By Cristóbal Alvarado Minic
スマートフォンでの位置測定やカーナビなどに使用さている現在位置測定システムの「GPS」は、宇宙に浮かぶ専用の人工衛星「GPS衛星」によって成り立っています。そのGPS衛星でエラーが発生し、その影響から複数の企業が大ダメージを被ったことが明らかになっています。
GPS error caused '12 hours of problems' for companies - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-35491962
GPSの時報の監視を行うChronosが、時報が13マイクロ秒遅れていたことを明らかにしました。ほんのわずかな差異に感じるかもしれませんが、Chronosの顧客の中には、時報の誤差により「12時間」ものシステムエラーに遭遇する羽目になった企業もいるそうです。
GPS衛星ネットワークを管理するアメリカ空軍によると、問題の原因となったのは「SVN 23」と呼ばれるGPS衛星で、既に廃棄処分となっていた個体であることを明かしています。アメリカ空軍のスポークスマンによると、GPSの時報で起きた誤差の原因はGPSの地上システムソフトウェアに関係するものと推測されています。
Chronosのチャールズ・カリーCEOによれば、同社のクライアントであった通信会社は自社のネットワークでやり取りされるデータ量を正確に測定するため、ChronosからGPSタイムを提供してもらっていたそうです。なお、GPSが13マイクロ秒遅れた際、通信会社のようにGPSタイムを活用していた多くの企業のシステムでエラーが発生し、システムエラーは最大12時間にも及んだ模様。カリーCEOは「我々の持っているネットワークのひとつでは、警告が全世界のシステム上で確認できました」と語っています。
GPSよりも信頼できる時間測定システムの開発をうたう団体「Resilient Navigation and Timing Foundation」は、GPSの誤差により生じた影響をまとめたレポートを公開。同団体の理事を務めるダナ・ゴワード氏は「問題は世界中に広がりましたが、幸運にも影響は多くの分野にとって最小限のものでした」とコメントしています。
By jeremyfoo
アメリカ空軍によると、「SVN 23」を廃棄する際に既にGPSの地上システム周りで問題が検知されていたとのこと。さらに、後に公開された声明文の中でアメリカ空軍は「衛星から出たひとつの信号により誤差が生じた。しかし、GPSの中核であるナビゲーションメッセージや時計に影響は見られなかった」と説明しています。また、発生した問題は既に解決済みであり、「地上システムにおけるソフトウェア関連の問題はまだ残っているが、2d Space Operations Squadronは『同問題の再発はない』と保証している」とアメリカ空軍は説明しています。
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