「機動戦士ガンダム バンディエラ」(全6
巻)加納梨衣(小学館)
「機動戦士ガンダム バンディエラ」を電子
書籍版で読み終える。
機動戦士ガンダムにおける一年戦争中の、と
あるサッカー選手の所属する一部隊のお話、
であったらしい。
らしいというのは、自分は特にガンダム一年
戦争に詳しいわけではなく、それなりなのは
WとSEEDくらいだから。
では、なぜこれだけを読んだかといえば、ま
だ連載初期のころ、絵柄とスポーツ選手が主
人公であることに惹かれたから。
本作は打ち切りなのか、元々48話想定だっ
たのかは謎であるが、想定だとしても全体の
構成はお世辞にも良いとは言えない。
そうではあるのだけれど、不思議と不満が大
きいということでもない。
というのは多分に好みの問題なのだけれども、
こうした切り取りというかスピンオフという
のが嫌いではないからだろう。
本筋というか、メインでないことを前提とし
てしまっているから、どうしても甘くもなっ
てしまうが。
さて、流行るか流行らないかは別として、こ
うしてパイロットに軍人以外の属性を与える
のは、メンタル志向の強い現代に向いている。
勧善懲悪で世界を救いまくっていたハリウッ
ドですら、最近は結構、悩んだりもする。
ましては日本は相当に迷って悩んで大変だか
ら、結論のあるようなないような終わりでも、
なんとなく締まる。
そうしたものを、あまり長々とやっても困る
し、題材的にもこれくらいでよかったのだろ
うか、という読了感も漂っている。
いつの時代も、表に前面には出てこないが、
時代を彩るのに不可欠なキャストたちの物語
はどれも面白い。
そして、それを描くのは、本筋でないからこ
そ難しく、報われにくいものである。
とはいうものの、じゃあ本作がおススメであ
るかとなれば、素材と調理人からすると、惜
しいなあという感想。
あとはマーレは死ぬだろうけど、長めに生き
ているといいなと思っていて、死んだ時はや
や早いなあと思った。
思ったのだけれども、終わってみれば最終回
間際の死だったというオチ。