作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

親切をしたこと

2016-01-11 | 作文
 今週のテーマは「親切をしたこと」です。小学校3年生の女の子がお年寄りに親切をしたことについて書いてくれました。

 一つ目の話は、1年生のころ、荷物を持ったおばあさんに思い切って声をかけたという話です。学校に行くとき、目の前を重い荷物を持ったおばあさんが歩いていたので、「荷物、持ちましょうか。」と声をかけるのですが、「大丈夫。」と断られてしまいます。そのおばあさんは、「まるで風船をふくらます前のようによぼよぼ」だったそうですが、大きなランドセルを背負った1年生の女の子に荷物を持たせるわけにはいかないと思ったのでしょう。作文にも「おばあさんは、たぶん、めいわくをかけてはいけないと思ったのだと思います。」と書かれています。

 二つ目の話は、電車に乗っているときにおじいさんに席をゆずった話です。このときも、思い切って「どうぞ。」と声をかけるのですが、無視されてしまいます。「もしかしたら、お年寄りなので耳が遠かったのかもしれません。」と書いています。一つ目の話のときもそうでしたが、相手の身になって、想像したことを書いている点がすばらしいと思います。

 そして三つ目の話。やはり、電車の中でおじいさんに席をゆずった話です。三度目の正直で、おじいさんは、とてもうれしそうに、にこにこしながら席にすわってくれたそうです。女の子もほっとしたことと思います。すると、おじいさんは、荷物の中から何やら取り出し、女の子に渡したそうです。それは、なんと、今流行りの妖怪ウォッチのシールでした。しかも、かなりの数だったそうです。なぜ、おじいさんがそんなにシールを持っていたのかは謎ですが、そのシールは、神様からの三回分のご褒美だったのかもしれません。女の子は、そのシールを独り占めすることなく、一緒に出かけていた学童の先生に渡し、みんなで分けたそうです。

 小学校3年生は、作文の結びに、心の中で思ったことを書くことになっています。その女の子は、「親切をされる方は、もちろん、うれしいけれど、親切をする方もうれしくなるから、親切っていいなあと心の中で思いました。」としめくくっていました。これは、実体験を通してでないとわからない感想です。3年生ぐらいの子供にとって、大きな感想を書くのはむずかしいのですが、自分の体験をもとに、親切というものをされる側、する側の両面からとらえています。いろいろな視点から物事を考えられることは、作文を書くことの利点だと思います。


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作文のマンネリ化?

2016-01-11 | 作文
 低学年の保護者の方から、作文がマンネリ化しているという相談を受けることがあります。低学年のうちは、毎回「きょうのこと」という題名で、毎回、朝ごはんのメニューを書き、同じようなたとえを使い……というようなことはあると思います。でも、それをマンネリ化と呼ぶのは少し違うのではないかと思います。

 低学年のうちは特に習慣を作ることが大切です。その時期に、毎週、たとえ字数は短くてもきちんと作文を書いているということは、作文を書く習慣がしっかりできているということです。保護者の方は、まずそのことを認識することです。作文を書く習慣が身に付いたということは、非常に大きな収穫なのです。

 親が子供の作文にマンネリ化を感じたら要注意です。親が抱くマイナスの感情は子供に伝わるからです。たとえ心の中ではそう思っていたとしても、「いつも同じ作文で代わり映えしない」などという気持ちを決して顔に出してはいけません。せっかく軌道に乗ってきた作文の勉強がまた一からやり直しになってしまうからです。

 漢字を繰り返し書く勉強をマンネリ化と呼ぶ人はいません。計算も同じです。作文は、もちろん、創造的な要素があるので、漢字や計算の勉強と同じではありませんが、繰り返しが大切という点では同じです。繰り返し、つまり継続のないところには、変化も成長も生じないのです。

 種から芽が出るまでに、種の中でどんな変化が起きているのか肉眼で見ることはできません。しかし、種の中では、何かが刻々と変化しているのです。変化を確認しようとして種を開けてしまったら元も子もありません。芽が出るまで気長に見守ることが大切です。

 作文の勉強もそれと同じです。作文の勉強には長い時間を要します。マンネリ化しているように見えたとしても、見えないところで何かが変化しているはずです。その証拠に、いつまで経っても一年生のときのままの作文を書く生徒は一人もいません。種の中で何かが変化しているように、子供の内側では何かが少しずつ変わっているのです。

 作文にマンネリ化はありません。マンネリ化を感じるくらい作文を書いているのだとしたら、むしろ喜ぶべきです。お母さん、お父さんは、目に見えない変化を心で感じ、子供の成長をじっと見守ってあげる必要があります。マンネリ化と言う前に、継続力とまだ目には見えていない成長を多いにほめてあげてください。

 ローマは一日にしてならず。即効性のある美容法やダイエット法が危険なように、作文の勉強に即効性を求めるべきではありません。大きな花を咲かせるために、まず必要なことは、途中で芽を摘まないことです(笑)。作文の勉強は先を急ぐものではなく、じっくり育んでいくものなのです。


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