ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

父の祈りを(1993)

2006-02-06 00:26:12 | 映画:アイルランド系
In The Name of The Father (1993)

1974年、イングランドのギルフォードで実際に起きた冤罪を元に製作された映画です。監督は「マイ・レフト・フット」のジム・シェルダン。主人公ゲリー・コンロンをダニエル・デイ・ルイスが演じます。Eversmile, New Jersey といいMY Left Footといい、なんでこんなにダニエルはアイリッシュ役が上手いのか?と思っていたら、HARF BLOODでありました。(現在アイルランドに住んでいるとのこと。)

ケチなチンピラのゲリーは、家族の恥さらし。しかしロンドンから帰ってきたある日、警察に逮捕されてしまう。「凄い仕事をするんだ」などと吹聴していたのを、誰かが告げ口したらしく、なんとロンドンで起こったIRAによる爆破事件の主犯だと疑われてしまったのです。そして、警察で暴行を受け、彼は自白した・・・しかしさらに悪い事に、息子の無罪を信じるお父さん(ピート・ポスルスウェイト)まで、警察に捕まってしまいます。しかしお父さんは、諦めなかった・・・結局1人の弁護士(エマ・トンプソン)によって彼等は無実を勝ち取るのですが、14年もたった後だったのよ。大体、やってもいないことをなぜ自白?と私達は考えますが、現在でも良く有ることで、この映画の状況に似ているのが名張毒葡萄酒事件。人種偏見による逮捕とでっち上げ自白だったことは明白で、無罪を訴えても投獄されたまま放っておかれたのです。アイルランド人のチンピラだからIRAだろう、逮捕したのに実は犯人じゃなかったなんて、そんな体面の悪い事は出来ない、そんな世界共通のいつものパターン。この映画の元となったケースでは、同じ様に4人が自白させられ、すべて冤罪だと、のちに判明しています。彼等はギルフォード・フォー(the Guildford Four)と呼ばれ、バーミンガム・シックス(the Birmingham Six)や、マックギール・セブン(the Macguire Seven)などなど、英国にはあちこちに似たような強制自白に寄るアイリッシュの冤罪事件が起こっていました。これらの事件を語る時のアイルランド人の怒りと悲しみは、アイルランドの歴史を知らない方でも容易に理解できるでしょう。

ギルフォード・フォーに関しては、詳細を詳しく知らないので、どのくらい事実に忠実に作成しているかは分かりませんが・・・少なくともこれが実話を元にしたストーリーで、冤罪の恐ろしさ、英国のアイルランド人の置かれた状況や、最後まで息子の無実を信じたお父さんの愛情は伝わって来ます。ダニエル以下出演者の熱演も感動すること間違いなし。オスカーの7部門ノミネートです。(でも一つも取れなかった・・)

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