『セーラー服パニック!』
1話だけ気軽に読むには、寧ろオススメのエピソード。
富豪の確執あり、時を超えた純愛あり。
シティーハンターってこういう話だよねという、世間のイメージが分かりやすく描かれている。
だがしかし。第1話から一気に通して読んでいる今の自分には、どこか違和感がつきまとう。
語弊を覚悟で述べれば、獠が“幼い”のだ。
あるいは、“青い”と言ってもいいだろう。
特に、この度のゲストキャラ・武田季美子と接する場面で。
今まで18歳未満の少女キャラは、竜神さやか、松村渚、麻生かすみ(初登場)……と多く登場している。
彼女らと関わる獠は、どちらかというと父性的だった。
それが、この季美子編では変貌している。
憑き物を粛々と落とす「導師」から、自らも共に足掻く「同志」へと。
こうも獠のポジショニングが動いた理由の一つは、青年誌の台頭という時代背景がまず大きい。
結果、少年漫画に求められる「ヒーロー」は「成人」から「青少年」へ移ったのだ。
今一つは、前話『立木さゆり編』を経た香の、飛躍的な成長にある。
彼女は、確実に一人前に、平時における獠の保護者のような立場にまで達した。
「この依頼受けますいいですね!」「はい……」
という下りなど、隔世の感さえおぼえる。
かくして二人は、ついにほぼ対等な関係に至った。
が、そんな安寧な時間は、間もなく終わるのだ。
それでは。また次回。