痩身を傾けながら 寄りかかる
雲が走る
声を出さずに 哭いている 白い月
響かない非戦の誓い
媚びない 普通のひと
日常を律する 市井の人
訳もなく音源を捜す目に語る実像?
優しい嘘。見え透いた欺瞞。
粉塵の中の悲鳴。
流れ着いた幼児の骸。
視界を消す汚れた空気。
手に余る廃棄物。
杜に築く巨大建造物。
守護神の変節に 戸惑う流民。
刃附きの鉄条網。
嗚呼 山が動く
砂が流れた
人が沈む・・・・
いたわりも 慰めも 絵空事
愉しく忙しい幸せにまぎれて物語がひとつ消えてゆく
掬い取る瞬間が 長い時を紡ぎ続ける
戻ってきた人がいないのは?
問われているのは地を這う冬の太陽
未病の犬と見上げる夜空が蒼く冷える