青空が高かった。こんな草原に、どれだけ長く寝ていたんだろう。
体を起こすと、俺と同じタイミングでもう一人、女が目を覚ました。
赤い髪、白い服。冒険者にしては上品な顔形。
それが、はしたなく大あくびして起きあがったら、誰だって驚くだろう。
「あー、よく寝た! ん? あんた誰?」
「誰って………………ええと、お嬢さん。俺、名前、何だっけ」
「はあ!? あたしが知るわけないでしょ」
呆れたように言われて、俺は身の回りを確かめた。
着てる服の隅に、縫い取りがあった。「Ryan the Monster」。
「ライアンっていうらしいな。俺は。まるで覚えがないが」
「勝った! あたしは覚えてるわよ、自分の名前。キャリイっていうの」
「勝ったって何だよ。大体お前、もっと違う名前じゃなかったか?」
「あんたこそ。本当にその名前なの?」
何も覚えてないくせに、意味不明な問答。
そもそもお互い、完全に記憶喪失になってると知った時、
俺は現在の問題点に気づいた。
「まあいい。まずは一番重要な課題を解決しないとな」
「課題?」
「腹が減った」
「そ、それのドコが重要な課題なんだよぉ……」
「俺にとっちゃデカイ問題だ。そうだな、あの街道の先に酒場が見える。
あっちまで行けば、何かいい話にありつけるだろ」
「酒場って……豆粒みたいなアレ? ココから見えるの、あんた!?」
「四の五の言うな。俺は行く」
「待ってよ、あたしも行く。おなか減ってるし。多分」
「多分?」
言い合いながら歩き始めた時。なぜか言いたくなった。
「ありがとな。来てくれて」
「何よ、水くさい。これも縁でしょ?」
体を起こすと、俺と同じタイミングでもう一人、女が目を覚ました。
赤い髪、白い服。冒険者にしては上品な顔形。
それが、はしたなく大あくびして起きあがったら、誰だって驚くだろう。
「あー、よく寝た! ん? あんた誰?」
「誰って………………ええと、お嬢さん。俺、名前、何だっけ」
「はあ!? あたしが知るわけないでしょ」
呆れたように言われて、俺は身の回りを確かめた。
着てる服の隅に、縫い取りがあった。「Ryan the Monster」。
「ライアンっていうらしいな。俺は。まるで覚えがないが」
「勝った! あたしは覚えてるわよ、自分の名前。キャリイっていうの」
「勝ったって何だよ。大体お前、もっと違う名前じゃなかったか?」
「あんたこそ。本当にその名前なの?」
何も覚えてないくせに、意味不明な問答。
そもそもお互い、完全に記憶喪失になってると知った時、
俺は現在の問題点に気づいた。
「まあいい。まずは一番重要な課題を解決しないとな」
「課題?」
「腹が減った」
「そ、それのドコが重要な課題なんだよぉ……」
「俺にとっちゃデカイ問題だ。そうだな、あの街道の先に酒場が見える。
あっちまで行けば、何かいい話にありつけるだろ」
「酒場って……豆粒みたいなアレ? ココから見えるの、あんた!?」
「四の五の言うな。俺は行く」
「待ってよ、あたしも行く。おなか減ってるし。多分」
「多分?」
言い合いながら歩き始めた時。なぜか言いたくなった。
「ありがとな。来てくれて」
「何よ、水くさい。これも縁でしょ?」