株式会社プランシードのブログ

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その346.観光地化は初心を腐らせる?

2017-08-30 10:47:36 | 制作会社社長の憂い漫遊記
市場が高騰している。
といっても株ではない。
木津市場や中央卸売市場、黒門市場など、
これまで安くて、旨くて、ボリューミーが売りの
食堂や寿司店が、軒並み高くて不味い店になっている。
そもそも市場の中の食堂だから雰囲気で食わせる訳ではない。
キレイなお姉ちゃんが給事する訳ではない。
白長靴を履いたアンチャンや、
化粧けのないオカンが笑顔と愛嬌で迎えてくれる。
勝負は提供する食べ物であり、
味・量・価格がすべてである。

仮に不味くても、安くて量があれば
「公立高校の学食」とあきらめもつく。
あってはならないが仮に高くても、
旨ければ「当たり前田の広島カープ」とあきらめもつく。
しかし、市場が観光地化してしまい、
価格も味も量も最低最悪になっている。
本町や中津、四つ橋などのビジネス街で
650~700円の定食が、
1000~1500円とほぼ倍。
なのにその味たるや価格に見合わない酷いもので、
特に定食の決め手である米がチョー不味い。
米そのものが、二軍か三軍な上に、
炊き方が適当でベチョベチョ。
初めての飯盒炊さんでも、もーちょっとましに炊ける。
仮に二軍の米であっても、
水加減など工夫すればもっと旨くなるハズ。
観光地化する前、市場の労働者が主顧客だった頃は、
もっと丁寧に料理を作っていたことだろう。
「市場で夜中から働く人たちに温かくて
美味しものを食べさせてやりたい」が初心であり、
一生懸命作っていたハズだ。
しかし今の味はどうだ。
こんなものをビジネス街で出せば3日で店は潰れてしまう。
「やる気あんのか~」と叫びたくなるが、
当事者は意にも返さず
「ほっておいても客は向こうからくる」と確信犯。
単なるラッキーで、ある日、観光地化して、
SNSの力で外国人客が
ドンドンきてくれるようになっただけなのに・・・
売れてくると錯覚して手を抜いてしまう。
いずれそのSNSにしっぺ返しを食らうことになる。
観光地化してもきっと早い・旨い・安いを
貫く店はあるはずだ。
長蛇の列ができても、そんな店なら並びたい。

私はとある市場で、価格でいえば200円級の
チョー不味い・チョー貧相な量・なのにメチャ高い
1000円定食を食べて、
同じ作り手として我に返ることができた。
景気に左右されることなく、
初心を忘れることなく一生懸命汗をかいて、
顧客の喜ぶ笑顔を目指して仕事に励まねばならないと。
慢心を戒めるよい機会を、とある市場の1000円定食が
気づかせてくれたのだから、
高くついても意味があったのかもしれない。
でも二度とあの店に行くことはない。

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