午前9時前には郁がやって来る。
嬉野中は来月中旬の実力テストまで試験はない・・・しかしだ。
何も言わずにこの時間から塾にやって来るようになった、あの勉強嫌いの郁だ。
試験の喧騒のなか、塾を飛び出して末娘のあいのソフトボールの試合に出向く。
相手は前回の試合では勝っているセント・ヨゼフ。
勝負の綾は4回の攻防かな・・・。
しかし多くは語るまい、両方のチームとも全力を尽くしたのだ。
最後の最後まで勝敗が読めない緊張感のある試合だった。
それで十分。
午前中から谷(6期生)が来て勉強している。
危険物取り扱いの資格試験の勉強かな。
昔から「俺」という危険物を扱っていたんだから得意なはずだ。
そして午後からは里恵(7期生)がこれまた看護秘書の資格試験の勉強・・・橋本ドクターの脅し、よお効いてますわ。
「勉強する」という意味では社会人たちも中高生も同じ土俵に乗っている。
そんな土俵が、いたるところにあるウチの塾を俺は気に入っている。
橋本ドクターは中西ドクターともども、神戸で開業する皮膚科の内覧会へ出席しているはず。
いやいや意気軒昂やね。
車で行ったのなら帰りには学生時代に思いを馳せ、天理の彩華ラーメン食べてくるのに賭けるけどな。