Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
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ツキイチ映画館(2022年05月)

2022-05-30 | 雑文
月に一度は、映画館へ。2022年5月は、
「トップガン マーヴェリック」(アメリカ)

4月に引き続き、観るものが決まっていた5
月は、1986年に公開された名作「トップ
ガン」の続編。

公開延期が度重なり、さすがにこれで公開か
と思った2020年12月からも1年半。

新型コロナウイルス感染症の影響もある(そ
れだけでもないよう)ので仕方がないが、本
当に待ちに待った本作。

結論を端的に言えば、めっちゃ面白い、名作。

ただそれだけなので、前作を観ていようが観
ていなかろうが、おススメですで終わりなの
だけれど、もう少しだけ。

ストーリーは、アメリカ海軍トップレベルの
戦闘機乗り達が、とある困難なミッションに
向けて訓練し、見事成し遂げるというもの。

ハリウッドテンプレートで、複雑なストーリ
ーでもなく、フィナーレも予定調和で意外性
もない。

しかし、その起承転結のバランスは見事であ
り、そもそも複雑さも、意外性も必要がない
し、求められてもいない。

エンジンの爆音で始まる本作の魅力は、空を
自在に飛ぶ戦闘機と、空に命をかけるパイロ
ットたち。

誰より速く、誰より自在に、誰より上手く。

皆が自分が誰より優れていると競いながら、
空ではチーム(編隊)で連携し、互いに命も
預けなければならない。

戦争がなくても、無人飛行や自動飛行が主流
になっても、人は空に魅了され、誰でもは成
れない卓越した飛行機乗りにあこがれる。

それは、将棋の棋士のように、自動車レース
のドライバーのように。

そしてなにより、主役は前作と同じくトム・
クルーズである。

正直なところ、ほんの少しだけ時間が経ちす
ぎた感もあるが、贅沢な望みであるし、続編
がこれだけ高水準な時点で些細なこと。

続編への期待は大きかったし信じていたが、
続編にありがちな失敗の不安も、数パーセン
トあった。

観終わってみれば、100パーセント信じな
かったことが情けないと思えるデキ。

前作を観ていない人は、観ないままマーベリ
ックを観ることをおススメします。

そして、もしこれは面白いと感じた人は、そ
の後で、前作を観てみて欲しい。その順番の
方が、きっと幸せになれるに違いない。

能弁と沈黙

2022-05-26 | 
僅かばかりの重複で

輪郭を定義付けする

物知り顔した断定と

重ならない輪郭とが

理解をより断絶して

殆どあうんの呼吸で

存在を意識付けない

当然な顔した不感と

呼ばれない存在とが

会話をより不足させ

能弁と沈黙は等しく

等しく接着を溶かす

読書のよもやま(2022.05.23)

2022-05-23 | 雑文
「岡潔 対談集」岡潔(朝日文庫)

数学者として、顕著な実績を残し、文化論で
も著書のある岡潔の対談を集めたもの。

対談者は、司馬遼太郎、井上靖、時実俊彦、
山本健吉の4名で、最後に講演1つがおまけ
で収録されている。

対談者の一人である井上靖が、「先生がいろ
いろなかたとお会いなさるときは、先生のお
仕事についてはだれもお話しできないので、

先生は全部相手のかたのほうへお下りになっ
てお話になるんですね。」と言うように、数
学の話はなく、文化論についてを集める。

という文章を打ちながら、今こんなきれいな
話し方する人少ないよなあ、少なくとも自分
の周りにはいないなあとほれほれ。

以前取り上げた石原慎太郎と三島由紀夫のよ
うに、戦後日本の宿命である、日本論。

本対談集では、古事記、芭蕉、仏教、新道な
どを話題に、経済大国となってゆく裏で失っ
ていく日本人の特性について対話をする。

所々で岡潔の過激な発言もあり、やや(控え
目表現)日本寄り過ぎる感もあるが、そこか
らも戦後日本の文化人の立ち位置がみえる。

司馬遼太郎との対談が目に止まり購入したが、
特に面白かったのは、井上靖と時実利彦の二
人。

詩について、漫画について、脳と教育につい
てなど、個人的な関心からも、興味深く読み
進めた。

そのほか、全体的によく話題に上がる芭蕉の
連句ついては、これまでそこまで考えたこと
もなかったこともあり、印象に残っている。

個人的に、この時代の深い知識に裏付けされ
た日本論が好きであるため、すべての対談を
楽しめた。

現代のステレオタイプにおいては、数学者が
情緒を、心を語ることに違和感があるかもし
れない。

数学は苦手であるし、何たるかなんて全くわ
からないが、思考と論の明確さは明らかで気
持ちがいい。

それこそが、現代人らしいステレオタイプな
のかもしれないが。

PACHIPACHI

2022-05-19 | 
忙しそうに打たれるキーボード

途切れないよう意識する掛合い

モニタの向こうはどこか上の空

不自然にふくらんだ頓珍漢さに

ぱちぱち連鎖する心はシンクロ

冷たいコップで発砲する炭酸水

意識しないで説明できた勘違い

モニタの向こうも吹き出す瞬間

自然とふくらんだハーモニーに

ぱちぱち連鎖する心はシンクロ

漫画のあれこれ(2022.05.16)

2022-05-16 | 雑文
「新九郎、奔る! 第10巻」ゆうきまさみ
(小学館)

北条早雲を主人公とした、ゆうきまさみ後期
作品の代表作(になるに違いない)である歴
史系漫画も早10巻目。

連載当初は年1巻を予定していたため、年2
巻くらい出ている現在が夢のようでもある。

応仁・文明の乱も終盤となった文明九年、伊
勢新九郎(21歳くらい)は、甥っ子が駿河
守護の家督を継げるよう奮闘する。

ストーリー展開や構成は大ベテランの一流大
御所であるので、今更ではある。

絵柄はそれは今時とはいえないが、歴史系題
材であることもあり、安定して読みやすいし、
そもそ絵に不満を持ったことどない。

そんな中でも、ここ数巻ですごいと思うのは、
登場人物の一人である太田道灌のデザイン。

登場初期、このデザインを見れば、ほとんど
の人が「ん?」となるだろうが、10巻にも
なればこれ以外ないようにも思えてくる。

割としっかりと登場機会のあるキャラクター
で、このデザインを採用し、特徴上重くなり
勝ちなところを作品全体の風に合わせる。

歴史系とはいえ、ゆうきまさみの特徴である
コミカルな、良い意味で軽い作風では、これ
で正解なのだと思い知らされる。

全体として文字が多くなるのは歴史系の宿命
であるが、この作品は、あくまで漫画として
画に魅力があふれる。

歴史系漫画は、文字を追いやすくするギミッ
クとして、画を添えているといえるようなも
のも少なくない。

そういう意味でも、漫画として面白いという
のは、本当にすごいことなのだと思う。

なんにせよ、ゆうきまさみファンはもちろん、
歴史系漫画好き以外にももちろんおススメで
ある作品の第10巻。

主人公もまだまだ若く、まだまだこれからま
すます面白くなるはず。