《もはや正気ではありませんが・・・》
事の全てに寄り添う暮らし
異客を拒まず
波瀾を受け入れ
何があろうとも得心する
ほのぼのと光の窓に咲く霧氷を愛し
消えそうなたましいの行き先を訪ね、見据える先に
かつて陽光にそよいだ葉群れは
絡み合いながら 音も無く雪の下に蹲る
こんな日でさえ オアシスに盛られた薔薇籠が届き
朱いユリの居場所を押しやったり 作られた季節に魅入ったり
ひとときの熱に浮かれて 呪われた地の荒れ野の物語
ひそひそと交わされているのに 耳をそばだてる
緑なす地平は遠のき
眩暈する落日の顔して
沈黙の月が視ている
もう忘れてしまいたい葉群れ。 今開く薔薇。
潜む想い、 花々の死、 人々の死。
かそけき音の中に 解き放とうよ 月の吐息