
In Absentia (2000)
今年になってやっと出たBrothers Quayのデジタルリマスター版ショートフィルムDVD。その中で最も見たかった一本がこれ、In Absentia。20分ほどの作品ながら、British Animation Awardsで「最も前衛的な映画」賞など6つの賞を取った作品です。
Brothers Quayは人形やオブジェクトを使用したストップモーション・アニメーションで有名な双子のアーティスト。80年代にはピーター・ガブリエルのPVスレッジハンマーも作っていますから、それなら知っている、という方も多いかも(随分普通のPVでしたが)。その奇妙なイメージと世界観は「クエイ風」(正確にはクアァァイと発音するらしい)としか表現できない独特の世界。いかにも独特の雰囲気を持つ一卵双生児のこの兄弟、年齢不詳で人形大好きの見るからに「不思議君」。同じ髪型に同じ服だったりして・・・不思議君過ぎてこの兄弟を元にピーター・グリーナウェイは「ZOO」(原題A Zed & Two Noughts)を作ったそうです。何でも一緒の不気味な双子の男性が主人公の、あの映画も怖かったですねぇ、いろんな意味で。

向こうに鏡が有るみたいですね~。2005年の長編映画の撮影中。
さて、この作品、ストーリーなんてございません。この方達の作品は夢と同じ・・・しかし悪夢ではなく、純粋な深層心理から汲み上げるイメージを形にしたもの。出演は手紙を書く女にマレーネ・カミンスキー、音楽にカールハインツ・ストックハウゼン。笑い声や逆まわし、悲鳴のような声と弦楽器をアレンジした奇妙で呪術的な音楽が一層、この夢の切れ端のような映画の独特の雰囲気を作っています。

引き出しの中には鉛筆。

椅子の下には鉛筆の削りくず。
森の中の館で一人手紙を書く女。鉛筆を削り、繰り返し繰り返しこすりつけるように紙に何かを書いている。それは言葉ではなく、一種の呪文。読むための文字ではなく、記すための文字でもなく。床にこぼれた沢山の鉛筆の芯と、削りくず。
手紙を書く女のいる世界と別の世界の住人の角のある奇怪な人形。人形は意識を持ち、鉛筆の芯たちを操り、女の行動や意識と同調しているかのよう。同じ場所に存在していながら、どちらの世界も決して交わらない、お互いの存在も知らない。しかしどちらも同じ意識を共有し、シンクロする。

角があり、前足が鹿のような奇妙な生き物。顔暗くて見えませんが、笑ってますぅ。

鉛筆の芯。生きてます。
モノクロは私たち人間の住む(あるいは少なくとも関われる)世界、カラーの世界はあちら側、と分かれているようです。
もちろんこれは私の印象でしか有りません。残念ながらYoutubeでもこの作品はあがっていないようです。まあ近いかなあ~ってところで、Dramolet (Stille Nacht l )を参考作品として載せておきます。1分53秒の異次元をお約束・・・

Dramolet (Stille Nacht l )
だけどこっちの方が好きだ。ちょっと画面暗い、4分16秒。凄く訳分からないけど・・・

Stille Nacht III
今年になってやっと出たBrothers Quayのデジタルリマスター版ショートフィルムDVD。その中で最も見たかった一本がこれ、In Absentia。20分ほどの作品ながら、British Animation Awardsで「最も前衛的な映画」賞など6つの賞を取った作品です。
Brothers Quayは人形やオブジェクトを使用したストップモーション・アニメーションで有名な双子のアーティスト。80年代にはピーター・ガブリエルのPVスレッジハンマーも作っていますから、それなら知っている、という方も多いかも(随分普通のPVでしたが)。その奇妙なイメージと世界観は「クエイ風」(正確にはクアァァイと発音するらしい)としか表現できない独特の世界。いかにも独特の雰囲気を持つ一卵双生児のこの兄弟、年齢不詳で人形大好きの見るからに「不思議君」。同じ髪型に同じ服だったりして・・・不思議君過ぎてこの兄弟を元にピーター・グリーナウェイは「ZOO」(原題A Zed & Two Noughts)を作ったそうです。何でも一緒の不気味な双子の男性が主人公の、あの映画も怖かったですねぇ、いろんな意味で。

向こうに鏡が有るみたいですね~。2005年の長編映画の撮影中。
さて、この作品、ストーリーなんてございません。この方達の作品は夢と同じ・・・しかし悪夢ではなく、純粋な深層心理から汲み上げるイメージを形にしたもの。出演は手紙を書く女にマレーネ・カミンスキー、音楽にカールハインツ・ストックハウゼン。笑い声や逆まわし、悲鳴のような声と弦楽器をアレンジした奇妙で呪術的な音楽が一層、この夢の切れ端のような映画の独特の雰囲気を作っています。

引き出しの中には鉛筆。

椅子の下には鉛筆の削りくず。
森の中の館で一人手紙を書く女。鉛筆を削り、繰り返し繰り返しこすりつけるように紙に何かを書いている。それは言葉ではなく、一種の呪文。読むための文字ではなく、記すための文字でもなく。床にこぼれた沢山の鉛筆の芯と、削りくず。
手紙を書く女のいる世界と別の世界の住人の角のある奇怪な人形。人形は意識を持ち、鉛筆の芯たちを操り、女の行動や意識と同調しているかのよう。同じ場所に存在していながら、どちらの世界も決して交わらない、お互いの存在も知らない。しかしどちらも同じ意識を共有し、シンクロする。

角があり、前足が鹿のような奇妙な生き物。顔暗くて見えませんが、笑ってますぅ。

鉛筆の芯。生きてます。
モノクロは私たち人間の住む(あるいは少なくとも関われる)世界、カラーの世界はあちら側、と分かれているようです。
もちろんこれは私の印象でしか有りません。残念ながらYoutubeでもこの作品はあがっていないようです。まあ近いかなあ~ってところで、Dramolet (Stille Nacht l )を参考作品として載せておきます。1分53秒の異次元をお約束・・・

Dramolet (Stille Nacht l )
だけどこっちの方が好きだ。ちょっと画面暗い、4分16秒。凄く訳分からないけど・・・

Stille Nacht III
「スレッジハンマー」は面白い映像でしたよね。
グリーナウェイも好きなんですけど、「ZOO」は観てないので観ようかな。
双子してこの感性はステキね。
そういえば、つい最近いい歳した大人の双子が
まったく同じ格好をして同じカバンを持って歩いてたのを目撃。
なかなかそんな仲良し双子いないのに。
例えば、昆虫がうじゃうじゃいたりするのを見た場合「気色悪い」などの先入観なしに眺めるのって、意外にむずかしいものですが、クエイ双子監督はそういう先入観0の目線なんでしょうね。子どもの視線でいうなら1歳~2歳くらい。「ばっち~」とか「コワ~い」とかネガティヴな刷り込みのない状態の眼差しですね。
暑いですわ~全く。
>シュヴァンクマイエルを髣髴とさせますね。
そうなんす。実は「スレッジハンマー」はシュヴァンクマイエルのまねを「させられた」そうで、本人たちは不満足、と言われていますが・・・ポーランドやチェコの人形アニメの影響は多いに受けている2人です。
>なかなかそんな仲良し双子いないのに。
私も何人か一卵性の双子(の片割れ)を知っていますが、大人になるとあまり一緒に行動したりしないそうですね。このクエイ君たちは趣味も学校も仕事もみんな一緒なんですねぇ・・・だから彼女も一緒、と想像されちゃったとか(「ZOO」の話です)。ZOOは、グリーナウェイらしい奇妙な話です。最後が忘れられない・・・・!機会があったらぜひご覧ください。
暑いときはひやっとするアート系DVDで体感温度を下げるのだ!(無理)
>「ZOO」は、グロなもの映してる割に、サラっとしてるというか、
いつものグロはグロでしたが、そういわれてみると、ほかの作品に比べてなんだか「軽い」感じ?でもやっぱり不思議な映画でした。最後のシーンのアレとあの音楽が「なんだこりゃああ」って印象的でした。
>クエイ双子監督はそういう先入観0の目線なんでしょうね。
子供って大人から見ると変な物に執着しますよね。この映画の鉛筆の芯や削りかす、なんてそんな感覚です。うじゃうじゃって湧いてきても「あれれ?」くらいで「気持ちわりぃ」とは思わない。そういう感覚を持つこの兄弟、やっぱり不思議君だわ・・・