The Philippines 1870-1935−014

バランギガの戦い - サマール1901

バランギガの戦いは1901年9月28日、フィリピン・サマール島のバランギガの町で起こった。

この戦いは「1876年のリトルビッグホーンの戦い以来、アメリカ軍兵士の最悪の敗北」と評された。この攻撃とその後の報復は、フィリピンとアメリカの間で最も長く続き、最も論争の的となっている問題のひとつである。この戦いの結果、リトルトン・W・T・ウォーラー少佐率いる米海兵隊がサマール島を縦断した。

1901年の夏、ビサヤ地方を指揮しサマール島を統括していたロバート・P・ヒューズ准将は、サマール島で積極的な食糧剥奪政策と財産破壊を行った。

ロバート・P・ヒューズ准将はビサヤ地方を指揮し、サマール島の責任者であった。その目的は、フィリピンの抵抗に終止符を打たせることだった。彼の戦略は、南海岸の3つの主要港、バセイ、バランギガ、ギュアンを閉鎖することだった。サマールはマニラ麻生産の主要拠点で、島のフィリピン軍に資金を供給していた。同時に、米国の利害関係者は、米国海軍と綿花などの米国の農業産業に不可欠な麻貿易の支配権を確保しようと躍起になっていた。

1901年8月11日、米歩兵第9連隊のC中隊がバランギガに到着し、港を閉鎖してビセンテ・ルクバン将軍率いる内地のフィリピン軍に物資が届かないようにした。バランギガにアメリカ人が駐留する前の1901年5月下旬、町長のペドロ・アバヤンはルクバンに宛てて、「（アメリカ人が）好き勝手なことをする欺瞞的な政策を守り、好機が訪れれば、人々は戦略的に彼らに反旗を翻す」ことを誓う手紙を送っていた。

兵士と町民の関係は、町がアメリカ軍に占領されて最初の1ヵ月間は友好的だった。しかしその後、いくつかの理由から緊張が高まった。バランギガの米軍部隊の指揮官だったトーマス・W・コネル大尉は、米陸軍の監察総監の訪問に備えて町の清掃を命じた。しかし、コネル大尉の指示に従うあまり、町民はうっかり食料価値のある植物を伐採してしまい、ルクバンの食料安全保障政策に違反した。9月18日、ルクバンが町役人に制裁を加えるために送り込んだ400人のゲリラがバランギガに到着した。この脅威は、ルクバンのスタッフであるエウヘニオ・ダザ大尉と教区司祭のドナト・ギンバオリボット神父によって鎮圧された。

コネルは数日後、掃討作戦を急ぐため、町の男性住民を一網打尽にして拘束した。約80人の男たちは、一晩中食事を与えられず、2つのシブレーのテントに入れられた。また、コネルは男たちのボロ・ナイフと食卓用の米を没収した。この行為に怒った町の警察署長バレリアーノ・アバナドールは、米兵に対する報復行動を計画するためにダザとの会談を手配した。アバナドールとダザは、アメリカ兵の火力優位を補うに十分な人手不足という問題に対処するため、男たちの集まりを労働力として偽装し、監察総監の訪問に備えて町を整備した。さらに、フィエスタの翌日にはアメリカ兵が飲み干せるように、多くのヤシ酒が運び込まれた。攻撃の数時間前、女性や子供たちは安全な場所に避難させられた。教会の夜明けの礼拝から女性たちが姿を消したことを隠すため、バリオ・ラワーン出身の34人の男たちが女性礼拝者に扮した。小さな棺を抱えた「女性たち」は、教会近くの町の広場の見張り台のシャラー軍曹に挑発された。銃剣で棺のひとつを開けると、コレラの犠牲者だと言われた子供の死体があった。この日は宗教的な追悼の日であったため、サント・エンティエーロと呼ばれるキリスト像が入っていたという証言もある。いずれにせよ、見張りは一行の通過を許可した。一行が持っていた他の箱には、襲撃者のボロやその他の武器が隠されていた。

1901年9月28日の6時20分から6時45分にかけて、村人たちが動き出した。バレリアーノ・アバナドールがアメリカ人歩哨の一人、アドルフ・ガムリン兵尉のライフルをつかみ、頭を殴って気絶させた。これを合図に、広場にいた他の共同労働者たちは、食堂で朝食をとっていたC中隊の他の歩哨や兵士たちを急襲した。アバナドールは叫び、他のフィリピン人兵士に攻撃の合図を送ると、ガムリンのライフルを食堂のテントに撃ち込み、兵士の一人に命中させた。教会の鐘の音と法螺貝を吹く音が数秒後に鳴り響いた。C中隊の兵士の何人かは、ライフルを手にする前に攻撃され、切り殺された。最初の猛攻撃から生き残った数人は、台所用品、ステーキナイフ、椅子などを使い、ほとんど素手で戦った。ある二等兵は、圧倒される前に野球のバットで襲撃者を撃退した。

シブリーのテントに収容されていた男たちは脱走し、市庁舎に向かった。同時に、教会に隠れていた襲撃者たちが教区の家に押し入り、そこにいた3人のアメリカ人将校を殺害した。丸腰のC中隊兵士は無視され、コネル少佐のフィリピン人家政婦も犠牲になった。攻撃隊は当初、教区の家と市庁舎を占拠したが、意識を回復したガムリンが別の小銃を確保し、フィリピン軍にかなりの死傷者を出したため、食堂テントと兵舎での攻撃は失敗に終わった。アバナドールは攻撃隊に離脱と退却を呼びかけ、最初の奇襲は消え、攻撃は悪化した。フランク・ベトロン軍曹に率いられたC中隊の生き残りの兵士たちは、海路でレイテ島のバシーとタナウアンに逃れた。町の人々は死者を埋葬し、町を放棄した。

バランギガ事件は米国民に衝撃を与え、新聞はこの虐殺を1876年のリトル・ビッグホーンでのジョージ・アームストロング・カスターの最後の戦いになぞらえた。

1876年のリトルビッグホーンの戦いでのジョージ・アームストロング・カスターの最後の抵抗に匹敵すると新聞は報じた。フィリピン軍総督アドナ・R・チャフィー少将は、セオドア・ルーズベルト米大統領からサマール島平定を命じられた。チャフィーはジェイコブ・H・スミス大将をサマールに任命した。スミスをサマールに派遣し、任務を遂行させた。スミスは海兵隊のリトルトン・ウォーラー少佐と315人の海兵隊員にサマール軍の強化を指示した。スミスは「捕虜はいらない。殺して燃やしてほしい。殺して燃やせば燃やすほど、私は喜ぶ．サマール島の奥地は荒野にしなければならない。この命令の結果、スミスは 「吠える荒野のスミス 」として知られるようになった。スミスはさらに、10歳以上の者は報復の対象となると述べた。サマールへの食糧と貿易は断たれ、革命家たちを飢えさせ服従させることを意図した。スミスのサマールでの戦略は、住民にゲリラへの支持をやめさせ、恐怖と飢えからアメリカ軍に転向させるために、広範囲の破壊を伴うものであった。