ボサボサの髪を指でいじる癖のあるA弁護士の
助言を要約すれば「Mさんは、もうどうなっても良いと
"逃げ"ているように見え、強制力がない調停は時間の無駄に思える」。
これはある意味、私には一番難儀に思える方向で、資金の有無の
実態は不明にしろ「したくても三桁の万単位のお金はない」の
対処の仕方は過去71年間に経験したことがないのです。
かつて"その道の方"の二桁の未回収金催促の際は
知り合いの同じ"その道の方”に依頼したら、半分を手数料として
支払いましたが3日で回収、もう一回の裁判所依頼のケースでは
36カ月の分割払いで「和解」の決着を見ています。
どちらも売掛金発生の日から数年経っての強制力行使でした。
一桁の話ならシツコイ請求で何とかなることは知ってはいても
二桁の売掛金でさえこれだけ苦労したのですから、今回のような三桁
それも我家だけが損害を被る危険を感じながら悠長に構える
精神的余裕などないとなると、さて。。。
不潔感を感じたA先生に依頼することは当然あり得ないのにしろ
ここはやはり高校の同級生のT弁護士に依頼してでも
Mさんに恨まれることは覚悟のうえで、強制的かつ迅速な解決を
図ろうと熟慮の結果決心したのは数日前のことでした。
ところがその翌日、なんとMさんから
「話があるので自宅に来て欲しい」と電話があったのです。
ほぼ1カ月ぶりとなる2回目の話し合いに臨むべく気持ちを引き締めて
即刻お隣りに駆け付けると、明らかに前回の終盤シーンとは異なり
ピリピリ感のない友好的雰囲気で迎え入れてくれました。
(えっ、なんで?)
「入居ホームが外出禁止になっていたので帰宅できなかった」と
まずはMさんの挨拶代わりにしばし音信不通だった
真偽不明の言い訳からスタート。
(もあるのに、とは思いつつも飲み込んで)
今さら時候の挨拶など白々しいと思い、すぐに単刀直入に
「様々に探ってみたが行政は市の100万円の補助金以外の施策なし」
「行政による代物弁済はあり得ない」「損保系保険は一切適用されない」
結果として「最低でも600万円程度になる建て直し工事をMさんの
全額負担で実施していただくしか方法はない」と改めて明言。
それを聞いたMさんが口にされたのは
「年金での生活が一杯一杯なので、そちらで・・・」
「」
要は前回「行政の代物弁済」を口になさったタイミングで申し出た
「工事は私が行うので、家と土地を将来無償で譲って欲しい」
という提案を受け入れるということでした。
1カ月以上前からの2通の内容証明は「保管期間経過」で返却になり
入居ホーム宛の書留は配達されたものの、その後もご自宅には
戻られていないことから、基本、話し合いによる解決は
諦めようと決心した直後での、まさに急転直下の事態の好転でした
(続く)