その日の夕方、いつもの通勤バスが旭川駅前に停車したとたん、あたかも東京新宿駅に止まった電車かのように、込み合ってきた。
乗客の多くは中学生の男女。大きなリュック型のバックを背負い、どんどん前の生徒の背中を押すようにして乗り込んでくる。
どうも、卒業式の帰りらしい。
カラオケにでも行って来たのだろう。やけにハイになっているようだ。
オイラはというと、4つ手前のバス停で乗っていたので、何とか座席に座っていることができた。
ぎゅうぎゅう詰めの中学生を載せたバスが動き始めた。
すると、あちらこちらから子供達の声が聞こえてきた。
「ヤバい、ヤバい」、「チョーヤバい」。
周り中、「ヤバい」の連呼なのだ。
君たち、「ヤバい」って、いうのは決していい日本語じゃないんだよ。
やくざさんとか、それこそ、本当に「ヤバい」筋の仕事をしている人たちの間で使われる言葉なんだ。
なんでも、かんでも「ヤバい」で表現するのは、あまりにも下品だし、日本語として美しくない。
大人になって、社会に出てから「ヤバい」を使っていたら、上司から叱られて苦労するよ。
こういう悪い流行り言葉の一番の責任者は、テレビのアイドル、芸人さんだ。
テレビを見ていると、美味しい時に「ヤバい」、美しい景色に「ヤバい」、驚いた時に「チョーヤバい」。
誰もかれも、ヤバいしか言わない。
これを毎日見ている青少年は、それが正しい日本語と思い込んでしまう。
これじゃいけない。
NHKには、是非この「ヤバい」を放送禁止用語にしてほしい。
このままだと、子供達の日本語が本当に「ヤバい」よ。