ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

ベンヤメンタ学院(1995)

2006-03-25 03:34:21 | アート:モーショングラフィックス
Institute Benjamenta, or This Dream People Call Human Life (1995)

「ストリート・オブ・クロコダイルズ」のクエイ兄弟初の長篇映画です。このようなDVDを買って、しかもうきうき鑑賞してしまう自分が、少しばかり心配。この白黒映画は、スイスの幻想文学作家ヴァルザーの小説が原作とのこと。しかしいつものストップモーションではなく、人間を使ったライブモーション・ムービーです。クエイ兄弟特有の鮮やかで豊かなモノクロと、めくるめく迷宮のような夢世界は健在です。全く商業性のない、芸術としての映像表現を追求した、映画の形をとった芸術。ルイス・ブニュエルの一連の作品を思い出しました。が、私はクエイ兄弟の方が好みです。イメージにエッジが効いているとでもいいましょうか、奇妙で美しく、振動するフォークに代表される様な独特のシュールな映像感覚がたまりません。

ヨーロッパのとある国、とある時代。ヤコブは執事養成学校であるインステチュート・ベンヤメンタに入学します。そこで執事になるためのレッスンを受けるのですが、謎めいた美しい女教師リザとその兄の学園長の存在が、彼を学院の暗い廊下の向こうに有る迷宮へと向かわせ・・・隅でそっと微笑む生徒の1人クラウスが私のお気に入り。頭に猿を乗せて現れ、意味も無く気になる存在。学園長は強烈な大男で、彼の存在はこの映画にざらざらした、負のテクスチャを与えています。クエイ兄弟の不思議世界の特徴である振動するイメージは、フォークや人形の手や毛といったいつもの小道具で出演。指ぬきなど微妙な小道具の描写が、フェティッシュな執着を感じさせます。特にリザの持つ足つき指揮棒(?)が、脳裏に焼き付いて離れません。また、有る登場人物が死んでしまいますが、その棺桶に入った姿の美しいこと。まさに「世界一美しい死体」(ツインピークスを思い出す)。死体を運び込む壁の入り口は、女性器の象徴でしょうか。

DVDのカバーには、テリー・ギリアムのコメントが。"The most visually beautiful and hauntingly humorous film I have seen in the last three hundred years"つまり「ここんとこ300年に見た中で、もっとも映像的に美しく、取り憑かれるほどユーモラスな映画」お前は300年も生きとんのか!とつっこむのは止めにして、ギリアム先生も御覧になって気に入られたのですね。たしかに取り憑かれます・・この映画をユーモラス、なんて、あなたも普通の人ではありません。

ところでこの映画のおまけ映像で、初めてクエイ兄弟が一卵生双生児だったと知りました・・・とても若く見える上、美男子で、ある意味妖怪っぽい。芸術家にいますね、この「妖怪」タイプ。

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1 コメント

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はじめまして (Pop Life Seeker)
2006-04-09 13:59:53
 はじめまして、TBさせてもらいました。よろしくです。
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