私が大学に通っていた30年以上前は、卒業式だからと言って女学生さんたち皆が袴姿になるという時代ではありませんでした。
当時たまに見る袴姿のお嬢様について、私の大学のある先生は、こう仰っていました。
「お嬢様が卒業式に和服を着るなら、ミスの第一礼装の振袖を着られるなら兎も角、袴姿は本来ならおかしいと思いますよ、だって昔の女学生の普段着ですもの…。礼服ではないんですからね」
あれから時が流れ、卒業式に参列される女学生さんたちは殆どが袴姿となり、これが日本の伝統文化になっていると言っても過言ではない時代になりました。
その間私も着付け師になり、毎年卒業式に向かわれる学生さんたち沢山に袴の着せ付けをしてきました。
さてこのところ多くの着付け師さんたちが、インスタやYouTubeなどでこぞって袴紐の結び方のアレンジ画像やその方法などについて紹介されています。それらを見るにつけ、正直、こんなに崩して良いのかなあ…と少し違和感をもっています。
袴についても最近ではとても派手な模様が入った生地で出来ていたり、袴紐の生地も表裏で色柄が全く違うものになっていたりと、華やかなものが沢山登場しています。
普通の紐の処理の仕方↓
アレンジした紐の処理の仕方のほんの一例↓
まだこのくらいのアレンジならかわいいものですが、昔の女学生はこんな着方していなかったであろう、袴の背から半端帯の結びを見せて装着する方法までが登場してきました。
これは一体誰が考え出した着付け方なのでしょう? その斬新な着せつけ方には驚きます。
私の着付けの先生は、
「卒業式、入学式、結納、披露宴…などへの参列で着物を着用するお客様には、あくまでその場がセレモニーであることを重視して、着付け師は着崩すことや遊び心のある着付け方で目立った装いを提案すべきではないし、ご提供すべきてはない」
と仰っていました。
しかしながら最近見かけるこれらの紐の結び方のアレンジや、今までの王道ではない着方を、もしも着用するお嬢様たちがこぞって受け入れて、これが大流行するのであればこれが文化となっていくのかもしれません。いくら
「私の先生がこんな着方をすべきではない」
と仰ってましたと言ったところで、その着方を「良し」と思うお客様が「こうして欲しい」と仰るのであれば着付け師はある程度それが出来るようにしておかなければならないと思います。伝統的な着方も大切にしながらもファッション的な着方にも大きなアンテナを立てて日々の流行もチェックしなければプロとは言えませんよね。
お嬢様のご家族たちや学校サイドがどう思われるのかも気になるところではありますが、今後の動向を注意深く見守ることが大切になると思います。
本当にこの仕事は奥が深く、勉強には終わりがないな、とつくづく感じています。
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko
当時たまに見る袴姿のお嬢様について、私の大学のある先生は、こう仰っていました。
「お嬢様が卒業式に和服を着るなら、ミスの第一礼装の振袖を着られるなら兎も角、袴姿は本来ならおかしいと思いますよ、だって昔の女学生の普段着ですもの…。礼服ではないんですからね」
あれから時が流れ、卒業式に参列される女学生さんたちは殆どが袴姿となり、これが日本の伝統文化になっていると言っても過言ではない時代になりました。
その間私も着付け師になり、毎年卒業式に向かわれる学生さんたち沢山に袴の着せ付けをしてきました。
さてこのところ多くの着付け師さんたちが、インスタやYouTubeなどでこぞって袴紐の結び方のアレンジ画像やその方法などについて紹介されています。それらを見るにつけ、正直、こんなに崩して良いのかなあ…と少し違和感をもっています。
袴についても最近ではとても派手な模様が入った生地で出来ていたり、袴紐の生地も表裏で色柄が全く違うものになっていたりと、華やかなものが沢山登場しています。
普通の紐の処理の仕方↓
アレンジした紐の処理の仕方のほんの一例↓
まだこのくらいのアレンジならかわいいものですが、昔の女学生はこんな着方していなかったであろう、袴の背から半端帯の結びを見せて装着する方法までが登場してきました。
これは一体誰が考え出した着付け方なのでしょう? その斬新な着せつけ方には驚きます。
私の着付けの先生は、
「卒業式、入学式、結納、披露宴…などへの参列で着物を着用するお客様には、あくまでその場がセレモニーであることを重視して、着付け師は着崩すことや遊び心のある着付け方で目立った装いを提案すべきではないし、ご提供すべきてはない」
と仰っていました。
しかしながら最近見かけるこれらの紐の結び方のアレンジや、今までの王道ではない着方を、もしも着用するお嬢様たちがこぞって受け入れて、これが大流行するのであればこれが文化となっていくのかもしれません。いくら
「私の先生がこんな着方をすべきではない」
と仰ってましたと言ったところで、その着方を「良し」と思うお客様が「こうして欲しい」と仰るのであれば着付け師はある程度それが出来るようにしておかなければならないと思います。伝統的な着方も大切にしながらもファッション的な着方にも大きなアンテナを立てて日々の流行もチェックしなければプロとは言えませんよね。
お嬢様のご家族たちや学校サイドがどう思われるのかも気になるところではありますが、今後の動向を注意深く見守ることが大切になると思います。
本当にこの仕事は奥が深く、勉強には終わりがないな、とつくづく感じています。
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko