Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
【詩集3冊(各110円)をAmazon「Kindleストア」で販売中】

ツキイチ映画館(2022年10月)

2022-10-31 | 
月に一度は、映画館へ。2022年10月は、
「RRR(アールアールアール)」(インド)。

11月は、先月までの予告編でもあまり興味
惹かれる作品がなく、少し迷うことに。

映画館に行けるタイミングの問題もあって、
ほぼ100%事前情報なし、映画館のHPで
ふーん、インド映画ね、くらいの感覚で選択。

インド映画が、日本のメジャーな映画館で上
映されるという時点で、ある意味、一定の面
白さは保証されているだろうという期待も。

では、実際どうだったかといえば、ちゃんと
面白く、満足できる。

イギリス統治下のインドで、別々の目的を持
つ二人が、友情を育みながらそれぞれの目的
を目指し、望まずも対立して、というもの。

ストーリー自体は、まあ王道といえるものの、
3時間という長尺のため、展開は丁寧で分か
りやすくメリハリもある。

これは最後どうなるのだろうかと観ていると、
ゲームのような、操作したくなるような爽快
感の終盤。

また、インド映画ならではといえば、歌とダ
ンスであるが、ダンスは3時間もあるのにな
んとその数、たったの1回。

しかも、時間的に丁度よいタイミングで、ス
トーリー上ムリなくスルッと入れてくる(必
要だとは言っていない)。

歌もちょくちょく入ってくるが、こちらも相
当に調和を意識している(必要だとは言って
いない)。

とはいえ、これがないとインド映画ではない
というのも事実であり、結局なくてはならな
いのだろう。

同じアジアの作品であるが、邦画とは規模、
出来ともに比べ物にならず、インド映画とし
てのアイデンティティもプラスとなれば。

インドの人でなくてもとても楽しめるが、イ
ンドの人が最も楽しめるし、そのための映画
なのだろうという感想。

主人公の一人である「兄貴」の覚醒後は必見
であるので、3時間と長いけれど、ぜひ最後
まで観て楽しんでほしい作品。

RIKU-KA

2022-10-27 | 
不安には 抗えない吉凶を

困難には 縛りつく血縁を

犠牲には 絶えざる無償を

矛盾には 定まった理論を

欲求には 守るべき規則を

苦悩には 逸らせぬ道徳を

絶望には とりどり頼みを

希望には それぞれ重みを

役に立つか立たないか

2022-10-24 | 雑文
ゲームの世界市場は、将来は数千億ドルの市
場になると予測され、ゲームに触れ知見を高
めることは、将来への投資になる。

ゲームは楽しいだけで役に立たないという見
方に対する、とある二十代の回答らしい。

ゲームの話を導入としたが、ここから先、ゲ
ームというものを擁護する話がしたいのでは
なく。

現代は、お金をはじめとした「数字」があま
りにも評価されすぎていて、かなりの重きが
置かれるから、考えが間違いだとは言わない。

同意する人が多いということは、現代におい
ては正しく、物事はやはりなんらか価値が説
明できなければならないのだろう。

こういう話題になるとよく言われる、無駄だ
からこそ、役に立たないからこそいいなんて
ことを言うつもりもない。

どう考えても、目に見えて人生の役に立つの
であれば、何事もそれに越したことはない。

そうではなく、好きなこと、楽しいことをや
るのに、そもそも役に立つか立たないかを意
識し、気にする必要はあるか。

最終的に損得はその当事者が決めることであ
り、視点、認識よって異なるとしても、必ず
即座にどちらかでなければならないか。

つまり、価値と結論は、行為と同時に明確で
なければならないか。

生死に直接かかわるようなことでなければ、
趣味であれば、別に役に立たなくても、結果
的に将来の為にならなくてもいい。

これもまた、広く一般的に受け入れられる考
え方だろう。

とはいえ、老後の楽しみならまだしも、十代
二十代の貴重な時間を使うとなれば、意義を
求めたくなる気持ちもわかる。

しかしそれは、主にはその時期を過ぎた人た
ちの気持ちでしかないだろう。

何の役に立つかわからないし、将来に影響も
なく、もしかしたら無駄かもしれないけれど
も、楽しいことは間違いがない。

数字や損得だけに絶対的な価値を置き、即物
的に目に見えた結果を必ずとしない。

現代的な進歩とは、不確定や未知を減らし、
障害物のない明確な未来を求め、そうした曖
昧さは良くないことすることでもある。

だとしても、ある時期には、意味があるかな
いかは、今はちょっとわからないと首をかし
げることも認めることを自分は支持したい。

One-Day at a Time

2022-10-20 | 
歩き疲れ泥のように眠る

I時間を追いつく前進は

あくる日への新興のため

左回りを追いかけながら

あゆみに度の早まる高進

眠り疲れ猫のように歩く

Ⅹ時間を追いこす短針は

あくる日への伸長のかて

右回りに追いつくために

あくびの度に過ぎる長針


読書のよもやま(2022.10.17)

2022-10-17 | 雑文
「世界最悪の旅 スコット南極探検隊」チェ
リー・ガラード(中公文庫)

1911年「冬」に行われた南極大陸の旅、
そして12年「夏」にかけて行われた南極点
への旅。

その2つの旅に加わった著者チェリー・ガラ
ードによるノンフィクションの旅記録。

著者が最初から最後までを歩いた過酷な冬の
旅は、想像を絶する過酷なものであるが、結
果として生存して帰還を果たす。

一方、夏の極点への旅は、複数の予期せぬ要
因により極点行本隊の5人が南極大陸で命を
落とした。

チェリー・ガラードは冬は支援隊として途中
帰還しており、帰国10年後に本書を記して
いる。

過酷を想定された冬も、決して最悪を想定し
なかった夏も、死者を前提に準備されたもの
ではない。

無論、死者が出ることは想定され、それは想
像以上の悲しみであっても、驚きではなかっ
ただろう。

当事者であるにもかかわらず、チェリー・ガ
ラードは南極大陸での仲間への愛と尊敬と共
に、冷静な分析に努めている。

本隊の記録を中心とした冬の旅は、その結果
を引いても、読んでいて精神の痛みは増すば
かりである。

とはいえ、本書はノンフィクションであるか
ら、小説的な達成も悲劇も強調されない。

ゆえに、だからこそ、ノンフィクションの持
つ「生」の魅力が全編に、とてつもなく詰ま
っている。

問題は本書の問題ではなく、こうした良質な
ノンフィクションを読むべき年代の人が、物
理的に当たる機会がないことにある。

「一歩を踏み出すこと」を学ぶ前に一歩を踏
み出さなければならない皮肉であるが、気に
なる方は求めるべき一冊では。

自分のように横着し続ければ、ともすれば遅
くなってしまうことになるから。