車両保険には「一般」と「クルマ+クルマ特約」の2種類がある。
後者は相手が“車”に限定されるので、壁にぶつかった自損事故などには使えない。
このために保険料は、何にでも使える「一般」よりもはるかに安い。
法人のA様は何台も所有なさっていて全車両に「一般」まで加入されていて、平均
すると月に1台以上は修理依頼を頂くから上お得意様だ。
今回入庫のノートは、右側後方のこすり傷の修理だ。
フェンダーとリアバンパーともに修理で対応できそうだったが、よく見るとその前方、
ドア2枚にイタズラによる引っかき傷がくっきりと付いていて、リアドアでのボカシ塗装
ができない。
こちらも修理が必要で、それどころか当然リアだけというわけには行かないからフロ
ントも直せばもともとの傷よりこちらの方が高くなる。
個人契約ではこれは「2つの事故」となるので車両保険を2度使うことになり、翌年
度は原則6等級、割引が戻ってしまうから60%も保険料がする。
これは大きな負担増で、保険を使って直すかどうかは割り増し保険料との損得勘定
ということになる。
保険を使う場合、車両保険による修理は原則的に全件、損害調査員が現車を見に
来るので別件の破損をついでに直すことは表面上は難しい。
残る方法は工場が便宜を計ることで、一言で言ったら新品部品で見積もられる損害
金額を、中古品等を使って有効に活用すればよいのだ
ここが長年培った一つのノウハウで、多くのお客様に喜ばれている。
一方、法人契約では等級が戻る、と言う処理はない。
あくまでも1年間に保険会社が支払った保険金(修理代)によって翌年の保険料が
算出されるのだから、単純に損得勘定はしづらいが基本的に小さな破損も直し易く、
修理の範囲もうるさくはない。
今回の修理は、リアフェンダー部だけで普通約5万円は見積もれるので、保険会社
に協力を依頼して修理範囲を広めに見てもらい、+4万円の合計約9万円で全ての
キズを修理することになった。
通常見積りでは当然金額不足だが、前回A様からお預かりしている分があるので
それを充当して、それでも足りない分はサービスにした。
車両保険で“別件”のキズは工場の協力があれば、全部とはいかない
までも一部は直せることになる。