年配者はあまり使わない「きんきん」や「さくさく」「ほっこり」などの言葉はもちろん
「流れに棹さす」「気が置けない」などの慣用語の意味を
取り違えて使ったからといって大きな問題になることはほとんどないでしょう。
ただ、何年も続けてこの国語世論調査で取り上げられている「役不足」は
公の場で、それも誤っているだけでなく正反対の意味に使われることが多く
往々にして非常に失礼なことになるので始末が悪いと言えます。
正しい意味は「素晴らしい役者に対して、役柄が不足している」という意味
つまり、「能力のある人につまらない仕事・簡単な仕事をさせる」という意味なのですが
例えば上司に重要な任務を命ぜられた時に、本人は謙遜の意味を込めて
「役不足ではありますが頑張ります」などと言った日には
それは謙遜どころではなく、本来は任務が自分にとって
不当に軽いものである不満を表していることになってしまうのです。
もっとも、正しい意味を知っている42%の人の中には
それを承知の上で使っている人が多いとも言われていますので
言いたいことは多分、伝わっているのでしょうが、分別のある大人は
言葉遣いの間違いなどいちいち指摘してはくれず釈明の機会も与えられないわけで
敢えて間違った使い方をして誤解されてしまう危険性もあるのですから
こうした「私には荷が重い」という使い方をする場合には
「役者不足」「力不足」「「経験不足」などの言葉に置き変えた方が無難というものです。