昨日は第5土曜日で親子療育教室がない日でしたので職員の研修に当てました。アルバイトのMaくんの報告はとっても参考になり、学ぶことがたくさんありました。とても感動しました。彼は卒業して4月から教職に就く予定ですが、ぽぽろの経験が学校から社会への巣立ちの一助になれたのなら幸いです。同じくバイトのWaくんも含めて子どもたちに寄り添えるいい教師になってくださいね。
また、5~6人の子どもたちの事例が出ていましたが、どれもぽぽろの実践の到達をしめすものばかり。書かずにはおれないというのはこんなことでしょう。
どうもサッカー・アジアカップのせいでしょうか?生活リズムが壊れて「書かずにはおれない」なんて偉そうなことを言いながら筆が折れてしまいました。
(サッカーの方も延長・後半戦に入って最後はPK戦かなぁ~?なんて思いながら不覚にもウトウトしてしまい、目が覚めたときにはゴールを決めた後で、しばらくは唖然として信じられない思いでした。最後まで戦い抜く粘り強さとチーム一丸の力に敬服!)
ということで、ぽぽろのMaくんも「控え選手」ならぬアルバイトの立場ですが、見事シュートを決めた!というようなスタッフ顔負けの報告(褒めすぎか?)です。
Maくんが報告したKくん(自閉症)はぽぽろに来ても学校同様にほとんどしゃべらず、スタッフのKさん(今は産休中)が頼りでピタッとくっついていたり、プレールームを壁に沿ってグルグル回ってばかりしていました。あるスタッフにしつこく叱咤され、顔を真っ赤にしながら聞いていたのが耐えきれず泣き出してしまい、登校拒否ならぬ「不登所」をおこしたこともありました。新しい場所や人に慣れるのに大きなストレスと時間がかかる子どもさんです。家庭では大きな声も出て、1~2語文でお話しているそうです。「笑われる、注目される、注意されることに大きなストレスを感じる」=つまり人間関係の不安が強いと考えられます。
(Kさんの報告では独り言を言っているときに「何て言ったん?」と聞くと「何で笑ったん?」と聞いてきたり、「公園で遊びたかった。Sちゃんが先に行った。」と怒っているわけを言ったり、小石を投げたら「投げるのやめて!」と返してきたりしたそうです。転んだり、頭をぶつけたりしたら自分に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせて?いるとか。また、草をむしってKさんの服に投げてくるので「やめて!」と言ったら、少し落ち着いてから「ごめんね」と謝ったそうです。)
そのKちゃんが今ではMaくんとよくおしゃべりし、一緒に遊べるようになった、ほかのスタッフとの関係も広がりつつあるという話しです。
Maくんいわく「Kちゃんは指で物の面を叩いて音を出すのが好きなので、最初は私も彼の真似をして指を動かしたり、同じように鳴らしてみたりしました。ブツブツ言っていたら言っているのを真似てみました。」
「そんな風に彼のすることを真似しているとKちゃんは「僕のことを気にしてくれている」と関心を寄せてくるようになりました。彼の命令に従ってばかりいたわけではありません。Kちゃんに足をかけるなどしてちょっかいも出したり、僕の方からもしかけてみました。僕を探すようになってきたので夏にはプールにも時間をかけて少しずつ入れるようにしてきました。公園では探し物ごっこでKちゃんが隠したものを僕が探します。隠した場所が分かっていても分からんふりをして一生懸命に探します。するとKちゃんは困っている様子を見てニヤニヤしたり嬉しそうです。でも、今は遊具でも遊んでほしいので誘いかけています。家族と公園に行っても遊具には乗らないそうです。ブランコは座るところまでいきました。滑り台はてっぺんまで登れました。」と彼は喜びを大げさに表すことなく「淡々と」報告してくれました。後で言いますが、この「淡々と」というのがKちゃんにはいいのかもしれません。
そして、こんなやり取りもありました。尿意をもよおしても自分からは行くとは言えないKちゃん。ギリギリまで我慢すると耳たぶが赤くなってきます。しっかりそれを観察できるようになったMaくんは一緒にトイレに行き、トイレを済ませた後に必ず「手を洗えたね」と声をかけるようにしているそうです。するとKちゃんはニッコリ嬉しそうな顔をするそうです。そこである日、わざと「手を洗えたね」と言わないで待っていると彼の方から「手を洗えたよ」と言ってくれたそうです。
彼は「Kちゃんはいっぱいほめられたいので、ほめてあげてほしい。他の子の活動をじっと見ているので、みんなの中で遊べるようになってほしい。」と結んだのです。
私は彼の報告が教訓的だとして以下のようにまとめました。①自分を表現するのが苦手な子、大人の意図を過敏に感じ取って引いてしまう子、苦手意識や自信のなさがあり、遊びへのとっかかりが見つからない子へのはたらきかけで大切なことを教えてくれている。②具体的にはとにかくこちらの意図で何かをさせようとするのではなく、何気なく彼のやっていることを真似てみる(この場合彼の指の動き・音、つぶやき)、彼の世界につきあってみることが大切。そこから僕のこと分かってくれている人、安心できる人という関係が生まれる。③信頼関係が芽生えてきたら、少しずつ焦らないで彼が好きな遊びや挑戦したい遊びを主導するように誘いかけること。例えば、探し物ごっこでも、あくまでも隠して探させる方=主役はKちゃんであり、場所が分かっていても困った困った見つからない!と演技も出来なくてはダメ。④大事なことは、ただ好きなことにつきあって受け止めてあげるだけでなく、Maくんとの関係だけにとどめることなく、世界を広げるために楽しい場面やきっかけ、あそびを保障しようと努力することが大切。
その場では言いませんでしたが、「淡々と」しているように見えるMaくんの対応や表情は、顔や声の変化や表情を読み取るのが苦手なKちゃんにとっては救いではないかなって私は思っています。その点、私は失格かもしれません。先だっては土足で堂々とプレールームを闊歩する子に対して、つい叱るというよりは怒鳴ってしまいました。そして、Kちゃんと目が合ったときに「しまった!!」と感じ、すかさず「Kちゃん、大きい声で怒ってごめんな。Kちゃんのことを怒ったんではないんやで!」と謝りましたが、アトの祭りです。中学生のKさんもそのあとで泣いたみたいで、家に帰って「メガネをかけた人が…」と報告したそうだから、怒られた子にとってもいいはずがありません。この報告を書きながら苦い思い出がよみがえり反省の至りです。
こんないい話が他にもいっぱい出されました。久しぶりの研修会、楽しかったです。
きっと産休中のKさん(学習大好き人間で研修担当者でした)はこれを読んで「いいな、いいな!」と思いながら、自らの子育てに重ねて考え、「私の今やるべきことを頑張ります」と遠くから見守っていることでしょう。
また、5~6人の子どもたちの事例が出ていましたが、どれもぽぽろの実践の到達をしめすものばかり。書かずにはおれないというのはこんなことでしょう。
どうもサッカー・アジアカップのせいでしょうか?生活リズムが壊れて「書かずにはおれない」なんて偉そうなことを言いながら筆が折れてしまいました。
(サッカーの方も延長・後半戦に入って最後はPK戦かなぁ~?なんて思いながら不覚にもウトウトしてしまい、目が覚めたときにはゴールを決めた後で、しばらくは唖然として信じられない思いでした。最後まで戦い抜く粘り強さとチーム一丸の力に敬服!)
ということで、ぽぽろのMaくんも「控え選手」ならぬアルバイトの立場ですが、見事シュートを決めた!というようなスタッフ顔負けの報告(褒めすぎか?)です。
Maくんが報告したKくん(自閉症)はぽぽろに来ても学校同様にほとんどしゃべらず、スタッフのKさん(今は産休中)が頼りでピタッとくっついていたり、プレールームを壁に沿ってグルグル回ってばかりしていました。あるスタッフにしつこく叱咤され、顔を真っ赤にしながら聞いていたのが耐えきれず泣き出してしまい、登校拒否ならぬ「不登所」をおこしたこともありました。新しい場所や人に慣れるのに大きなストレスと時間がかかる子どもさんです。家庭では大きな声も出て、1~2語文でお話しているそうです。「笑われる、注目される、注意されることに大きなストレスを感じる」=つまり人間関係の不安が強いと考えられます。
(Kさんの報告では独り言を言っているときに「何て言ったん?」と聞くと「何で笑ったん?」と聞いてきたり、「公園で遊びたかった。Sちゃんが先に行った。」と怒っているわけを言ったり、小石を投げたら「投げるのやめて!」と返してきたりしたそうです。転んだり、頭をぶつけたりしたら自分に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせて?いるとか。また、草をむしってKさんの服に投げてくるので「やめて!」と言ったら、少し落ち着いてから「ごめんね」と謝ったそうです。)
そのKちゃんが今ではMaくんとよくおしゃべりし、一緒に遊べるようになった、ほかのスタッフとの関係も広がりつつあるという話しです。
Maくんいわく「Kちゃんは指で物の面を叩いて音を出すのが好きなので、最初は私も彼の真似をして指を動かしたり、同じように鳴らしてみたりしました。ブツブツ言っていたら言っているのを真似てみました。」
「そんな風に彼のすることを真似しているとKちゃんは「僕のことを気にしてくれている」と関心を寄せてくるようになりました。彼の命令に従ってばかりいたわけではありません。Kちゃんに足をかけるなどしてちょっかいも出したり、僕の方からもしかけてみました。僕を探すようになってきたので夏にはプールにも時間をかけて少しずつ入れるようにしてきました。公園では探し物ごっこでKちゃんが隠したものを僕が探します。隠した場所が分かっていても分からんふりをして一生懸命に探します。するとKちゃんは困っている様子を見てニヤニヤしたり嬉しそうです。でも、今は遊具でも遊んでほしいので誘いかけています。家族と公園に行っても遊具には乗らないそうです。ブランコは座るところまでいきました。滑り台はてっぺんまで登れました。」と彼は喜びを大げさに表すことなく「淡々と」報告してくれました。後で言いますが、この「淡々と」というのがKちゃんにはいいのかもしれません。
そして、こんなやり取りもありました。尿意をもよおしても自分からは行くとは言えないKちゃん。ギリギリまで我慢すると耳たぶが赤くなってきます。しっかりそれを観察できるようになったMaくんは一緒にトイレに行き、トイレを済ませた後に必ず「手を洗えたね」と声をかけるようにしているそうです。するとKちゃんはニッコリ嬉しそうな顔をするそうです。そこである日、わざと「手を洗えたね」と言わないで待っていると彼の方から「手を洗えたよ」と言ってくれたそうです。
彼は「Kちゃんはいっぱいほめられたいので、ほめてあげてほしい。他の子の活動をじっと見ているので、みんなの中で遊べるようになってほしい。」と結んだのです。
私は彼の報告が教訓的だとして以下のようにまとめました。①自分を表現するのが苦手な子、大人の意図を過敏に感じ取って引いてしまう子、苦手意識や自信のなさがあり、遊びへのとっかかりが見つからない子へのはたらきかけで大切なことを教えてくれている。②具体的にはとにかくこちらの意図で何かをさせようとするのではなく、何気なく彼のやっていることを真似てみる(この場合彼の指の動き・音、つぶやき)、彼の世界につきあってみることが大切。そこから僕のこと分かってくれている人、安心できる人という関係が生まれる。③信頼関係が芽生えてきたら、少しずつ焦らないで彼が好きな遊びや挑戦したい遊びを主導するように誘いかけること。例えば、探し物ごっこでも、あくまでも隠して探させる方=主役はKちゃんであり、場所が分かっていても困った困った見つからない!と演技も出来なくてはダメ。④大事なことは、ただ好きなことにつきあって受け止めてあげるだけでなく、Maくんとの関係だけにとどめることなく、世界を広げるために楽しい場面やきっかけ、あそびを保障しようと努力することが大切。
その場では言いませんでしたが、「淡々と」しているように見えるMaくんの対応や表情は、顔や声の変化や表情を読み取るのが苦手なKちゃんにとっては救いではないかなって私は思っています。その点、私は失格かもしれません。先だっては土足で堂々とプレールームを闊歩する子に対して、つい叱るというよりは怒鳴ってしまいました。そして、Kちゃんと目が合ったときに「しまった!!」と感じ、すかさず「Kちゃん、大きい声で怒ってごめんな。Kちゃんのことを怒ったんではないんやで!」と謝りましたが、アトの祭りです。中学生のKさんもそのあとで泣いたみたいで、家に帰って「メガネをかけた人が…」と報告したそうだから、怒られた子にとってもいいはずがありません。この報告を書きながら苦い思い出がよみがえり反省の至りです。
こんないい話が他にもいっぱい出されました。久しぶりの研修会、楽しかったです。
きっと産休中のKさん(学習大好き人間で研修担当者でした)はこれを読んで「いいな、いいな!」と思いながら、自らの子育てに重ねて考え、「私の今やるべきことを頑張ります」と遠くから見守っていることでしょう。