慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
続)ムスリムの子ども教育-24-番外編~Q&A
ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(最初~11:43)@エジプト
https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA
前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。
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視聴者からの電話相談:「子どもが小さい頃に一番最初に何がいいことで何が悪いことかを教えるのは母親で、イスラームのことを一番最初に教えたのも母親で、クルアーンの短いスーラを教えたのも母親です。しかし、私の息子は、母親を母親と思っていません。息子は、私にとても冷たく当たります。
ただ学校で試験がある時や必要な時だけ、ご機嫌を取りに来ることがありますが、すぐにまた元の冷たい態度に戻り、私の方を見ようともしません。息子は、父親にはおこずかいが欲しい時に優しく接していますが、私が息子と話がしたいと思っても、私のことを無視します。私の心は傷つき、血が流れています。どうか息子に向けて、番組からアドバイスをお願いします。」
先生からの回答:
息子さんへ。あなたにアッラーの祝福がありますように。あなたのためにアッラーが扉を開け、善いことにおいてあなたを助けてくださいますように。あなたが、お母様が傷付いていることを考え、心に痛みを感じられていることを願います。あなたが、お母様がテレビ番組を通してさえ、あなたに話しかけてくれるよう頼む必要があるほど困難な状況に陥っていることを理解できたなら、あなたは、もう二度とこのような対応はされないでしょう。もしあなたが、現世と来世で幸せになりたいと望むのであれば、その鍵は、お母様のあなたへの満足にかかっています。お母様のお話から、あなたにはアッラーへの信仰がきちんとあることがわかります。試験の時にお母様に優しくなるのは、お母様があなたに怒っていたら、アッラーによる成功が見込めないことを恐れているからですよね。お母様のあなたへの怒りが、アッラーとあなたとの間のヒジャーブ(覆い)になることを知っている、これはすばらしいことです。あなたの心に、善いことがある証拠です。
どうかよく聞いてください。アッラーは、クルアーンでこうおっしゃっています。
【(アッラーは)目つきも、胸に隠すことをも凡て知っておられる。】クルアーン40-19
つまり、あなたが、試験の時だけお母様に優しくすることを、アッラーはよくご存知です。お母様の本当の価値は、自分で子どもを持って親となった時に、ようやく理解できるでしょう。あなたは、自分の子どもが、今、あなたがお母様に対してしているのと同じ態度で自分に接してほしいですか?あなたの態度に関わらず、お母様があなたに悪いドゥアーをしないことを知っているのならば、アッラーが、お母様の代わりにあなたに罰を与えるとは思わないのでしょうか。あなたの目から見て、もしお母様が間違いを犯していたとしても、お母様があなたにしてきた善行が帳消しになるわけではありません。あなたは、お母様にお世話をされて大きくなった、この事実は生涯変わることがありません。もしお母様がいなかったら、あなたは本来存在しなかった。もしお母様が10ヶ月間お腹の中で重くなっていくあなたを抱えて忍耐してくれなかったら、お母様が、大きくなったお腹の痛みで目が覚めて眠れない夜を過ごさなかったなら、あなたはこの世に存在することさえなかったのです。お母様のあなたへの善行は、何ものにも替えがたいほど大きなものです。
アッラーは、クルアーンの中で、こうおっしゃっています。
【あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが、あなたと一緒にいて老齢に達しても、かれらに「ちえっ」とか荒い言葉を使わず、親切な言葉で話しなさい。
そして敬愛の情を込め、両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)て、「主よ、幼少の頃、わたしを愛育してくれたように、2人の上に御慈悲を御授け下さい。」と(祈りを)言うがいい。】クルアーン17-23,24
アッラーは、最も重要なタウヒード(唯一神信仰)を両親への孝行と結びつけました。親孝行は、両親が、ムスリムではない不信仰者であっても義務です。
【われは、両親への態度を人間に指示した。人間の母親は、苦労に窶れてその(子)を胎内で養い、更に離乳まで2年かかる。「われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである。
だがもし、あなたの知らないものを、われに(同等に)配することを、かれら(両親)があなたに強いても、かれらに従ってはならない。だが現世では懇切にかれらに仕え、悔悟してわれの許に帰る者に従え。やがてあなたがたはわれに帰り、われはあなたがたの行ったことを告げ知らせるのである。」】クルアーン31-14,15
多神教徒の両親が、自分に多神を拝むように強いた時には従わなくていい、つまり、それ以外の時には、【懇切にかれらに仕え】ることが義務付けられています。
親孝行は先払いのようなものです。あなたが今、お母様にする孝行は、必ずあなたが父親になった時に受け取ることになります。また親孝行によって、すべての行いにアッラーによるタウフィーク(成功)が得られます。親孝行によって、この世で直面する様々な困難や災難、病気や不安、悩みごとなどは、すべて来世で確実にそのご褒美を受け取ることになります。アッラーのご満足の鍵は、お母様のご満足です。お母様があなたの態度に、傷つき、お怒りになって過ごされた夜は、あなたが礼拝をいくらしたところで償うことはできません。断食をしたところで償うことはできません。今、これを聞いた後で、立ち上がってお母様の手にキスをし、また、天国がその下にあるお母様の足にキスをし、お母様の頭にキスをし、お母様に赦しを求めることなしには、償えないことです。
お母様の権利は、お父様の権利よりも大きなものです。なぜ、お父様に優しく接することができるのでしょうか、お父様がおこずかいをくれるからでしょうか。悪いことをするとあなたに罰を与えるからでしょうか。アッラーの罰の方がずっと大きいものです。
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の有名なハディースがあります。
≪ある男が預言者のところに来て訊ねた。
「預言者よ。人々の中で、私が最も良く付き合うべき人は誰でしょうか?」
預言者は言った。「あなたの母親です。」
男は言った。「その次は?」
「その次はあなたの母親です。」
「ではその次は?」
「その次はあなたの母親です。」
「ではその次は?」
「あなたの父親です。」≫ブハーリーとムスリムの伝承≫
どうか注意してください。あなたの人生のどんなことにおいても、アッラーからのタウフィークは得られません、もしお母様があなたにお怒りであれば。また反対に、どんなことにおいてもアッラーのタウフィークの扉が全開になります、もしお母様があなたに満足していたら。
そして、お母様へ。
あなたが息子さんについて心を悩ませておられることは、すべてアッラーがご存知です。そして、息子さんの態度に関わらず、あなたが息子さんに対して寛大に愛情深く接していることについて、アッラーは、天国であなたをもっと上の段階に入れてくださいます。あなたの息子さんは、アルハムドゥリッラー、ムスリムで、礼拝をしたりしているということは、貴女もご存知のように、現代の多くの国の多くのムスリムの子ども達の状態よりもずっと良い状態です。もちろん、だからと言って、息子さんの振舞いを正当化するつもりはありません。ただ、息子さんにはまだ良いところが存在している、ということを認めてあげましょう。
そして、もう一つ重要な点があります。あなたの振舞いを振り返ってみてください。息子さんがあなたに対してそういう態度になってしまう原因が、もしかしたらあなたの中にあるのかもしれません。もちろん、そうであったとしても、息子さんの振舞いは正当化されることはありませんが。もしあなたの振舞いに、原因となるようなものが見つけられなかったら、もしかしたら、アッラーは、あなたにこの災難をお与えになられ、あなたが、この災難に関し、アッラーに満足しているか、していないか、あなたの心をご覧になるためかもしれません。
もし、息子さんに対して、今と同じような気持ちを持ち続けるのであれば、家族が寝静まった頃、一人で起きて、ウドゥーをし、2ラカートのサラ―トゥルハージャの礼拝(必要を満たす礼拝)をしていてください。そしてスジュード(跪拝)の時にアッラーに心の底からお願いしてみてください。どうか今の涙をアッラーの前で流してください。「アッラーよ、どうか息子を正してください。私に対する態度を優しくしてください。息子の振舞いにバラカ(祝福)をお与えください。正しい道に導いてください。」アッラーに沢山ドゥアーをしてください。
なぜなら、あなたの息子さんは今、とても危険な状態にあります。もし今、誰かが、息子さんが外出したら、交通事故に遭うことをあなたに告げたら、どうするでしょうか?もちろん、あなたは、なんとかして息子さんの外出を止めさせようと必死になるでしょう。しかし、現在の状況、あなたに対する今の息子さんの態度は、交通事故よりももっと深刻で、他のどんな病気や災難よりも、息子さんにとってずっと危険な状態にあります。もし今息子さんが亡くなってしまったら、取り返しのつかないことになります。息子さんが眠りについた時、アッラーが彼にお怒りになっている、ということは、恐ろしく危険な状態です。このアッラーのお怒りを、あなたのドゥアーや夜の任意の礼拝で消してください。
私たちの子ども達が、親孝行ができますように。親に逆らうことから逃れられますように。
多くのご両親が、こういった類の子どもによる試験に遭います。彼らは、子どもの教育を欠いたわけではないにもかかわらず、子どもが親不孝に陥ります。預言者でさえ、子どもの親不孝に苛まれた方もいました。ヌーフ様(平安あれ)の息子は、不信仰に陥り、ヌーフ様(平安あれ)の忠告を拒否して、船に乗らなかったために不信者たちと共におぼれ死んでしまいました。アッラーは、ヌーフ様(平安あれ)の息子についてこうおっしゃっています。
【かれは仰せられた。「ヌーフよ、かれは本当にあなたの家族ではない。かれの行いは正しくない。あなたの知らないことに就いて、われに求めてはならない。われはあなたが無知な者とならないよう戒める。」】クルアーン11-46
こういった災難は、両親の天国での段階を上げるためにアッラーが用意された物です。親は、アッラーにすべてを託し、子どものためにドゥアーをし、アッラーが子ども達を導いてくださるようお願いすることだけが求められています。
アッラーが私たちの子どもを正しい道にお導き下さいますように!
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