司馬遼太郎著
街道をゆく七
甲賀と伊賀のみち
『街道をゆく』は「週刊朝日」の連載として1971年に始まり、司馬さんが亡くなる1996年まで、25年にわたり続きました。こうして残されたのが、書籍にして全43巻を数える大紀行『街道をゆく』です。
朝日新聞出版ホームページより
人気の紀行本だから今更説明は不要だろう。
写真満載の旅行ガイドもいいが、紀行文で自分のイメージを広げて旅に出るのも楽しい。
第七巻は甲賀と伊賀の道で、三重県の伊賀上野城から滋賀県の瀬田までを旅している。
その本文中にポリ袋が登場する。
ふだらくの廃寺の前半部分。
炭焼きの老人との会話シーンがあり、木炭は儲からないという話になる。
その後、ご自身の感想として「世間では木炭は高いものになっている。茶をやる人なども、ポリエチレンの袋に入った炭と灰とを買ってくれる問いのだが、炭焼きはその程度の収入でしか無いのであろうか」とある。
ポリ袋が普及し始めたのは昭和40年代だ。
この連載は昭和四十八年五月一二日号から始まっているとのことなので、ちょうどポリ袋が紙袋に代わり爆発的な普及をしている頃だろう。
防水性のあるポリ袋は木炭や灰を入れるにはうってつけだから重宝したと考えられる。
ポリ袋を使っていた木炭に思いを馳せ、コロナ終息後は甲賀と伊賀のみちをたどってみたい。