シリーズ平成の本音―補正予算は不要、円高是正が緊急課題!
臨時国会が動き出した。野党自民党が赤字公債発行のための特例公債法案への審議入りをやっと了承したためだ。赤字公債が発行されないと今年度予算の財源が底をつき、予算執行が出来ず、地方交付税や各種事業が止まり、国民生活に影響が出る。その上、国民生活を顧みず、党利党略を優先し政権復帰のみを最大の目標とする野党自、公両党が解散・総選挙要求に固執し、審議拒否を続けているため、停滞している景気の足を更に引っ張っている。与野党とも言い分はあるのだろうが、党利党略を優先する泥仕合の様相を呈している。
日本の経済は輸出産業が打撃を受け、景気の停滞に拍車を掛け、復興予算も現地に十分回っていない状態であり、国家経済の緊急事態だ。
そこに野田政権は、経済対策として更に補正予算の必要性を匂わせている。既に予備費を景気対策に回すことにしているではないか。更に赤字公債を発行して、補正予算を組んでダブダブと行政組織に金を注ぎ込んでも百害あって一益もない。
被災地復興のため5年間で19兆円の予算を充当することになっているが、復興とは程遠い事業に予算が回され、予算が関係官庁に食い散らされている一方、被災地の復興事業の執行は遅々として進まず、被災地に予算が思うように落ちていない。問題は、更に行政組織にダブダブと予算を付け、更に赤字公債を積み上げることではなく、今年度予算、特に復興予算と予備費部分を迅速に執行し、現地に金を落とすことである。また被災地の人材確保が一つのネックになっているので、中央省庁の実員の約1割を3年、被災地の自治体に出向あるいは配転させ、復興の促進を図るくらいの真摯さが欲しい。
補正を組んでも赤字を増加させる上、需要効果は砂漠に水を撒くようなもので極めて限定的だ。今緊急に行うべきことは実体経済を越え、行き過ぎた円高を迅速に是正し、1ドル90円から100円程度の適正レベルに誘導することだ。それにより輸出産業を中心とする日本の産業が活力を取り戻し、被災地の産業復興にも良い影響を及ぼすことになろう。要するに民活を引き出す最大の対策は過度な円高を是正することだ。また民間活力を引き出すという観点からすると減税が望ましい。国民から徴税し、行政組織が配布、執行するという従来の方式はある程度必要だが、それが行き過ぎると予算の無駄や非効率、復興予算で見られるような不適正な使用などに繋がり、既得権益擁護や利益グループなどとの癒着などの弊害をもたらすことを国民は気付くべきであろう。
日本の貿易収支は2011年に赤字に転じ、2012年においても1-6月期は過去最大の2兆9千億円強の大幅赤字となり、本年度上期(4-9月)での貿易赤字は3兆2千億円強と1979年以来最大の貿易赤字を記録した。大手電機メーカーも大幅な営業赤字となることを公表している。正に日本の産業潰しの円高ドル安、元安と言える。過去2年間日本の政治に芯がなく、政府、日銀が過度な円高を容認し、確固たる対策を取って来なかったからではなかろうか。日本産業の生き残りを掛けて、政府、日銀は円高の是正、適正化を断行すべきだ。経済界もそれを支援し、協調する言動が望まれる。
野田政権は、「近いうち」解散の条件として、特例公債法案の採択、議員定数の是正による違憲状態の回避、及び社会保障改革国民会議を挙げている。これに対し野党自民、公明両党は、年内解散をして約束を守れとして解散・総選挙を迫っていたが、この度特例公債法案の審議は行われることになった。残る2つの条件については、自公両党は衆院議員定数の0増5減を主張しているが、「年内解散」であれば0増5減が採択されても、年内実施は困難であるので、違憲状態を回避したというアリバイ作りにしかならない。自公両党は政権にある間も定数の是正や削減を含む抜本的な政治改革には消極的であり、目先の違憲状態を回避するアリバイ作りに終始して来ており、今臨時国会で0増5減を通しても実体的の意味はない。衆参両院の抜本的な定数是正(原則格差1.5倍以内)と定数削減を選挙の中心的な争点の一つにするべきであろう。このような緩い目先の措置を重ねても問題の先送りとなり、実質的な意味はない。
もう一つの社会保障改革国民会議の設置については、税と社会保障の一体改革の協議過程で基本的に自公両党が合意したのは消費増税であり、社会保障の抜本改革については自公両党は現行の制度に立脚した手直し程度しか考えておらず、合意できなかったので国民会議の設置ということで先送っただけであるので、現政権で設置しても合意の見通しもなく、ほとんど意味がない。そもそも現政権が選挙後政権を維持出来る可能性はないので、今臨時中に設置しても意味がないので、選挙後の問題とすべきであろう。
今やるべきことは行き過ぎた円高の是正と減税である。(2012.11.02.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
臨時国会が動き出した。野党自民党が赤字公債発行のための特例公債法案への審議入りをやっと了承したためだ。赤字公債が発行されないと今年度予算の財源が底をつき、予算執行が出来ず、地方交付税や各種事業が止まり、国民生活に影響が出る。その上、国民生活を顧みず、党利党略を優先し政権復帰のみを最大の目標とする野党自、公両党が解散・総選挙要求に固執し、審議拒否を続けているため、停滞している景気の足を更に引っ張っている。与野党とも言い分はあるのだろうが、党利党略を優先する泥仕合の様相を呈している。
日本の経済は輸出産業が打撃を受け、景気の停滞に拍車を掛け、復興予算も現地に十分回っていない状態であり、国家経済の緊急事態だ。
そこに野田政権は、経済対策として更に補正予算の必要性を匂わせている。既に予備費を景気対策に回すことにしているではないか。更に赤字公債を発行して、補正予算を組んでダブダブと行政組織に金を注ぎ込んでも百害あって一益もない。
被災地復興のため5年間で19兆円の予算を充当することになっているが、復興とは程遠い事業に予算が回され、予算が関係官庁に食い散らされている一方、被災地の復興事業の執行は遅々として進まず、被災地に予算が思うように落ちていない。問題は、更に行政組織にダブダブと予算を付け、更に赤字公債を積み上げることではなく、今年度予算、特に復興予算と予備費部分を迅速に執行し、現地に金を落とすことである。また被災地の人材確保が一つのネックになっているので、中央省庁の実員の約1割を3年、被災地の自治体に出向あるいは配転させ、復興の促進を図るくらいの真摯さが欲しい。
補正を組んでも赤字を増加させる上、需要効果は砂漠に水を撒くようなもので極めて限定的だ。今緊急に行うべきことは実体経済を越え、行き過ぎた円高を迅速に是正し、1ドル90円から100円程度の適正レベルに誘導することだ。それにより輸出産業を中心とする日本の産業が活力を取り戻し、被災地の産業復興にも良い影響を及ぼすことになろう。要するに民活を引き出す最大の対策は過度な円高を是正することだ。また民間活力を引き出すという観点からすると減税が望ましい。国民から徴税し、行政組織が配布、執行するという従来の方式はある程度必要だが、それが行き過ぎると予算の無駄や非効率、復興予算で見られるような不適正な使用などに繋がり、既得権益擁護や利益グループなどとの癒着などの弊害をもたらすことを国民は気付くべきであろう。
日本の貿易収支は2011年に赤字に転じ、2012年においても1-6月期は過去最大の2兆9千億円強の大幅赤字となり、本年度上期(4-9月)での貿易赤字は3兆2千億円強と1979年以来最大の貿易赤字を記録した。大手電機メーカーも大幅な営業赤字となることを公表している。正に日本の産業潰しの円高ドル安、元安と言える。過去2年間日本の政治に芯がなく、政府、日銀が過度な円高を容認し、確固たる対策を取って来なかったからではなかろうか。日本産業の生き残りを掛けて、政府、日銀は円高の是正、適正化を断行すべきだ。経済界もそれを支援し、協調する言動が望まれる。
野田政権は、「近いうち」解散の条件として、特例公債法案の採択、議員定数の是正による違憲状態の回避、及び社会保障改革国民会議を挙げている。これに対し野党自民、公明両党は、年内解散をして約束を守れとして解散・総選挙を迫っていたが、この度特例公債法案の審議は行われることになった。残る2つの条件については、自公両党は衆院議員定数の0増5減を主張しているが、「年内解散」であれば0増5減が採択されても、年内実施は困難であるので、違憲状態を回避したというアリバイ作りにしかならない。自公両党は政権にある間も定数の是正や削減を含む抜本的な政治改革には消極的であり、目先の違憲状態を回避するアリバイ作りに終始して来ており、今臨時国会で0増5減を通しても実体的の意味はない。衆参両院の抜本的な定数是正(原則格差1.5倍以内)と定数削減を選挙の中心的な争点の一つにするべきであろう。このような緩い目先の措置を重ねても問題の先送りとなり、実質的な意味はない。
もう一つの社会保障改革国民会議の設置については、税と社会保障の一体改革の協議過程で基本的に自公両党が合意したのは消費増税であり、社会保障の抜本改革については自公両党は現行の制度に立脚した手直し程度しか考えておらず、合意できなかったので国民会議の設置ということで先送っただけであるので、現政権で設置しても合意の見通しもなく、ほとんど意味がない。そもそも現政権が選挙後政権を維持出来る可能性はないので、今臨時中に設置しても意味がないので、選挙後の問題とすべきであろう。
今やるべきことは行き過ぎた円高の是正と減税である。(2012.11.02.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)