聞かされればその意味を深く考えて、今後の着付けについて改良していかなければならないと思いました。

着付けもファッションとしての流行を追った着せ付けの変化だけでなく、さまざまなクレームを通して工程や技術は進化していくものです。これでいいと学びを止めてしまっては駄目ですね。
着付けも日々勉強です。

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着付けは誰に頼みますか?

2023-03-21 21:40:55 | 着付け師
私の教室には、人への着せつけの勉強をして将来着付け師として仕事をしたいと思われる方がいらっしゃいます。私は
「着付け師は、お客さまに着せつけをした際、楽で綺麗で着崩れない着せ付けをして、『また然るべき時には着物が着たいな』と思ってもらえるような着付けをしなければだめですよ」
と言っています。そのためには相当の練習や実践を積んでいかなければなりません。

先日、同業の着付け師で着付け講師をしているお仲間の先生から、
「私の美容師の生徒さんが、一回講習しただけで、二回目の講習を受ける前にお客さまを取って実践をしてしまったそうなのよ。二回目の講習のとき、一回目に教えたこともろくに出来ない状態で、お客さまには一体どんな着せ付けをしたのかと考えると恐ろしくなったわ。着付けでお金を頂戴することを甘く考えていたので怒ったのよ」
と聞きました。その生徒さん曰く、
「一回講習を受けて、YouTube動画を見て、出来るような気になってしまった」
とのこと。私の生徒さんにその話しをすると、
「確かにYouTubeを見ていると、簡単に出来るような気になることってあるんですよねー。でも実際やってみると出来ないんですよ。一回だけお稽古した程度の技術で、お客さまからお金を取るとか、着付けやお客さんを何だと思っているのでしょうね。やればやるほど不安になるくらいですのにね」
とのお返事。

そうなんです。着付けでお金を頂戴するって、そんなに簡単じゃないです。しかも冠婚葬祭、セレモニーなどでの着用シーンでは、着心地もさることながら、お客さまがより綺麗に見えて着崩れない着せ方をしなければなりません。
着付けはこの資格がなければ仕事が出来ないということが無いが故に、悲しいかな意識甘く、着付けをしてお金をいただく方が居るのも事実のようです。

生徒さんたちが全うなお返事をされたことに安堵した一方で、お客さまが一生に一度の大切な機会を着付けで台無しにされないようにするにはどうしたら良いのか、大いに考えさせられました。

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「女紋」についての深掘り

2023-03-16 16:31:35 | 女紋
先日、女紋についてのブログを書きましたが、そこで私が分からずにモヤモヤしていることについて何とか解決したいと思い、思い切って「女紋」の研究家に直接ホームページからメールで問い合わせてみました。すると、
「こちらまで電話をしてください」
と、電話番号が書かれたメールを頂戴することができ、早速電話してみました。
 
私のモヤモヤの内容は大きく次のとおりです。
1 私は女紋というものの存在を知らない状態で結婚した(結婚後、女紋という考えがあることを知る)。
実母に結婚前に着物の喪服を誂えてもらったが、その紋(丸に剣酢漿…実家と婚家は偶然にも同じ家紋)を見た義母(京都人)に、
「男紋がついていておかしい」
という趣旨のことを言われたので京都ではこちらの着物を着用出来ないでいる。やはりこの着物を京都で着ることはおかしいことなのか?
2 関西の知人に
「女紋というのは代々女性に継がれていく紋だ」
と聞いた。しかし義母の紋が付いている着物にはそれぞれの着物で紋に統一性がない(アゲハ蝶、蔦、中陰桐胡蝶)。これはどういう考え方からなのか?
③私が義母から譲り受けた黒留袖には「中陰桐胡蝶紋」がついている。
黒留袖は必ず五つの染め抜き日向紋を付けるものだと思っている(着付け教室でそう教わったし、テキストにもそのように書いてある)。何故「中陰紋」をつけているのか?
何か意味があるのか?
④私自身の母(島根県出身)も女紋を持たない。そして、そういうものの存在についても知らない。
私が今後紋付きの着物を誂えるならどんな紋を付けたら良いのか?
 
研究家の解答
まず、私の色々なモヤモヤについて最後まで聞いてくださり、
「あなたも、着物を誂えてくださったお母さまも嫌な思いをされましたね。折角誂えた着物にケチをつけられて、着られない状況にさせられているということですからね。女紋なんて、ほぼ一部の地域だけの習慣で、その習慣を知らない人の方が多いくらいのもんですよ。その女紋にもこれといった定義は無くて、色々な考え方があります。
話しを聞くに、恐らくあなたのお義母さまの考える女紋というのは、女性ならどなたでも着ることが許されている…通紋(五三桐、アゲハ蝶、蔦)という考え方なんでしょうね。誰でも女性なら着られるという考え方から、この紋が付いているからあなたに譲るよ、と他の親戚やら知人やらから譲り受けたりして、結果こちらの紋が付いている着物が沢山集まっているといった家は多いと思います」
とのこと。
 
また、女性が着るレンタルの紋付きの着物には無難に「五三桐」がついていることが多いが、レンタルのものと区別をしたいがためにこちらの紋にアレンジを加えた紋をつける考え方があることや、
『黒留袖には必ず染め抜き日向紋をつける』
というのは逆に関東の習慣で、関西では中陰紋を付けることもあることなどをお教えいただきました。
 
そして、私が関西で
「丸に剣酢漿の喪服を着るのはおかしいのか」
ということについても
「おかしくありません。あなたが京都の方と結婚したからって、あなたのお母様の、(女性であろうと)代々の家紋をつけるという考えは間違っていないので、もしも男紋がついていておかしいと言われるような人が居れば、あなたが色々な考え方があるということを教えてあげたら良いですよ。そしてそれでもうるさく言う方がいれば女紋の研究家の私が良いと言ったと言ったら良いですよ」
とも言われました。そして、今後私が紋付きの着物を誂えるならどんな紋をつけたら良いのかということについても、少しの迷いもないかの如く即座に
「『丸に剣酢漿』です。だって、あなたには女紋は無いのだから。誰でも着られるからと無難に五三桐をつけるなんていうのはやめておおた方が良いと思いますよ。あなたはきちんとあなたの家紋を知っているんだし、それを大切にするご実家の考えを継承したらいいんです」
とのこと。
 
長年モヤモヤしていたことが腑に落ちて凄くすっきりしました。
現代のように何でもインターネットで調べれば情報が取りに行ける時代でもわからないことがあって、専門の研究者がいらっしゃることが有り難く思えました。
そして、自分が当たり前だと思っている習慣を、それを当たり前だと思っていない人に「おかしい」と自分の考えを押し付けるのではなく、他者の考え方も理解し合うことは大切だと思いました。
「みんな違ってみんないい」
の精神で寛容な人間でありたいと思うと同時に、私は実母の誂えてくれた「丸に剣酢漿」がついた着物を大切にして然る場面が来たならば例え関西であろうと着用したいと思いました。
然る場面は喪服なだけに出来るだけ来て欲しくはないですけどね。

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他の着付け教室の先生方に無理だと言われたけど無理じゃなかった!

2023-03-15 21:37:01 | 着付け
先日、ご事情があって短期間で着物が着られるようになりたいと仰る方からのお問合わせが電話でありました。
「海外で着たいのですが出発までに間に合うでしょうか?どうしても無理ならば洋装にせざるを得ないと思ってはいるのですが…」
とのこと。
着物は訪問着、帯は袋帯のお太鼓結びの手結びです。
「通常ですと、そもそも何回位通ったら出来るようになるでしょうか(目安)?」
と尋ねられましたので
「ご自宅でどの位復習できるかにもよりますが、通常のお稽古で多くの方は十数回で一通りの着物(普段着から礼装まで)で一通りの帯(半幅、名古屋、袋帯)を用いて基本の結びが出来るようになられています。でもお話を伺うに、今回は一通りのことをゆっくりしている時間は無いので、着る予定になっている訪問着と袋帯を用いて、初めから二重太鼓をされたほうが良いかと思います」
と言いましたら
「出来る限り自宅でも練習しますのでお願い出来ますか?」
とのこと。取り敢えずいらしていただいたのが2/2。出発は2/23です。私と彼女の都合がつく日にちは私のスケジュール帳と照らし合わせるとトータルで5日ほどしかありません。
4日で基本出来るようにして、後の一日は総復習にしましょう!
 
特訓が始まりました。
2回目のお稽古の際にその生徒さんが
「実は私、こちらの他にもいくつかの個人でやっていらっしゃる着付け教室に連絡して受け入れてくださるか聞いてみたんですけど、『正直に申し上げます、こんなに短期間で出来るようになるのは無理です』と言われたんですよ、駄目元でこちらに連絡してみたら繋がってしまって(笑)そして特訓してくださるって仰ったので…」
「あら、そうなんですか。大丈夫、着られるようにご指導しますので」
と言いながら
『なるほどー、ほかの着付けの先生は出来ないと言われたのね、それじゃあ私がやってやろうじゃ無いの❗️』と思いました。
生徒さんのやる気が感じられたこともあり、私自身も相当の熱量でみっちりお教えしました。
そしてタイムリミットのお稽古最終日、きちんと、綺麗に着られるようになった生徒さんを見て
「無事出来るようになられて、私も嬉しいです。今回、私自身アドレナリンが相当出ていたような気がします」
と思わず生徒さんに言いました。
「どこの教室も受け入れてくださらなかったのに丁寧にご指導いただき、何とか出来るかな、と思えるところまで辿り着けました、有難うございました」
と、仰っていただき嬉しくなりました。勿論これは私の努力だけではないですが、このように他の着付け教室の先生方が匙を投げるような難しい案件⁉︎のハードルでも向き合って越えることにやりがいを感じ、これからもむしろそれを面白がってお仕事をしていこうと思いました。
 
PS: 後日、海外に向かわれたその生徒さんから、無事に着物を着られたとメールとその時のお写真が画像で送られてきました。
着られたご本人、さまざまな反省点はお有りだったようですが、お写真を見る限り綺麗に着られていて、私まで嬉しくなりました。
また、現地の方々にも大変喜ばれたとのこと。
海外で「着物」という日本の伝統文化の紹介が出来たということも意義あることだったと思いました。
着物を着るという挑戦のお手伝いが微力ながらもできたことを幸せに思いました。

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