ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

やり過ぎギャグ炸裂英国ロック系カルトコメディ:The Mighty Boosh

2009-03-24 23:20:31 | 映画:英国TVコメディ・ドラマ
The Mighty Boosh(2004~2007)

英国コメディの殿堂BBC製作、カルト的人気を持つTVコメディシリーズ。2004~2007年3シーズン全20話あります。去年NMEアワードでノエル・フィールディングが最もセクシーな男に選ばれたり、3年連続で「最優秀TV番組」に選ばれたりで、以前から見たいと思っていたシリーズです。ロック好きでやり過ぎな英国コメディが好きな方(そりゃ私だってば)に最適。

ちょっと頭は弱いけれど見た目最優先のラッキー・プリンス、ヴィンス・ノワール(ノエル・フィールディング)と、インテリでジャズフリークだけどいつもアンラッキーな自称32歳ハワード・ムーン(ジュリアン・バラット)のコンビが繰り広げる英国コメディのニューウェイブ、The Mighty Boosh(マイティ・ブーシュ)。万人受けはしませんが、好きな人は絶対はまる類の英国Sitcom(シチュエーション・コメディ:ひとつの決まった舞台設定上で繰り広げられるコメディ)。ダグラス・アダムス的荒唐無稽ワールドにカラフルなアート的感覚と、英国コメディの伝統である「下ネタ」「不条理ネタ」「インテリネタ」にプラスして強力な「音楽ネタ」を持つ、最強ロック系カルトコメディ。

ちなみにギャグにされているアーティストは、ミック・ジャガー、キング・オブ・レオン、クラクソンズ、クリス・デ・バー(偽者出演あり)、レベル42&マーク・キング、ヒューマン・リーグ、アダム・アント、ロバート・スミス、ブライアン・フェリー(偽者出演あり)、ゲイリー・ニューマン(本人出演あり)、アリス・クーパー、ロジャー・ダルトリー(本人出演あり)、レイザーライト(本人出演あり)、ザ・ホラーズ(本人出演あり)、ヴァン・モリソン、まだまだ書ききれません。特にゲイリー・ニューマンは何度も繰り返し出てくるお決まりのネタ。


左がキラキラ王子Vince Noir(Noel Fielding)と、自称32歳Howard Moon(Julain Barratt)。

モンティ・パイソンでおなじみの被り物や手書きイラストのカラフルで楽しいアニメーション、少数でいろいろなキャラを演じるマルチキャスティング等低予算で下品でばかばかしいのに、30分とは思えない密度の高さ。たとえるならモンティ・パイソンの不条理スケッチをそのまま30分にしたような?アーティストでもあるノエル・フィールディングがイラストを描き、ミュージシャンでもあるジュリアン・ラバットが音楽を担当するという恵まれた才能がこのコメディにカルト的オリジナリティを与えていると思います。

彼らのネタとして特にオリジナルなのは「Crimping」と呼ばれる即興のアカペラ・ナンセンス・ソング。内容は意味があまり無い、リズム感重視の言葉遊びみたいなもの。スープの歌では「ドージョーで戦って、ミソー、ミソー」なんて具合。この「Crimping」、英国シリアル会社がCMでこのCrimpingスタイルを無断コピー、シリアル会社は大ブーイングを受けました。

シーズン1(2004 全8話)
舞台はロンドンの動物園。動物と会話できるという特技を持つ飼育係のヴィンスはヘアスタイルばかり気にしている能天気男、人生の師はミック・ジャガー。同僚で親友のハワードは、誇大妄想気味でやることすべて裏目に出るアンラッキーな男。最初のシリーズとなるこのシーズンは、かなりの低予算ながらストーリーの面白さと主人公2人のキャラの濃さでコメディ殿堂入りでしょう。これでMighty Booshのテレビシリーズとしての不動の地位を獲得したことは、想像に難くないです。セットの作り物感や、手作りっぽいかぶり物が反って新鮮?低予算「元祖英国Sitcom」の趣。最初のうちは「なんじゃこりゃ・・・変なコメディ・・・」とあきれて見ていましたが、3話が終わるころにはこの妙な2人のシュールな世界のファンに。特になぜか露出の多い自称32歳ハワードのファン。エピソードは大抵ハワードが窮地に陥りそれを要領のいいヴィンスが救うというもの。
私のお気に入りは、ジャズの精霊と契約したハワードが、ヴィンスのテクノ・バンドで世にも恥ずかしい事件を起こす「ELECTRO」。正直このシーズン、どのエピソードも最高です。


な、なんですかこれ。グラム・フォーク・デュオ。


な、なんですかこれ。チャーリーはバブルガムの怪物。

お気に入りのシーン、JAZZ TRANCE。


シーズン2(2005 全6話)
舞台は動物園で働いていたシャーマンのナブーの住まい。2人は売れないミュージシャンという設定。シーズン1に比べどことなくセットもグレードアップしてます。このナブーはいわゆる魔法使いで、演ずるマイク・フィールディングはノエル・フィールディングの実弟です。が、台詞棒読みだし発音不明瞭で何言ってるか分からないし。キャラクタとしては面白いけどねぇ・・・ハワードが窮地に陥る&裸になるのはシリーズ1からのお約束です。
それなりにやっぱり面白いこのシーズン2。登場キャラクターがどれも猛烈に濃いのと、CGに予算を追加(笑)したところが特徴。お気に入りはゴスな女の子にいいところ見せようとして、ヴィンスが呪文を間違えて強力な悪魔を呼び出してしまった「NANAGEDDON」。史上最悪の悪魔とは、人畜無害に見える白髪の普通のお婆ちゃんだった。これが極悪で凶器は編み物。モンティ・パイソンの「暴走老人」のスケッチを思い出しました。


音楽を見つける旅をするルディ(ジュリアン・バラット)&スパイダー(ノエル・フィールディング)。この回、レイザーライトとロジャー・ダルトリーが掃除おじさんで特別出演。


お気に入りの2キャラ。左がサブー(Richard Ayoade)と宇宙人のトニー・ハリソン(ノエル・フィールディング)。

シーズン3(2007 全6話)
前2シリーズに比べ、予算大幅にアップ!って感じのシーズン3。映像クオリティも増し、CGや特殊メイクもグレードアップ・・・というと心配されるのは内容ですが前2シーズンに比べて劣ることはありません。それどころか、クオリティアップで新境地を開いている感が。(ハワード役のジュリアン・バラットも体重ボリュームアップ。)舞台はシャーマンのナブーの店、2人はここで店番をしている設定。このシリーズはどれもマスターピースと呼べる出来で、もう3度くらい見てしまいました。ヴィンスが友人たちにPUNKな所を見せようとしてハワードのジャズのレコードを齧ったため、体に毒が回り死にかけたヴィンスをハワードが救う「Journey to the Centre of the Punk」、足が細くないとメンバーになれないというバンド(これThe Horrorsです)に入るためにヴィンスが必死の努力をする「The Chokes」。相変わらず化け物やオカマやカニや魑魅魍魎が出てきますが、特殊効果のグレードアップとともに上手く馴染んでいます。が、わざとチープなかぶり物のキャラも出てくる所が初心忘れずといったところ。


セーラー・ルックでテクノ。


ゲイリー・ニューマンがいきなりクローゼットから現れる。

2010年に向けて映画のプロジェクトも進行している(IMDbによる)このThe Mighty Boosh。映画化はハリウッドを目指すのではなくあくまで英国コメディの乗りで作って欲しいです。アメリカでは今年、The Mighty Boosh初オンエアとのこと。日本でもDVD発売するらしいし、近いうちにケーブルで放映されるんじゃないかと。ただし、日本語で訳すとあのネタこのギャグはどうなるんだろう・・・ってのが多いので、大変だろうなあ・・・

日本にもThe Mighty Booshの詳しいファンサイトがありました。Boosh百科事典は私の知らないことが一杯で、百科事典を見てからまたエピソードを見ると面白さ倍増でした!The Mighty Booshをもっと深く知りたい方はこちら。

The World of The Mighty Boosh  ザ・マイティ・ブーシュの世界
http://www.asahi-net.or.jp/~ab8n-iwbc/

次回は誰も期待してないけどThe Mighty Booshの馬鹿キャラ個人的ベスト10を。

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4 コメント

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お笑い番組? (masa)
2009-03-25 15:41:14
お久し振りです。Ptdさまコメディお好きでしたね。UKと付くとお上品でクラシックな、って思っちゃうけど。これは聞いたことが無いけれど、面白そう。でも紹介の写真を見ただけではどんな番組なのか想像がつきませんっ。なぜかビートたけしを思い出した・・・
返信する
被り物&不条理ギャグ (ptd)
2009-03-26 12:35:27
masaさん、こんちや。
>UKと付くとお上品でクラシックな、って思っちゃうけど。
そう思うでしょ・・・アメリカのコメディに比べると上品、下品という分け方ではなくて笑いの質が違うような気がします。
私はやりすぎくらいのブラックなコメディが好きなので、このmighty booshは面白かったです。

>紹介の写真を見ただけではどんな番組なのか想像がつきませんっ。
そうですよね、分けが判らないでしょうね・・・
特に変なシーンを選んでいるわけじゃないですけど。
このシリーズはどう面白いのか説明するのが難しいでしょう。
見るのが一番です。
見る機会があったら是非ご覧ください。

>なぜかビートたけしを思い出した・・・
いいところを指摘してきましたね!
被り物&不条理ギャグってところで共通点あり?
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うっひょー! (豆酢)
2009-03-26 20:26:24
コメントさせていただくのは本当に久しぶりです。ご無沙汰してました。

渡仏直前なので、ご挨拶に…と思ってましたら、なんとまあ香ばしいお笑い番組のご紹介が!うひょー!一気にここにかぶりついてしまいました(笑)。
うわー、これ観たいー!すげー観たいー!多分私もハマるでしょうね。英国はホントに独自のお笑いの文化土壌がありますね。
…フランスでは放映してなかろうなあ…。テレビ版はもう終了しちゃったのでしょうかね。
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ぼんじゅーる (ptd)
2009-03-26 23:50:38
豆酢さんこんばんは。

Xデーは近いですか、そんな忙しいときに寄っていただいてすみません!!
パスポートよーし!
チケットよーし!
って最後の確認真っ最中ですね。
あちらで落ち着いたらフランス便り、待ってますよ~!シェフィールドの感想も聞かせてくださいね!
電車に乗れば英国なんてすぐですから。

このコメディ、絶対ィィィィ豆酢さんもはまります。
超お勧め5つ星レコメンドでございますよ。
何もかも忘れて笑いたいときにお勧め。
フランスでは放映してるのかなあ??

ではでは、お気をつけて・・
荷物とか大変だろうなあ・・・
かんばってね・・・
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