“事件は現場で起きているんだ!”
どこかで聞いたセリフです。私の長男が昔あこがれてよく口にしていました。そうです、『踊る大捜査線』。レインボーブリッジの上で橋を封鎖する場面、官僚的で優柔不断な警察上層部に対して織田裕二が言い放ったセリフです。
昨日のこと、この写真は公園で起きた“事件”の後で、何事もなかったかのようにシャボン玉を飛ばすHiちゃんの後姿です。(8年ぶりくらいでしょうか?やっと壊れた携帯を変えました。カメラもバッチリです)

「構造化」とは程遠いぽぽろのプレールームをご存じの方は笑われるかもしれませんが、「構造化」や「視覚支援」「ロールプレイ」などがなかなか通用しないのが「現場」でしょう。
予測や見通しがつかない突発的なことが最も起こりやすいのが公園あそびです。日頃から口にする「折り合い」をつけるのが難しいのも公園、小さい子から大きい子まであちこちから子どもから大人まで集まってくるのですから…。雨があがり、“花金”で次の土日が休みというこの日は特に人手が多く、いつになく高い人口密度でした。
何故私が公園あそびにつき合うことになったのかはあとで触れることにします。
孫の手でも引いて行くかのようにToくんと公園にたどりつくと、シャボン玉と砂場セットを抱えて真っ先に公園についたHiちゃんがジャングルジムの上に立っています。私はHiちゃんとのシャボン玉で遊ぶという約束を果たすためにルンルン気分で近づいて行くと、何やら険悪なムードでHiちゃんが4人の女の子らの前に立ちはだかっています。
「そこ早くどきなさいよ!Hiちゃんが遊ぶんだから。どいて!!どろぼう。はやくどいて…」
4人の女の子たちは唖然としながらも「どろぼうなんかしてないよ、なにもとってないよ」と全く動く気配はありません。
もう少し見ていたらよかったかなって思うのですが、Hiちゃんが座っている4人の女の子らの真ん中に足を入れようとしたので、ちょっと待った!とばかりに止めに入りました。手が出そうになったので止めると「やめて!じじい!手を離せ!」と言いながら腕をギュッとつねられてしまいました。公園の大人の視線が私のところに集まります。
「Hiちゃん、お姉ちゃんたちに「かわってちょうだい」って頼んでみようよ。」と言うと一応「どいてちょうだい」と頼みます。
「お姉ちゃんて…何年生なん?」と聞いてくるのでHiちゃんは「Hiちゃん4年生」と返すと「いっしょやんかぁ!」と返ってきます。どうも知らないということはこの校区の子どもたちではなさそうです。
「Hiちゃん、順番やて。もうちょっと待たれへん?」と頼むと、少し折り合うようにシャボン玉液を手前の円柱の上に載せようとしますが、どうも勝手が違うようで、また子どもたちの真ん中に足を踏み出そうとします。
「ごめんな。この子 その場所が好きやねん。代わってやってくれへん?」と頼んでいるはたから、Hiちゃんがすぐに「はやく!どいてよ!ドロボー!どいて」とやるもんだから、なかなか折り合いがつきません。
Hiちゃんにとっては「ドロボー」というのは何かを盗んだからというのではなく「そこは自分がシャボン玉をやる場所に決まっている。自分の場所だ。そこに勝手に座っているのは君たちが悪いのだ。場所ドロボーだ」というわけでしょう。
「ごめんな。勝手やけどそこが自分のシャボン玉の場所と決めてるみたいやねん。順番がなかなか待たれへんねん。かわってやって?」と頼むと、とうとう女の子たちが根負けしてどいてくれました。
「ありがとう。Hiちゃん、変わってくれるって。ありがとう言おうね。」と言うと「ありがと」と定位置にさっさと移動しました。

かくして、定位置を確保すると何事もなかったかのようにシャボン玉をやり出しました。でも、横で女の子たちと私のやり取りは聞いていたはずだし、「場所をかわってくれてよかったね、嬉しいね。」と繰り返しお話しする中で、気持ちも落ち着き、いつものにこにこ顔にかえって「おじいちゃんせんせい」と呼びかけてくれるようになりました。
見ていると、シャボン玉液を柱の上に載せ、小道具は横にずらっと並べていました。ちょっとした「こだわり」の位置と場所だったんですね。
その内に女の子たちが引き返して来て、「ここに座っていい?」と言っても怒らないHiちゃんでした。スペースさえ確保できれば、それでよかったんですよね。
この積み重ねが大事だなって思ったわけです。つくずくHiちゃんが学童に来れるようになってよかったなって思ったのと、理屈がすぐには役に立たない「現場」は難しい、鍛えられ試される「現場」はやはり面白いと思ったわけです。
その内にToくんが仲間に加わり、ちっちゃいYuくんもシャボン玉手でパチンあそびをやりだしました。

シャボン玉液が無くなると、次は砂場です。そう言えば、両手にそれぞれシャボン玉セットと砂場セットを持って肩に担ぎながら公園に来たんだった。彼女の中ではしっかりとした目標があったのですね。
砂山に葉っぱをちぎって載せているのは「何?」と聞くと「アリさんのえさ」と言っていました。

実を言うとプレールームを覗いた(多動なあそび虫がムズムズしだして)ときに、このToくんの顔が見えたので「Toくん、久しぶり!どうしてたの?」と聞くと「今日は遠足やってん。キッズプラザ行ってん。」と話しだしました。ずっと話が止まらず、連休に「ラーメン記念館」に行ってラーメンをつくる体験をした話までしてくれました。
そこへ来たのがHiちゃんで「おじいちゃんせんせいと公園、シャボン玉するひと?」と聞くもんだからあそび虫は全開。慌ててあそび着に着替えてToくんに手をつながれて行くことになったのです。

Toくんは何度も「うんてい」を見てくれと言いましたのでパチリ。すると、Moちゃんや大きいYuくんも来ました。Moちゃんもしたそうでしたが、背が高すぎてぶら下がるのは無理のようでした。

周りから慕われる人気者のYuくんで、彼へのあこがれも芽生えたり、あそびのリーダーを期待されたりするこの頃です。
しかし、彼もHiちゃんのことばの裏までは見抜けません。というか、Yuくんの苦手とするところです。お互い苦手同士がガッチンコ。Hiちゃんにしたら私に「おじいちゃんせんせい」と言うのと同じくらい軽い気持ちでYuくんの名前を「○○○○Yu ○くん」とわざと間違えて言ったもんだから、Yuくんがプツンと切れて「お前なぁ!調子に乗るなよ。いい加減にしろ!」と今にも手が出そうなくらい怒ってくってかかりました。相手の気持ちを思いやるのが苦手なHiちゃんと、ことば通り受け止めてしまい受け流すのが苦手なYuくんとのガチンコ勝負でした。それでも頭を冷やしたら2人は仲良しです。
さて、これはHiちゃんが私にくれた特大メダルです。これですっかり「おじいちゃんせんせい」はHiちゃんが孫のように可愛くなっちゃいました。

若手の男性スタッフ諸君がとても羨ましそうに見ていました。何故なら
「おじいちゃんせんせい にんきもの」「せかいで にっぽんいち」「うんちのおじいちゃんせんせい ちからもち」などとほめ殺しのようなことばが並んでいます。だから今日は公園にホイホイとついて行ったのです。

ところで、スタッフの皆さん。今日の“事件”はこれで終わりではありません。また起こるでしょう。一度私たちが経験したわけですが、今度からどのように対応しますか?出たとこ勝負でいいですか?
例えば、場所や順番とか時間とかで融通が利かないHiちゃんにどう働きかけたらいいのでしょうか?他の場所で例えばすべり台の上からシャボン玉を楽しむとか、ジャングルジムに先客がいたら先に砂場遊びをやってからシャボン玉をするとか…多分それが難しいとは思うけど、5回に一回でも折り合いをつけられたらすばらしいと思います。また、あらかじめ公園に出発する前にジャングルジムの上に先客がいたらどうするかを話しかけて事前に相談しておくなども考えられますね。今日Hiちゃんと付き合ってみて、「ありがとう・うれしい」という気持ちは確かにあるけど“事件”の最中は全く引っこんでいて、それは少し遅れて肩の力を抜いたときに「よかったね」に対して笑顔を返してくれたように、確かに持てているように感じることができました。そういう意味では出たとこ勝負も大切なんでしょうね。
昨日の“事件”から深く考えることはたくさんあるように思いました。
どこかで聞いたセリフです。私の長男が昔あこがれてよく口にしていました。そうです、『踊る大捜査線』。レインボーブリッジの上で橋を封鎖する場面、官僚的で優柔不断な警察上層部に対して織田裕二が言い放ったセリフです。
昨日のこと、この写真は公園で起きた“事件”の後で、何事もなかったかのようにシャボン玉を飛ばすHiちゃんの後姿です。(8年ぶりくらいでしょうか?やっと壊れた携帯を変えました。カメラもバッチリです)

「構造化」とは程遠いぽぽろのプレールームをご存じの方は笑われるかもしれませんが、「構造化」や「視覚支援」「ロールプレイ」などがなかなか通用しないのが「現場」でしょう。
予測や見通しがつかない突発的なことが最も起こりやすいのが公園あそびです。日頃から口にする「折り合い」をつけるのが難しいのも公園、小さい子から大きい子まであちこちから子どもから大人まで集まってくるのですから…。雨があがり、“花金”で次の土日が休みというこの日は特に人手が多く、いつになく高い人口密度でした。
何故私が公園あそびにつき合うことになったのかはあとで触れることにします。
孫の手でも引いて行くかのようにToくんと公園にたどりつくと、シャボン玉と砂場セットを抱えて真っ先に公園についたHiちゃんがジャングルジムの上に立っています。私はHiちゃんとのシャボン玉で遊ぶという約束を果たすためにルンルン気分で近づいて行くと、何やら険悪なムードでHiちゃんが4人の女の子らの前に立ちはだかっています。
「そこ早くどきなさいよ!Hiちゃんが遊ぶんだから。どいて!!どろぼう。はやくどいて…」
4人の女の子たちは唖然としながらも「どろぼうなんかしてないよ、なにもとってないよ」と全く動く気配はありません。
もう少し見ていたらよかったかなって思うのですが、Hiちゃんが座っている4人の女の子らの真ん中に足を入れようとしたので、ちょっと待った!とばかりに止めに入りました。手が出そうになったので止めると「やめて!じじい!手を離せ!」と言いながら腕をギュッとつねられてしまいました。公園の大人の視線が私のところに集まります。
「Hiちゃん、お姉ちゃんたちに「かわってちょうだい」って頼んでみようよ。」と言うと一応「どいてちょうだい」と頼みます。
「お姉ちゃんて…何年生なん?」と聞いてくるのでHiちゃんは「Hiちゃん4年生」と返すと「いっしょやんかぁ!」と返ってきます。どうも知らないということはこの校区の子どもたちではなさそうです。
「Hiちゃん、順番やて。もうちょっと待たれへん?」と頼むと、少し折り合うようにシャボン玉液を手前の円柱の上に載せようとしますが、どうも勝手が違うようで、また子どもたちの真ん中に足を踏み出そうとします。
「ごめんな。この子 その場所が好きやねん。代わってやってくれへん?」と頼んでいるはたから、Hiちゃんがすぐに「はやく!どいてよ!ドロボー!どいて」とやるもんだから、なかなか折り合いがつきません。
Hiちゃんにとっては「ドロボー」というのは何かを盗んだからというのではなく「そこは自分がシャボン玉をやる場所に決まっている。自分の場所だ。そこに勝手に座っているのは君たちが悪いのだ。場所ドロボーだ」というわけでしょう。
「ごめんな。勝手やけどそこが自分のシャボン玉の場所と決めてるみたいやねん。順番がなかなか待たれへんねん。かわってやって?」と頼むと、とうとう女の子たちが根負けしてどいてくれました。
「ありがとう。Hiちゃん、変わってくれるって。ありがとう言おうね。」と言うと「ありがと」と定位置にさっさと移動しました。

かくして、定位置を確保すると何事もなかったかのようにシャボン玉をやり出しました。でも、横で女の子たちと私のやり取りは聞いていたはずだし、「場所をかわってくれてよかったね、嬉しいね。」と繰り返しお話しする中で、気持ちも落ち着き、いつものにこにこ顔にかえって「おじいちゃんせんせい」と呼びかけてくれるようになりました。
見ていると、シャボン玉液を柱の上に載せ、小道具は横にずらっと並べていました。ちょっとした「こだわり」の位置と場所だったんですね。
その内に女の子たちが引き返して来て、「ここに座っていい?」と言っても怒らないHiちゃんでした。スペースさえ確保できれば、それでよかったんですよね。
この積み重ねが大事だなって思ったわけです。つくずくHiちゃんが学童に来れるようになってよかったなって思ったのと、理屈がすぐには役に立たない「現場」は難しい、鍛えられ試される「現場」はやはり面白いと思ったわけです。
その内にToくんが仲間に加わり、ちっちゃいYuくんもシャボン玉手でパチンあそびをやりだしました。

シャボン玉液が無くなると、次は砂場です。そう言えば、両手にそれぞれシャボン玉セットと砂場セットを持って肩に担ぎながら公園に来たんだった。彼女の中ではしっかりとした目標があったのですね。
砂山に葉っぱをちぎって載せているのは「何?」と聞くと「アリさんのえさ」と言っていました。

実を言うとプレールームを覗いた(多動なあそび虫がムズムズしだして)ときに、このToくんの顔が見えたので「Toくん、久しぶり!どうしてたの?」と聞くと「今日は遠足やってん。キッズプラザ行ってん。」と話しだしました。ずっと話が止まらず、連休に「ラーメン記念館」に行ってラーメンをつくる体験をした話までしてくれました。
そこへ来たのがHiちゃんで「おじいちゃんせんせいと公園、シャボン玉するひと?」と聞くもんだからあそび虫は全開。慌ててあそび着に着替えてToくんに手をつながれて行くことになったのです。

Toくんは何度も「うんてい」を見てくれと言いましたのでパチリ。すると、Moちゃんや大きいYuくんも来ました。Moちゃんもしたそうでしたが、背が高すぎてぶら下がるのは無理のようでした。

周りから慕われる人気者のYuくんで、彼へのあこがれも芽生えたり、あそびのリーダーを期待されたりするこの頃です。
しかし、彼もHiちゃんのことばの裏までは見抜けません。というか、Yuくんの苦手とするところです。お互い苦手同士がガッチンコ。Hiちゃんにしたら私に「おじいちゃんせんせい」と言うのと同じくらい軽い気持ちでYuくんの名前を「○○○○Yu ○くん」とわざと間違えて言ったもんだから、Yuくんがプツンと切れて「お前なぁ!調子に乗るなよ。いい加減にしろ!」と今にも手が出そうなくらい怒ってくってかかりました。相手の気持ちを思いやるのが苦手なHiちゃんと、ことば通り受け止めてしまい受け流すのが苦手なYuくんとのガチンコ勝負でした。それでも頭を冷やしたら2人は仲良しです。
さて、これはHiちゃんが私にくれた特大メダルです。これですっかり「おじいちゃんせんせい」はHiちゃんが孫のように可愛くなっちゃいました。

若手の男性スタッフ諸君がとても羨ましそうに見ていました。何故なら
「おじいちゃんせんせい にんきもの」「せかいで にっぽんいち」「うんちのおじいちゃんせんせい ちからもち」などとほめ殺しのようなことばが並んでいます。だから今日は公園にホイホイとついて行ったのです。

ところで、スタッフの皆さん。今日の“事件”はこれで終わりではありません。また起こるでしょう。一度私たちが経験したわけですが、今度からどのように対応しますか?出たとこ勝負でいいですか?
例えば、場所や順番とか時間とかで融通が利かないHiちゃんにどう働きかけたらいいのでしょうか?他の場所で例えばすべり台の上からシャボン玉を楽しむとか、ジャングルジムに先客がいたら先に砂場遊びをやってからシャボン玉をするとか…多分それが難しいとは思うけど、5回に一回でも折り合いをつけられたらすばらしいと思います。また、あらかじめ公園に出発する前にジャングルジムの上に先客がいたらどうするかを話しかけて事前に相談しておくなども考えられますね。今日Hiちゃんと付き合ってみて、「ありがとう・うれしい」という気持ちは確かにあるけど“事件”の最中は全く引っこんでいて、それは少し遅れて肩の力を抜いたときに「よかったね」に対して笑顔を返してくれたように、確かに持てているように感じることができました。そういう意味では出たとこ勝負も大切なんでしょうね。
昨日の“事件”から深く考えることはたくさんあるように思いました。