先日、『あなたもいままでの10倍速く本が読める』という本を読みました。フォトリーディングに関する本です。フォトリーディングの方法をしっかりマスターすれば、これまでの10倍のスピードで、次々と本を読んでいくことができるというわけです。速読がうまくできるようになるかどうかは別として、フォトリーディングのやり方は、四つの点で、みなさんの勉強にも生かすことができると思いました。
一つ目は、まず、目的を明確にするということです。フォトリーディングでは、最初に、読書の目的をはっきりさせます。ストーリーを楽しむために読むのか、自分の求めている特定の情報を得るために読むのか、とりあえず筆者の考えを知るために読むのかなど、まずは目的を決めることがその後の読書の流れをスムーズなものにするからです。
勉強をするときも、今から何のために何の勉強をするのかをしっかり決めてから勉強に取りかかる方が集中力が増し、効率の良い勉強ができます。ただ漫然と勉強を始めるのではなく、「今から、○○分間、▲▲▲を覚えるために□□□の勉強をする」というように目的をはっきりさせ、引き締まった気持ちで机に向かう方が勉強がはかどるであろうことは容易に想像できるでしょう。
この目的を明確にするという点においては、アファメーションが重要な役割を果たします。目的をきちんと言葉にして、心の中で言ってみるのです。わざわざそんなことをしなくても自分でわかっていればよいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、アファメーションは、自分の行動の方向性を決めるという点で非常に有効なのです。アファメーションを行うことは、自分に強力な暗示をかけることと言ってもよいでしょう。
二つ目は、後頭部の上の一点に注意を固定するということです。本の中では、「ミカン集中法」という名前で紹介されているのですが、後頭部の上の一点に注意を固定することによって、リラックスした集中状態を作り出せるのだそうです。「ミカン集中法」とは、簡単に説明すると、ミカンを一つ、後頭部の十五~二十センチ上あたりに置いたつもりになり、静かに目を閉じて、そのミカンのバランスを取ろうとすることによって集中力を高める方法です。後頭部は、目から入った情報を処理するところです。
「ミカン集中法」は、勉強の集中力を高めるためにも使えそうです。勉強をする前はもちろん、勉強中に集中力が落ちてきたなというときにも、ミカンを一つ後頭部の上に置いてみると、また新たな気持ちで勉強に取り組むことができるはずです。もちろん、ミカンでなくても構いません。帽子をかぶったつもりになったり、鳥が止まっているつもりになったり、とにかく、後頭部に注意を固定することができれば、どんな方法でもよいのです。自分にいちばんピンと来るオリジナルな方法を考えてみるのも楽しいと思います。
三つ目は、全体を見るということです。フォトリーディングでは、通常の読書のように、最初のページから順番に文字を追って読んでいくのではなく、まず、見出しや小見出し、写真など、目につく部分をざっと最後まで見て、全体の流れを把握します。見出しなどが特にない場合は、次々にページをめくって、大事な部分を拾い読みしていきます。大事な部分を見つけるコツは、勘です(笑)。まだ読んだことのない本なので、どこが大事な部分かはわからなくて当然です。だから、勘に頼るしかありません。やってみるとわかるのですが、勘で見つけた部分を読んでいくと、ほとんどの場合、それだけで全体の流れが把握できるものです。
とりあえず全体を把握してから、視野をだんだんと狭め、焦点を絞っていくというこの方法は、歴史などの勉強においても有効です。日本史にしても、世界史にしても、まずは、教科書の見出しや写真などを最後のページまで、ざっと見ておきましょう。最初に全体の流れを大まかに把握しておくと、大きな年表を頭の中に広げたままで、細部の勉強をすることになるので、常に全体を見ながら細部の勉強を進めることができます。
国語の読解問題を解く場合も、問題文をいきなり最初から読んでいくのではなく、各段落の初めの部分だけ、または各段落の最後の部分だけを飛ばし読みしてから、全体を読んでいくと全文の意味をつかみやすくなります。国語の問題を解くときは、最初に問いを読んでから問題文を読むとよいと聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それと似ています。どんなことが書かれているのかを頭に入れてから、細部を読んでいくのです。すると、一人よがりな思い込みをなくして、素直に文章を読んでいくことができると思います。
四つ目は、ソフトフォーカスで潜在意識に情報を焼きつけるということです。フォトリーディングでは、見出しなどを見ながら全体を把握した後、次々にページをめくりながら、文字にはピントを合わせず、ソフトフォーカスでページ全体を写真に収めるような感じで見ていきます。見開きページを2秒ぐらいのスピードで、次々に写真に収めていきます。もちろん、このとき、顕在意識は何も覚えていません。ただ漠然とページをめくっているだけなのですから、覚えていないのはあたりまえです。しかし、写真に焼き付けた情報は、潜在意識にはしっかり刻まれているのだそうです。
この方法のよいところは、少しの時間で気軽にできるということです。3D画像を見るときのように、焦点をずらして、全体を1~2秒、ぱっぱっと見ていくだけでよいのですから、空いている時間に、気軽にすることができます。ある程度の集中力は必要ですが、覚えようなどと意気込む必要はありません。最初のうちは、本当に潜在意識に情報が入っているのかどうか不安に思うかもしれません。しかし、10分程度でできる作業なので、教科書や参考書で試してみる価値は十分にあると思います。写真を撮るように一通り最後まで見ていってから、通常の勉強をすると、いつもより内容を吸収しやすいことに気づくかもしれません。
以上、フォトリーディングの本から学んだ、勉強にも役立つ方法をご紹介しましたが、これらの中からできそうなものを少しずつ取り入れてみるとよいと思います。もちろん、フォトリーディングそのものを普段の読書に活用してみることもお勧めします。
フォトリーディングに興味のある人は、公式ページにくわしい内容が載っていますので、参考にしてください。
http://www.lskk.jp/photo/
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