株式会社プランシードのブログ

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その431.2泊3日ロケが明日から始まる

2019-09-16 14:28:26 | 制作会社社長の憂い漫遊記
5年ほど前に、ある会社の入社案内VPを製作したが
昨年改訂依頼があり撮影をし直し、本年初に完パケ・納品した。
その一年前に製作した別の会社の入社案内VPがキッカケだったが
キッカケとなった会社の入社案内VPも本年改訂依頼が入ってきた。
いずれも長らく使い続けていただいたが、
社名変更と、登場人物も出世され、
若手で撮り直したいという意向もあり改訂が決まった。
入社案内VPは流行りのホームページでは伝えられない
企業の想いや気骨を取材人物のインタビューや
日頃の動きから如実に伝えられる。
そのため採用難になってくると入社案内VPの製作や改訂が増える。
ここ数年は売り手市場なので企業も採用に苦労している。

今回の依頼は、改訂というよりもほぼ作り直しに近い。
ロケ日数4日間だから近年作にしては比較的日数もある。
完成時間もお任せで、
前回作は20分とゆったりと見られる作品だったが
今回も「20分でも大丈夫です」と言われている。
最近では10分でも長いと言われるほど
セッカチなスポンサーが多いが、見応えのある作品が少ないからこそ
そう言われてしまうと私は思っているし、業界を代表して反省している。

入社案内VPは自分の一生を決める大きなキッカケ、動機付けに一役かう。
ゲームをしながら片手間に見るものではない。
視聴のためだけに自分の時間を割き、
真剣に感じてほしいと私は願い、全力をかけて製作している。
極力現場の今を切り取り、嘘のないよう配慮してはいるが、
とはいえ私が感じた姿であり、
カメラマンが切り取った姿であることは否めない。
入社するとどんな風に働き、どんなお客さまと触れ合い、
どんな先輩と廻り合い、この仕事が働き甲斐、生き甲斐に溢れているのか
一生かけられる仕事なのかを入社案内VPで少しでも感じ、考えてほしい。
単なるお金もうけのアルバイトではなく、責任ある仕事。
それを感じてほしいのだ。

6月に新人研修風景と、
研修に参加した今年入社の新人たちのインタビューを撮った。
その彼らが現場に出て、どんな活動をしているのか、
先輩と同行し何を学び、どういまを感じているのかが
明日からのロケの1テーマになっている。
3日間で中国四国6県を西に東に北に南に移動して撮影する。
相棒は長谷川カメラマン。
最近一緒にロケすることが多いフリーカメラマンだ。
どちらかというとドキュメンタリー系ではないが、
嬉々として(危機として?鬼気として?)つきあってくれている。

私がフリー監督になった35年前は、
カメラマンも照明マンも録音技師もフリーが中心だったが、
今では機材を持つプロダクション所属の社員スタッフが大勢を占め
撮るというより、収めるだけの、
極めて人のよいスタッフが増えてしまった。
何でも「ハイハイ、喜んで」では、
監督とカメラマンの分業に意味をなさない。
時には抵抗し、時には代替案をだし、摩訶不思議なフレームワークをして
監督を悩まし励ますからカメラマンの存在意義がある。
居酒屋の店員のごとく「喜んで!」だけでは、監督が撮影すればよい。
機材がよくなり、助手がいなくても、照明マンや録音技師がいなくても
撮れるようになった頃から、
いい意味での、スタッフからの精神的プレッシャーや
肉体労働系のスタッフからの
目に見えぬボイコットが無くなりつつある。
少数精鋭は時として、なあなあの関係を生むこともある。
背中を見たら何を考えているかわかるチームこそが
もっとも最悪の関係なのだ。
所詮、赤の他人。議論を交わして初めて作品の狙いがわかるのだ。
そういう意味で、考えて、感じて、チームを動かして撮る
というカメラマンが激減した。監督もしかりだ。

このスタッフの「考えることの低下」に加えて、
さらに近年の「働き方改革」が良質の作品作りにブレーキをかけている。
テレビで吉本の芸人さんが嘆いていたが、
「働き方改革で、ロケの初めから終わりまでいるのは
自分だけでスタッフは8時間で交代する。
これで良質の作品ができるのか?」と。
しばらくの間は、働き方改革の網目を掻い潜れるのは
フリースタッフだけだ。しかし事故が増えてきたら、
いずれ雇い主の責任が問われるようになる。
芸人さんも8時間で出番打ちきりとなり、
薄っぺらな作品しか作れなくなる時代がくるのだろう。
やりたくない奴がやるとろくでもないことになる。
やるなら、やりたい奴がやれば、時間も忘れて没頭する。
結果は時間と情熱に比例する。やりたい奴がやるのが一番だ。

明日からロケだ。
散髪をしませて、頭の整理に会社に向かう。
私は常に5本程度の仕事を抱えているが、
加えて社長業も兼務している。
しかしロケ出張にはPCは持ち歩かない。
ガラケー持参でCメールしか見られないようにしている。
極力他の仕事はしない。いや出来ないようにしている。
そのため、ロケ前日までに今並行している仕事を整理し、
振れる仕事は降りまくり、
ロケ中に他の仕事にトラブルのないようにしておかねばならない。
またロケ前日までに頭をリセットしておかねば発見する気力が湧かない。
ドキュメンタリーとは発見そのものだから、
インタビューもままならないし、ロケもハチャメチャになってしまう。
そういうリセットの1日がまさに今日なのだ。
さらに今夜は、天気祭り(ロケ中に雨が降らないように
お神酒をよばれるロケ隊の伝統的儀式)を、
ひとり挙行しなければならない。
ドキュメンタリー系作品ではスタッフが少ないので、
ひとり天気祭りもしばしばある。
ドキュメンタリー系監督兼社長は、伝統を守るため忙しいのだ。

明日は朝5時出発。10時に広島北に入らなければならない。
地獄のロケが始まる。その前にお神酒をいただく。

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