30年ほど前に私は「お父さんのための宴会芸」的ビデオの
構成・演出を担当した。
制作会社が大阪だったこともあり
第一作目はゼンジー北京師匠に監修・出演をしていただいた。
これが大好評で、二作目を作ることになったのだが、
趣向を宴会芸からスナックのお姉ちゃんにモテる
テーブルマジックに変更することとなった。
というのも世はまさにバブリーな時代に突入したところで、
スナックやさらに上等のグラブが大流行で、
そこのお姉ちゃんにモテたい一心で
毎夜キタやミナミに繰り出す豪傑向けのビデオというのが
コンセプトにあがったからだ。
続編なのでゼンジー北京師匠にお願いしたが
「小ネタは性に合わない」ということで、
東京で活躍しておられた北見マキさんに白羽の矢がたった。
とはいえ、どんなマジックをすれば
お父さんがモテるのか皆目わからない。
制作コンセプトとしては、
①スナックのお姉ちゃんと差し向かえでするマジック
②手を握るなどのスキンシップが図れるマジック
③驚きと笑いがあるマジック
以上の3点厳守で、まずプロデューサーの湯浅氏と一緒に
北見マキさんにお会いするため東京に向かった。
「ネタ準備もあるので」と北見マキさんは
快く自宅での打合せをセッティングしてくれたのである。
30分のビデオに6種類ほどのマジックと種明かしを挿入する。
あらかじめコンセプト3点の狙いを
北見マキさんにお伝えしておいたので、
まぁ今日は10点ほど披露していただければ
その中からチョイスすれば作品としてはなんとかなる。
しか~も、仕事とはいえ上手く身に付ければ、
私もスナックのお姉ちゃんにモテてるハズだ。
ウッシッシと胸弾ませて打合せが始まる。
すぐに口アングリ。
北見マキワールド全開!
約1時間、北見マキさんのサービス精神に翻弄されっぱなし!
次々と私たちの前でテーブルマジックが行われる。
北見マキさんは
「その中でこれはイケると思うマジックを6点選べ」と言うが、
約1時間で40点ほど矢継ぎ早に披露してくれたのである。
これだけでも東京まで来た価値はある。
しかし、チョイスが難しい。どれもいいネタなのだ。
ただし中にはテクニックが高度で、
飲酒中のボケたお父さんが再現できないものもある。
それにつけてもこんなスゴいマジックの
ネタばらしをしてよいものか・・・
当時は今ほどマジシャンがマジックのネタバラシをしない。
皆さん紳士的にネタバラシをせずやっていた。
したがってゼンジー北京師匠やマギー司郎さんのように
笑いを上手く織り混ぜたマジシャンが最前線で、
それを覆して登場したのがミスターマリックさんだった。
今日、北見マキさんの披露してくれたマジックを
神秘的にアレンジするとミスターマリックさんになる。
これならスナックで間違いなくモテる。私は確信した。
案の定、第2弾もスポンサーやスタッフに大好評で、
すぐに第3弾を北見マキさんで制作することになる。
以来、北見マキさんとは年賀状やマジックショーの案内状で
やり取りが続くことになるが、
その後バブルは木っ端微塵に弾けて約30年、
仕事をご一緒することはついぞなかった。
今でも北見マキさんちの居間で、
座卓を挟んでマジックを見せていただいたときの驚きを
はっきり覚えている。
紙の上に北見マキさんが手のひらを広げて鉛筆で手の輪郭を描く。
描いた手の五本指のどれかの指先に私が火を付けたマッチ棒を置く。
絵に書いた指先が、燃えない程度に焦げる。
するとあら不思議!
焦げた絵の指先と同じ位置で、北見マキさんの実際の指先が
火傷で水ぶくれしているのだ。
そして北見マキさんが一言「私は水ぶくれ体質なんです」
ウケる~!
北見マキさんはマジシャンとして精進すると共に
日本奇術協会長を務め、後継者の育成に奔走されたと聞く。
ご冥福をお祈りいたします。
構成・演出を担当した。
制作会社が大阪だったこともあり
第一作目はゼンジー北京師匠に監修・出演をしていただいた。
これが大好評で、二作目を作ることになったのだが、
趣向を宴会芸からスナックのお姉ちゃんにモテる
テーブルマジックに変更することとなった。
というのも世はまさにバブリーな時代に突入したところで、
スナックやさらに上等のグラブが大流行で、
そこのお姉ちゃんにモテたい一心で
毎夜キタやミナミに繰り出す豪傑向けのビデオというのが
コンセプトにあがったからだ。
続編なのでゼンジー北京師匠にお願いしたが
「小ネタは性に合わない」ということで、
東京で活躍しておられた北見マキさんに白羽の矢がたった。
とはいえ、どんなマジックをすれば
お父さんがモテるのか皆目わからない。
制作コンセプトとしては、
①スナックのお姉ちゃんと差し向かえでするマジック
②手を握るなどのスキンシップが図れるマジック
③驚きと笑いがあるマジック
以上の3点厳守で、まずプロデューサーの湯浅氏と一緒に
北見マキさんにお会いするため東京に向かった。
「ネタ準備もあるので」と北見マキさんは
快く自宅での打合せをセッティングしてくれたのである。
30分のビデオに6種類ほどのマジックと種明かしを挿入する。
あらかじめコンセプト3点の狙いを
北見マキさんにお伝えしておいたので、
まぁ今日は10点ほど披露していただければ
その中からチョイスすれば作品としてはなんとかなる。
しか~も、仕事とはいえ上手く身に付ければ、
私もスナックのお姉ちゃんにモテてるハズだ。
ウッシッシと胸弾ませて打合せが始まる。
すぐに口アングリ。
北見マキワールド全開!
約1時間、北見マキさんのサービス精神に翻弄されっぱなし!
次々と私たちの前でテーブルマジックが行われる。
北見マキさんは
「その中でこれはイケると思うマジックを6点選べ」と言うが、
約1時間で40点ほど矢継ぎ早に披露してくれたのである。
これだけでも東京まで来た価値はある。
しかし、チョイスが難しい。どれもいいネタなのだ。
ただし中にはテクニックが高度で、
飲酒中のボケたお父さんが再現できないものもある。
それにつけてもこんなスゴいマジックの
ネタばらしをしてよいものか・・・
当時は今ほどマジシャンがマジックのネタバラシをしない。
皆さん紳士的にネタバラシをせずやっていた。
したがってゼンジー北京師匠やマギー司郎さんのように
笑いを上手く織り混ぜたマジシャンが最前線で、
それを覆して登場したのがミスターマリックさんだった。
今日、北見マキさんの披露してくれたマジックを
神秘的にアレンジするとミスターマリックさんになる。
これならスナックで間違いなくモテる。私は確信した。
案の定、第2弾もスポンサーやスタッフに大好評で、
すぐに第3弾を北見マキさんで制作することになる。
以来、北見マキさんとは年賀状やマジックショーの案内状で
やり取りが続くことになるが、
その後バブルは木っ端微塵に弾けて約30年、
仕事をご一緒することはついぞなかった。
今でも北見マキさんちの居間で、
座卓を挟んでマジックを見せていただいたときの驚きを
はっきり覚えている。
紙の上に北見マキさんが手のひらを広げて鉛筆で手の輪郭を描く。
描いた手の五本指のどれかの指先に私が火を付けたマッチ棒を置く。
絵に書いた指先が、燃えない程度に焦げる。
するとあら不思議!
焦げた絵の指先と同じ位置で、北見マキさんの実際の指先が
火傷で水ぶくれしているのだ。
そして北見マキさんが一言「私は水ぶくれ体質なんです」
ウケる~!
北見マキさんはマジシャンとして精進すると共に
日本奇術協会長を務め、後継者の育成に奔走されたと聞く。
ご冥福をお祈りいたします。
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