死霊は２度殺される：BLACK DEATH(2011)

BLACK DEATH(2011)

ショーン・ビーン主演、ペストの蔓延する中世の英国を舞台にした、後味は悪いが、ファンタジーっぽい中世ロマンなんてものを期待したら間違いなく裏切られるシリアスで血みどろなゴシックミステリー。たしか現在アメリカで公開中、なのかな？

ペストの流行をネクロマンサー(死霊を操る呪術師）の仕業ではないかと疑い、森の奥深くにペストと無縁な村があると聞いてそこを目指す一癖ありそうな兵士達。その案内役を買って出た訳ありの若い修道僧。たどり着いた村で暖かく迎えられた彼らだが、村にはある秘密があった・・・

トレイラーや解説から受ける印象は割とB級な中世ダークファンタジー？しかし実は無駄の無いタイトなつくりの超リアル中世ミステリーで、もう緊張しっぱなし。緊張してアゴ疲れたよ。殺陣も様式美は無く執拗なほどリアル、拷問シーンや痛そうなシーンはもう怖すぎる。ただし、あくまでストーリーに必要なシーンをリアルに演出したらこうなったって感じ。


別のポスター。この女の人、怖いよ。

この映画、ネタバレ厳禁！！だから解説もトレイラーも映画の面白さを伝えきれない。村の秘密はなんだったのか、なにが起こるのか、見てからのお楽しみってことで。iTunesのコメントにも「思ったより良い映画」って感想が多かったのも頷ける。教会の命を受けた兵士達の隊長オーリー役のショーンは髪型も雰囲気もそのまんまボロミアなので、指輪ファンは「おおボロミア様生きてたのね」と感涙すること間違いなし！オーリーは寡黙で冷静沈着、現実主義だけど信仰心の厚いリーダーで、ダークなヒーローって感じ。悪役のカリス・ファン・ハウテンが怖い。女は怖いってこと！でもこの人には同情した・・・そして修道僧のエディ・レッドメイン、この人がある意味主役です。あとペスト菌ね。

基本はキリスト教VSアンチ・キリストの映画と思っても良いんだけど、必ずしもキリスト教を善として描いていないし、信仰心は尊いものだけれど現実は奇麗ごとだけじゃやってけねえんだよ、的な。オチも含めてキリスト教の信者から見ると、腑に落ちない部分もある映画かな。