白い月

白い月

凍湖へ

2014-01-05 14:09:42 | 心事ポエム
私の知らない時の痕跡を辿りながら
緑色の瞳持つ湖をめざす 


繁みの陰からじっと窺っていた二頭の鹿
ひっそりとうなずき 目くばせをする


紋章に隠された暗号を解く間もなしに
父に焼かれた少年の見えない因果因縁


ひそやかに語られる背後の声を聴きながら夢を見る
湖に住むワカサギは群れて眠る


カウカウと鳴き交わす大白鳥は
うねる地表に融け込んで今日は息災


身じろぎもせず立ちつくす裸木の尊いまでの沈思。問い。
おまえは何になりたいのか?


生きものを沢山殺しそれを食べて今年も生きるのです
真白い、美しいものを沢山汚しそれでいのちを燃やすのです


迫りくる喜びの死の色は 幻夢と煌めき
何事もなく燃え尽きた湖は安らかに鎮む