シリーズ平成の本音―JALは計画倒産だったのか?
日本航空(JAL)は、11月2日、2012年9月の中間連結決算を発表し、営業利益が1,121億円、前年同期比5.7%増、税引き後利益997億円(2.4%増)と発表した。中間決算としては過去最高益を出したとのことであり、大手電気機器産業等が大幅赤字を記録し、経済停滞が続く中では喜ばしいニュースだ。日航はこの業績好調を背景として、株式を再上場して市場より資金を調達し、格安航空路線への参入や国際線の新規路線開設など事業を拡大する意図を明らかにしている。利用者にとっては一見良さそうではあるが、ライバル会社の全日空の上期営業利益が753億円(税引き後369億円)と下回っていることを考えると、3,500億円に及ぶ公的支援を受けている上、巨額の税金の免除を受けるなど公的な支援を受けていながら、他の航空会社の事業を圧迫する結果となっており、あの倒産劇は一体なんだったのだろうか。
日航は3年ほど前に経営破たんに陥り、公的支援を受けながら企業再生することとなった。その際旧日航の株式については100%減資、上場廃止された。一部の人員解雇や年金の減額などが行われ、従業員も負担を負い、気の毒であったものの、従業員としての責任として仕方ないと思われるが、旧資本家は踏み倒されたことになる。特に日航側から事前情報などを提供されることがない一般株主は100%減資、上場廃止が公表されてから知るため、実体的に経営責任が全くないにも拘わらず株券は紙同然となり大きな損害を与えられている。
特に、2008年2月末に旧日航は「2008年―2010年度再生計画」を発表し、“2011年3月までに純利益530億円、営業利益960億円を見込む”などとして1,500億円強の増資を行うことを発表し、増資を行っている。要するに、この増資発表から1年半ほどで経営破たんに陥っているので、増資発表時点で経営上の危機を知っていながら、“2011年3月までに営業利益960億円”などと虚偽の宣伝をして株を買わせ、1年前後で踏み倒したことになる。一般株式を踏み倒すための計画倒産のようであり、詐欺に近い。損害賠償を求めて株主代表訴訟が行われても不思議はないし、このようなことが容認されれば、同じような計画倒産が起こる可能性があり、多くの被害者が予想される。大手証券会社内のインサイダー取引など、株取引への内外の不信が募っているだけに、一般投資家の日本の株式制度への不信も強くなろう。
整理倒産後2年強で大幅な営業利益が出たのであれば、少なくても2008年2月末以降に実施した増資分については、購入された株式に対し適正な補償がなされるべきであろう。
また税法上優遇が与えられている期間は、他事業への出資や事業拡張などは規制されるべきであろうし、税法上優遇はもはや不要であろう。そもそも100%減資、上場廃止して旧株主を切り捨てて損害を与えた後、再上場して新たな株主を募り、短期間で大幅な営業利益を出して業界トップに返り咲くことは質の悪い手品を見ているようだ。日航は日本の航空業界を代表する資格はない。(2012.11.06.)
日本航空(JAL)は、11月2日、2012年9月の中間連結決算を発表し、営業利益が1,121億円、前年同期比5.7%増、税引き後利益997億円(2.4%増)と発表した。中間決算としては過去最高益を出したとのことであり、大手電気機器産業等が大幅赤字を記録し、経済停滞が続く中では喜ばしいニュースだ。日航はこの業績好調を背景として、株式を再上場して市場より資金を調達し、格安航空路線への参入や国際線の新規路線開設など事業を拡大する意図を明らかにしている。利用者にとっては一見良さそうではあるが、ライバル会社の全日空の上期営業利益が753億円(税引き後369億円)と下回っていることを考えると、3,500億円に及ぶ公的支援を受けている上、巨額の税金の免除を受けるなど公的な支援を受けていながら、他の航空会社の事業を圧迫する結果となっており、あの倒産劇は一体なんだったのだろうか。
日航は3年ほど前に経営破たんに陥り、公的支援を受けながら企業再生することとなった。その際旧日航の株式については100%減資、上場廃止された。一部の人員解雇や年金の減額などが行われ、従業員も負担を負い、気の毒であったものの、従業員としての責任として仕方ないと思われるが、旧資本家は踏み倒されたことになる。特に日航側から事前情報などを提供されることがない一般株主は100%減資、上場廃止が公表されてから知るため、実体的に経営責任が全くないにも拘わらず株券は紙同然となり大きな損害を与えられている。
特に、2008年2月末に旧日航は「2008年―2010年度再生計画」を発表し、“2011年3月までに純利益530億円、営業利益960億円を見込む”などとして1,500億円強の増資を行うことを発表し、増資を行っている。要するに、この増資発表から1年半ほどで経営破たんに陥っているので、増資発表時点で経営上の危機を知っていながら、“2011年3月までに営業利益960億円”などと虚偽の宣伝をして株を買わせ、1年前後で踏み倒したことになる。一般株式を踏み倒すための計画倒産のようであり、詐欺に近い。損害賠償を求めて株主代表訴訟が行われても不思議はないし、このようなことが容認されれば、同じような計画倒産が起こる可能性があり、多くの被害者が予想される。大手証券会社内のインサイダー取引など、株取引への内外の不信が募っているだけに、一般投資家の日本の株式制度への不信も強くなろう。
整理倒産後2年強で大幅な営業利益が出たのであれば、少なくても2008年2月末以降に実施した増資分については、購入された株式に対し適正な補償がなされるべきであろう。
また税法上優遇が与えられている期間は、他事業への出資や事業拡張などは規制されるべきであろうし、税法上優遇はもはや不要であろう。そもそも100%減資、上場廃止して旧株主を切り捨てて損害を与えた後、再上場して新たな株主を募り、短期間で大幅な営業利益を出して業界トップに返り咲くことは質の悪い手品を見ているようだ。日航は日本の航空業界を代表する資格はない。(2012.11.06.)