着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

「福祉 車いす着付師」に認定されました

2019-10-27 11:40:19 | 車いす着付け師
私の教室の生徒さんの中に、お母さまが大の着物好きな方がおられます。ところがそのお母さんは、楽しみだったお孫さんの結婚式への参列を諦められた、というお話を聞きました。その理由は、ご高齢で車椅子の生活をされているため、着物が着られないからということでした。

お孫さんの節目のお祝いを迎えるにあたり、着物を着て身支度を綺麗に整えて臨まれたかったのでしょうのに、それが叶わなかったのです。

それを聞いて、車椅子生活をしていらっしゃる方にも、着物を着たいと思われた時に着せて差し上げる技術を持っていたらどんなに良いだろうか…と思うようになり、その勉強が出来るところを探していました。そうしたところ、認証NPO法人日本理美容福祉協会主催の「福祉車いす着付け師養成講座」を見つけました。

こちらの講座の車椅子着付けの特徴は

■車いすに座ったまま着物を着せ、帯を結ぶことが出来る。
■新たに道具を購入する必要はなく、手持ちのもので着付けることが出来る。
■2〜3分でお太鼓や二重太鼓等を結ぶことが出来、お客様のご負担を極力減らせることが出来る。
■着物や帯は解いたり切ったり縫い付けたりしない。
■車椅子着付け後の立ち姿は、通常の着付けと殆ど変わらないので、お手洗い後の着せ直しやお直し等の必要がない。
■冠婚葬祭時、気軽に留袖や喪服を着ていただくことが出来る。

というものです。

私の別の生徒さんで、ケアマネジャー(介護支援専門員)として介護施設にお勤めの生徒さんにその講座の話をしたところ、
「私も行って勉強してみたいです」
と意気投合することになり、二人で受講の申し込みをし、先日、二日に渡る受講をしてきました。

この講座では先ず福祉そのものについて学びました。車椅子や介護用ベッドの安全な操作方法や体の不自由な方が心地よくいられるためには如何にすべきかなどです。そしてその上で安楽な着付け方法を学ぶことが出来ましたので、とても意義あるものでした。

こちらの受講で出来るようになったお着付けは、車椅子に乗られた状態やベッドに寝ていらっしゃった状態のままでの

●小紋などに名古屋帯で一重太鼓結び
●訪問着、留袖などに袋帯の二重太鼓結び
●振袖に変わり結び

です。

浴衣のお着付けについても勿論応用できるはずですし、和装の花嫁衣裳のお着付けにも対応できるのではないかと思い、こちらについても研究していきたいです。

今回は、こちらで開催されている中級.上級コースとプロコース全課程を終了し、「福祉車いす着付師」として認定証をいただきました。勿論一回の講習で技術が完璧という訳ではありませんので練習や研究は必要ですし、お客様の障がいの度合いによっては専門の勉強が必要になることもあるかと思います。ただ今まで車椅子生活で着物を着ることを諦めていらっしゃった方々に、少しでもお役に立てればと切に思います。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko


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